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第51話 準決勝第1試合①

 私とナギトの前には、シルビアと謎の巨人が立っている。


「私はシルビア。ミレイアさん、ナギトさん、良い試合をしましょうね」


 シルビアは手の甲を口元に当てて、上品に笑った。耳が長い。やはり精霊族だ。


「で、お前誰だよ?」


 ナギトはすでに魔力模擬刀(まりょくもぎとう)を構え、巨大な男を見た。

 

 この巨人も、耳が長かった。


「オレ、グスタボ・ドルコイ。破壊する、コイツら」


 巨人はたどたどしい口調で、私たちを見下ろしながら言った。


 このドルコイなる男が持っている魔力模擬刀(まりょくもぎとう)は、ナギトが持っているものの2倍は大きい。


 ドーン


 草原の向こうにあるテントの方で、太鼓(たいこ)が鳴らされた。


 試合開始だ!


「先手必勝!」


 ナギトはドルコイの前に飛び込んだ。素早く上から、魔力模擬刀(まりょくもぎとう)を振り下げる。腕を狙った!


 ガイン


 ドルコイはそれを自分の、魔力模擬刀(まりょくもぎとう)で受ける。


「ぬうううんっ」


 ドルコイが足を突き出す。前蹴りだ。


 それをナギトが後退して()ける。あの蹴りをくらったら、5メートルは吹っ飛ばされそうだ。


「エンケパロス・オルキオス!」


 ハッと気づくと、シルビアが杖を振るっていた。


 魔法で作られた鳥が、私に向かって飛んでくる。


 私は()けたが、魔法の鳥は空でUターンして、また私に飛びかかってきた。


「うおりゃああっ!」

 

 バシュッ


 ナギトが魔法の鳥を、魔力模擬刀(まりょくもぎとう)で打ち払ってくれた。


「大丈夫か!」

「ええ!」

「あれ、いくぜ!」

「わかったわ」


 私は唱えた。


「クロワッサン・レヨン!」


 私はナギトの魔力模擬刀(まりょくもぎとう)に、聖女の杖で魔法をかけた。


 ナギトが魔力模擬刀(まりょくもぎとう)を振ると、剣先か三日月型の波動が飛び出した。それが一直線に、シルビアに飛びかかる。


「ふんっ」


 バシュン


 今度はドルコイが横から飛び出し、魔力模擬刀(まりょくもぎとう)で三日月の波動を、切り捨てた。


 あの巨体で、何て素早い動きなのだろう。


「やるなぁああ……お前ら」

「でも、勝つのは私たちだけど!」


 シルビアは、ドルコイに抱きついた。


「では、勝たせていただくわ」


 シルビアはドルコイの肩に乗り、杖を上にかかげた。


「カオス・コルニクス!」


 ギャアギャアと何かが空に集まってくる。


 黒い……!


 コルニクス──それは古代の言葉で、カラスの意だった。


「やばいぞ! ミレイア。こっちに来い」

「あっ……」


 ナギトは私の手を取り、岩場の前に連れていってくれた。


「岩場を背にしろ!」

「ええ」

「オレの後ろに隠れて! お前は体力を温存しろ」

「うんっ」


 黒い鳥が、空を()めつくし始めた。それは間違いなく、カラスの大群だった。魔法で作られた、カラスだと思われる。


 ギャアギャアギャア


「地獄を見なさい!」


 シルビアは杖を振り下ろした。すると、カラスの大群は、私たちの方に向かってきた。


「おおおおおおーっ!」


 ナギトは自分の力を解放させた。ナギトの赤い「気」が立ち昇る。さすが、勇者候補!


 私もナギトの魔力模擬刀(まりょくもぎとう)に祈りをかけ、刀の切れ味を上げる魔法をかけた。


 ババババババ


 約100匹以上と思われるカラスが、私たちに向かって急降下してくる。


「たああああああっ」


 ズバッズバッズバッ


 ナギトは魔力模擬刀(まりょくもぎとう)で、8匹いっぺんにカラスをなぎ払った。


 ズバッズバッ

 

 次は10匹、次は7匹、次は9匹……。ナギトはカラスのクチバシで、腕や足がかなり傷ついた。


 でも、私はまったく傷つかなかった。


 ナギトが前にいてくれるから……。


「でええええいっ!」


 ナギトは最後の一匹を、なぎ払った。ナギトは私を守ってくれた。


 しかし、私は異変を感じ、声を上げた。


「ナギト!」


 無数のカラスたちは草に落ち、チリとなって消えた。しかし目の前には壁──いや、ドルコイが立っていた。


「真っ二つにしてやるぞおおおおっ!」


 ドルコイが巨大な魔力模擬刀(まりょくもぎとう)を、上段に構え──。


 ブオオンッ


 振り下ろした!


「ここだ!」


 ナギトがドルコイのがら空きの右脇腹に、魔力模擬刀(まりょくもぎとう)を滑り込ませる。


「ぬ、ぬううっ?」


 ドルコイがあわてる。


 ズバアアアアッ


 そこから左上に、肩口まで斬り上げた!


「ギャアアアッ」


 ドルコイは叫び声をあげ、2歩、3歩、後退する。もちろん、魔力模擬刀(まりょくもぎとう)だから致命傷(ちめいしょう)になることはない。しあかしあの斬られ具合を見ると、2日は立てないだろう。


「ど、どうだ!」


 ナギトは声を上げたが、ドルコイも負けてはいなかった。


 力を振り絞り、自分の魔力模擬刀(まりょくもぎとう)を、私に向かって投げつけてきたのだ!


 すると! ナギトが素早く私の正面に立った。


「ぐっ」


 ナギトの右肩に、魔力模擬刀(まりょくもぎとう)が突き刺さった。大きい魔力模擬刀(まりょくもぎとう)だ。肩口全体が、魔力の刀で貫かれている!


 あと一歩で、私の右腕に突き刺さっていた。


「どうってことねえ……ぐああああああっ!」


 ナギトは痛みをこらえながら、左手で、大きな魔力模擬刀(まりょくもぎとう)を引き抜いた。


 ナギトは再び、私を守ってくれた……。


 ナギトとドルコイは、その場に崩れ落ちた。


「ナギト!」


 私は叫んだが、右手の岩場のほうに気配があった。岩場を見ると、そこにはシルビアが立っていた。


「1対1ね──。本当の勝負はここからよ」


 シルビアは岩場の上から飛び降りた。

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