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第5話 私と謎の少年

 私はミレイア。元大聖女。エクセン王国を追い出された私は、飛空艇(ひくうてい)で旅立つことにした。しかし、そこには巨大な魔物、ポイズンモンキーがうろついていた。


 ポイズンモンキーを退治した私は、飛行場から、飛空艇(ひくうてい)に乗り込むことができたのだった。


 座席に座り、1時間ほど、空の快適な旅を続けていると──。


『お客様に申し上げます。エクセン王国国境付近で、魔力の補給をいたします。ご了承ください』


 魔導拡声器(まどうかくせいき)による、飛空艇(ひくうてい)操縦者(そうじゅうしゃ)の放送があった。


(変ね……)


 これは異例(いれい)のことだ。

 飛空艇(ひくうてい)には魔力を()びた巨大クリスタル、「ツーオイ石」が仕込まれている。だから、動力源である魔力が枯渇(こかつ)することはない。


(やはり、私が結界を張るのをやめた影響だろうか?)


 私は少し責任を感じながら、着陸を待った。



 飛空艇(ひくうてい)から降りると、国境付近の飛行場の休憩所(きゅうけいじょ)に案内された。しかし、休憩所(きゅうけいじょ)の外──(飛行場と逆方向)を見ると、何やら騒がしい。そちらには商店街がある。


 ガシャン!


 ガラスが割れる音がした。向こうにあるレストランの窓が割れた!


(あっ!)


 私は思わず声を上げそうになった。


 道に、魔物がいる! この魔物は……! 鉄の(よろい)に身を固めた、アイアンナイト!


 バゴオオオッ


 今度はブロック(べい)を、手に持った(おの)で破壊した!


 近隣の商店街を破壊して回っているようだ。


「待ちなさい! 私が相手だ!」


 私は飛びだしていって、声を上げた。


「お、おい、ねーちゃん。き、危険だぞ」


 野次馬の一人が、私を心配して声をかけた。


「私は魔法が使えます! 皆さんは、安全な場所へ避難(ひなん)してください!」

「お、おう? あんた、魔物討伐家(とうばつか)か何かか?」


 野次馬たちは、そこから10メートルは離れた。


(ここでも魔物が……! 結界を解いた影響が出ているのか)


 私は国民に申し訳ない気持ちになったが、今はそんなことを言っている場合ではない。


 アイアンナイトは無言で私をにらみつけると、右手に持った鉄塊(てっかい)のような巨大な(おの)を構えた。


 ギシリ


 アイアンナイトの(よろい)がきしむ。


 ブウウンッ


 すさまじい風圧! (おの)を振ってきた!


「はあああああっ!」


 私は集中し、手を前に突き出した。


 ガキイイイン


 その途端、一瞬にして(おの)(こお)りつかせた。氷結魔法──! 無詠唱でできる中級クラスの魔法だ!

 ついでに、アイアンナイトの右腕まで、(こお)らせたわ!


「エクスプロジオン!」


 私は魔法を唱えた。エクスプロジオンは──「爆発」の意味である。


 ボゴオオッ


 効果抜群! アイアンナイトの右腕が粉々になり、氷のクズとなった。


「うおおおっ……」

「すげえぞ、あのねーちゃん!」


 野次馬たちが歓声を上げる。


 右腕のないアイアンナイトは、動かなくなった。(よろい)の中は何もない。がらんどうだ。


「やりますなあ」


 そんな甲高い男の声が、レストランの屋根の上からした。


 魔術師のような肌の青白い男が、屋根の上に立っている。


「……魔物使いか! あなたがアイアンナイトを(あやつ)っていたのね」


 私はピンときて言った。


「その通りですよ! 私は魔物使いルゲルフ!」


 口には(きば)が生えている。魔物使いと言っているが、吸血鬼の系統の魔物だろう。

 

「いただきましたよぉっ!」


 ルゲルフは気持ち悪い声で叫んだ。


「あなた方の乗っていた、飛空艇(ひくうてい)のツーオイ石から、膨大(ぼうだい)な量の魔力を吸い取らせていただきました!」


 ルゲルフはそう叫び、杖を(かか)げた。杖の先は光り、物凄い魔力を帯びている。本当に飛空艇(ひくうてい)の動力石から、魔力を吸い取っていたというのか!


「そおおおれっ! エア・ウラガーノ!」


 ルゲルフは杖を振りかざした。やばい!


 ドオオオン


 地面に大穴が空いた。空気圧だ。私は一瞬で左にかわしたが、つ、(つぶ)されるところだった……!


「まだまだですよ!」


 ルゲルフは大きな火の球を、杖から放った。しかし──ここだ!


 私はすぐさま、屋根の上に跳び上がり、ルゲルフに接近! 彼の胴体に、自分の手を近づけた。


「な、何だと! す、素早い!」

「蒸発──エバポラシオン!」


 バッシュウウッ


 ルゲルフの胴体が溶け出した。彼の脇の辺りから、湯気が立ち昇る。私は魔法によって、ルゲルフの肉体を熱で蒸発させているのだ。


「な、何だと! 私の体を蒸発させるとはああっ!」

「グラビティ・ネブリナ!」


 ミシミシミシッ


 ルゲルフの体が、私の重力魔法によってきしんでいく。


「ぎゃああああっ!」


 彼の顔がゆがみ、悪魔の形相になり──。


 バシュンッ


 ルゲルフの全身は消滅し、一瞬で大量の宝石に変化した。


「これにて、討伐(とうばつ)完了! 魔物の魂よ、霊の世界に帰りなさい!」


 私はルゲルフを倒した。しかし!


 ゴオオオッ


 その時だ。すさまじい音を立て、(おの)が回転しながら、飛んできた!


 地上のアイアンナイトが生きていたのだ。残った左手で、(こお)った(おの)を投げてきた!


 しかも、私を目がけて? こ、このままでは、直撃する!


(や、やばい!)


 これ……当たったら……死ぬ!


 「でやああああっ!」


 その瞬間!


 屋根の上にいた私の後ろから、誰かが飛びだした。そして、屋根から飛んだ! 男性だ! いや、少年? 17、8歳くらいの少年だ!


 ガイン!


 彼は自分の持った剣で、(おの)を弾き飛ばした!


 スタッ


 そして地面に降り立ち、そのまま剣をアイアンナイトに向ける。


「ギッ」

 

 アイアンナイトは(おの)を振ろうと左腕を動かす。が、その(おの)は、すでに向こうの地面に突き刺さっている。


 少年は、アイアンナイトの胴に向かい、剣をはらった。


 ガッシャアアーン


 アイアンナイトの胴体を、剣で一刀両断!


 バシュンッ


 アイアンナイトは、宝石に変化してしまった。少年は、アイアンナイトを退治したのだ。


(す、すごいわ! だ、誰?)


 私は地面に降り立った。そして、私を助けてくれた少年を見た。


 少年は、私に近づいてきた。黒いシャツ、黒いズボンを穿()いている。


「お前さ、バカだなー」


(な、なんですってえええ?)


 しょ、初対面の同年代の男子に、いきなりバカ呼ばわりされた!


「お前、魔法使いか何かだろ? あんな(おの)くらい、よけらんねーのかよ」


 少年はそう言って、剣を背中の(さや)にしまった。


 し、失礼すぎる……! こ、こいつ、誰……?


 っていうか、私は魔法使いじゃない! 元聖女なんですけど!

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