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第49話 フレデリカVSジェニファー②

 私──ミレイア・ミレスタは、フレデリカとジェニファーの試合を最前列で観ていた。


 フレデリカの頭上10メートルのところに、巨大な物体が突然現れたのだ。


 それは──巨大な彫像(ちょうぞう)のようなものだった。


(あれは……まさか!)


 確か、エクセン王国から追放された時、アルバナーク婆様と見た、無気味な彫像(ちょうぞう)そっくりだ。


 いや、そのものだと言っていい。


 まるで芸術家が()り上げたような、超巨大な彫像(ちょうぞう)だ。それは美女の彫像(ちょうぞう)であり、しかしながら腕が4本あった。


 そう──アルバナーク婆様が言っていた。


 (やみ)堕天使(だてんし)


「ど、どういうことよ?」


 ジェニファーは空を見上げて、目を丸くしている。


「何なの、あれ?」

(やみ)堕天使(だてんし)──フィレンティーヌ!」


 フレデリカが笑って言った。


「私が使役(しえき)している、(やみ)堕天使(だてんし)だ。私とほぼ同体と言っていい。影のようなものだ」

「フレデリカ、あんたにとり()いている死神みたいなもんでしょ! だ、だったら……」


 ジェニファーは、(やみ)堕天使(だてんし)を見上げた。


「私のダーク・ミロワールで、あのデカブツを吸い込んでやるうう~っ!」


 ゴオオオオオッ


 ダーク・ミロワールの(やみ)(うず)が、今の位置から、高度を上げた。そして、(やみ)堕天使(だてんし)を吸い込もうとしている。


 その時──。


 (やみ)堕天使(だてんし)が何かを念じると、いきなり(やみ)(うず)の前に、巨大な手が現れた。


 その手はまるで老婆のような、悪魔のような手──。手の平は横7メートルはある。とにかく、でかい「手」だ。


 ガバッ


 巨大な手は(やみ)うず(つか)んだ!


「な、何よ! 何が起こっているのよ!」


 ジェニファーが声を上げた。


 フレデリカは笑っている。


「これは(やみ)堕天使(だてんし)が思念で作り上げた、『サルヴェイション・ハンド』だ!」

 

 ギリリリリ


 サルヴェイション・ハンドは、ダーク・ミロワールの(うず)(つか)んでいる……! きしむ音とともに、やがて──。


 バキーン


 (やみ)(うず)が、巨大な手の中で(くだ)け散った!


「えっ! なっ……」

「フフッ……。なかなかの握力だろう。──それに、この『手』は大きくなったり小さくなったり、拡大縮小できて、便利なんだ」


 フレデリカは説明した。


 私は思い出した。フレデリカとゾーヤが戦ったとき、試合開始直後に、杖を取られたことがあった。


 あの拡大縮小できる不気味な「手」が、ゾーヤの杖を(うば)った……と私は推測(すいそく)した。


「サルヴェイション・ハンド!」


 フレデリカは叫んだ。


「ジェニファーを破壊せよ!」


 ゴオオオオッ


 巨大な平手(ひらて)が、ジェニファーの頭上に落ちてくる!


「くっ」


 ガイーン!


 そんな音がした。


 ジェニファーは両手を上に上げ、一瞬で金色の防御壁(ぼうぎょへき)を空中に作り上げていた。


 間一髪(かんいっぱつ)、巨大な平手(ひらて)の一撃を、自分の頭上で受け止めた。


 円型の防御壁(ぼうぎょへき)が、(かさ)のようにジェニファーを守っている。


「ふうっ、ふうっ……」


 ジェニファーの目は血走っている。無理もない。急に防御壁(ぼうぎょへき)を作り出したので、精神力が(けず)れているはずだ。


「じ、尋常(じんじょう)じゃないっつーの……」


 ガガガガガガ


 サルヴェイション・ハンドと金色の防御壁(ぼうぎょへき)が、音を立ててきしみあっている。


「ぜ、全開!」


 ジェニファーが声を上げた。


 金色の防御壁(ぼうぎょへき)が、より一層、光り輝いた。しかしあの巨大な手は、金色の防御壁(ぼうぎょへき)を、空中で押し(つぶ)しそうだった。


 その証拠に、ジェニファーの防御壁(ぼうぎょへき)には、ヒビが見える。


 ゴゴゴゴッ


「はあっ、はあっ!」


 ジェニファは、その場に座り込んだ。


「このやろおおおおおおっ!」


 ジェニファーは再び顔を上げた。


 ジェニファーの周囲に、無気味な闇の「気」が集まりだした。そして、ジェニファーの背後には──見覚えのある悪魔が見えた。


 私との試合中に見た、ジェニファーの悪魔だ! まだ、ジェニファーにとり()いていたというの?


 確か、私はあの悪魔を浄化(じょうか)したはずだ。しかし、1度悪魔にとり()かれると、消えることはないのか……!


 そのジェニファーと悪魔の発した闇の「気」が、防御壁(ぼうぎょへき)を包み込んだ。


 バリバリバリ


 サルヴェイション・ハンドが、闇の「気」に包まれた防御壁(ぼうぎょへき)を、押し(つぶ)そうとしている!


 フレデリカが破壊するのか! ジェニファーが耐え抜くのか!


 しかし……。


 ジェニファーが「ぐっ」とうめいた。背後の悪魔も、よろめいた。サルヴェイション・ハンドの圧力が……強すぎる!


 バーン!


 破壊! ジェニファーの防御壁(ぼうぎょへき)は、破壊された。(くだ)け散った……! ジェニファーにとり()いた悪魔も、消え去ってしまった。


 次は……ジェニファーが押し(つぶ)されるはずだ!


「うわーっ!」


 ジェニファーは頭を抱えて、その場に座り込んだ。


「ま、まいったまいった! 殺されるぅ!」


 審判団はあわてている。フレデリカはフッと顔色を和らげた。


『8分48秒! フレデリカ・レイリーン選手のギブアップ勝ちでございます!』


 その瞬間、サルヴェイション・ハンドは消え失せ、あの巨大な空の彫像(ちょうぞう)──フィレンティーヌも、消え去っていた。


 ジェニファーは顔を真っ青にして、フレデリカに向かって叫んだ。


「つーか、死ぬわよ! フレデリカ! あんたの相手してると!」

「意外に面白い戦いだったよ。ま、お前が死んだら、私も後味が悪いのでね」

「くっ……生意気な!」


 ──フレデリカは、Bブロックの準決勝に進出。


 相手は──スコラ・エンジェミアの生徒同士の対決。


 フレデリカVSジョゼットとなった。


 そして私──ミレイア・ミレスタの準決勝の相手は、まるで知らない相手。


 シルビア・マテナ・アジェ(精霊界学生選抜1位 精霊女王候補)だった。


 ……何者?


 そのときの私は、ナギトとコンビを組んで、シルビアと戦うことを、知らなかった。

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