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第50話 私たちはゾーヤの見舞いに行った

 世界学生魔法競技会は、2回戦まで試合がすべて終わった。


 準決勝は、2週間後に始まる。


 準決勝第1試合は、私──ミレイア・ミレスタ VS シルビア・マテナ・アジェ(精霊界学生選抜(せんばつ)1位 精霊女王候補)


 準決勝第2試合が、ジョゼット・マレーカ(スコラ・エンジェミア3位 聖女コース)VS フレデリカ・レイリーン(スコラ・エンジェミア1位 聖女コース)注・現エンジェミア聖女だ。



 私とナギトは、シャルロ王国に戻って、シャルロ白魔法大学へ行った。


 フレデリカと戦った、ゾーヤの見舞いに行くためだ。


 ゾーヤはベッドに寝ていて、まだ全身を包帯でグルグル巻きにされていたが、元気そうだ。


「痛ぇってんだよ! もう少し優しく口に運べよ。口の中、まだちょっと切れてんだからさ!」


 ランベールが、すりおろしたシャルロ・ペア(ナシの一種。甘酸っぱい)を、スプーンでゾーヤの口にもっていく。


「う、うむ。すまん」


 ランベールは謝った。ゾーヤの世話をやくのが、彼の仕事のようだ。


「べ、別に謝らなくってもいいよ」


 ゾーヤは顔を赤らめた。



 私たちはゾーヤを車椅子に載せて、大学病院の芝生広場に出た。天気が良くて、気持ちがいい。


 ゾーヤは、私のほうを見た。


「ついに準決勝出場だな、ミレイア」

「そうね」

「それについて情報があるが」


 すると、ゾーヤの車椅子を押している、ランベールが言った。


「準決勝は、競技パートナーが必要らしい。マデリーン校長が言っていた。すぐに魔法競技会の主催者(しゅさいしゃ)から、通知が来るだろう」

「えっ、そうだったのか? それが本当なら、久しぶりのタッグマッチだぜ、ミレイア」


 ナギトが声を上げたので、私はうなずいた。


「じゃあ、すぐにパートナーを探さなくっちゃ」

「おいおいおい~!」


 ナギトは大声を出した。


「探す必要ねえだろ! 近くにいるだろうが、競技パートナーがよ。お前の横!」

「誰かいたかしら」


 私がとぼけるように言うと、ゾーヤはクスクス笑った。


「お前ら……仲良いのか悪いのか分からねーな」

「で、次の相手の、シルビアって何モンなんだよ?」


 ナギトが首を(かし)げながら言うと、ランベールが口を開いた。


「精霊女王候補だ。つまり精霊界の学校で、最も優れた生徒らしい」

「人間族じゃないってことなのね」


 私が言うと、ランベールがうなずいた。


「そうだ。かなりの強敵だと思う」

「それはそうと、フレデリカだけどさ……あたしと試合したじゃん?」


 ゾーヤが私を見ながらつぶやくように言ったので、私は思わず聞いた。


「ゾーヤ? フレデリカと戦って、何か感じたの?」

「ああ。あいつは強い。メチャクチャ強いよ。でも、心の闇を感じた」

「闇?」

「そうだよ、ミレイア。あいつの心には闇がある。それがヤツの武器だ。あいつと戦っていると、深い、地獄の沼に引きずり込まれそうな感じになった」


 ゾーヤは、私に言った。


「きっとお前は、フレデリカと決勝で戦うことになると思う。もちろん、あいつは強敵さ」

「ゾーヤ……」

「だが、あいつの心の闇は、あいつの弱点にもなるような気がするんだ」



 次の日から、私とナギト、練習相手のルチアとバーナード、そしてマデリーン校長は1週間、スコラ・シャルロの裏庭で合同練習を行った。


 裏庭には、人があまり来ないから、4人で練習するには最適だ。


 ナギトは魔力模擬刀(まりょくもぎとう)を持ち、私は聖女の杖を持って構える。


「いくわよ、ミレイア!」


 ルチアは杖を振り、雷の魔法を放った。その瞬間、バーナードは死角からナギトに斬りかかる。


 ガイン!


 ナギトはそれを受ける。その瞬間、私は空気圧の魔法を、ルチアに向かって放つ。


 しかしルチアは、それを簡単に()けてしまった。

 

「だめね」


 マデリーン校長は首を横に振った。


「ミレイアとナギト! あなたたち、連携(れんけい)がバラバラ。動けてないわ。シルビアは精霊族、スピードがある。このままじゃ、簡単にやられるわよ。もっと、素早く!」

「ひ~!」


 ナギトは小さい悲鳴をあげ、ゼエゼエと息をついている。


「ま、まだやらせんのかよ! このパターン練習、100回目だぞ」

「スキあり!」


 バーナードがナギトの胴を狙って、魔力模擬刀(まりょくもぎとう)を横に払う。


 ナギトは何とか、それをかわした。模擬刀(もぎとう)ではあるが、斬られると1日は、胴がしびれてしまうだろう。


「ち、ちっきしょおお~!」


 ナギトは声を上げた。私もルチアを見て、杖を握りしめる。


「まだまだ!」


 マデリーン校長は声を荒げた。


「ナギト! 常にミレイアの前に立ちなさい。それを(おこた)っているわ。そしてミレイアの視界の邪魔にならぬよう、なるべく上半身を(かが)めて! あと3時間、練習を続けるわよ」

「わ、わかったよ! この鬼!」


 ナギトはブーブー文句を言った。


 私たちの合同練習は、それから3時間どころか、5時間も続いた。



 それからまた1週間が経ち、世界学生魔法競技会の準決勝第1試合が始まろうとしていた。


 場所は、エンジェミア王国北のミストンバルカ草原──グラーコンの大石碑(せきひ)周辺。


 私とナギト、マデリーン校長は馬車で、魔法競技会協会の連絡通りミストンバルカ草原にやってきた。


 広い広い、草の短い美しい草原だ。


「こんなところで、試合すんのか?」


 ナギトは馬車に()られながら言った。


「ちょっと心配ね」


 私も馬車から周囲を見回した。


 そして草原の中央──グラーコンの大石碑(せきひ)がある場所に降り立った。グラーコンとは、大昔、草原に住んでいた王の名前だ。


 向こうの方にテントが見える。そのテントには、魔法競技会の審判団や白魔法医師たちが待機している。


「どうやら、マジでこんなところで戦うようだな」


 ナギトはため息をついた。


「これ、生中継されてんの?」

「ええ……魔導教を通してね。で、相手は?」


 私が周囲を見回していると、向こうの岩場から、誰かが姿を現わした。


 黒いドレスに身を包んだ、背が高く美しい少女。──対戦相手のシルビアだ。


 そして──。


「うっ、やばい!」


 ナギトは私を守るように、私の前に立った。


「何だ、こいつ!」


 ぬうっ


 そんな音がしたと思った。


 身長が多分──約2メートル50センチくらいはある、坊主頭の巨人が、岩場の陰から現れたのだ。

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