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第45話 その頃、フレデリカは②

 世界学生魔法競技会第1回戦が、すべて終了した翌日──。


 フレデリカは「聖女王」が居住する、「聖女王宮殿」に向かった。


「フレデリカよ、よく来たな」


 玉座に座った聖女王ベアトリシアは、フレデリカに言った。聖女王の年齢は77歳らしいが、30代に見えるくらい若く美しかった。


「はっ」


 フレデリカは(ひざまず)いている。


「お前は先日の世界学生魔法競技会にて、見事勝利をおさめたと聞いたが」

「その通りでございます」

「しかし──相手のゾーヤとやらは、足に大怪我をしたそうだな。すでに勝負は決まっていたが、お前は追撃を加えそうになった──そう聞いているが」

「はい、おっしゃる通りでございます」


 フレデリカはニコッと笑って言った。


「ゾーヤは強敵。倒しても油断すれば、魔法で反撃してくるかもしれません。私は将来の魔物との大戦争を見越して戦っておるゆえ、油断をしない主義でございます」

「ほほう、戦争か。しかし、ゾーヤは血まみれだったそうだの」

「戦争であれば、相手が弱っていても、容赦(ようしゃ)はできない。先日のゾーヤとの試合、私も心が痛みました」


 フレデリカは実際、心など痛んでいなかった。結果は、ミレイアがゾーヤを助けて、フレデリカの反則勝ち。


 フレデリカはゾーヤを、容赦(ようしゃ)なく叩き(つぶ)すつもりだった。二度と自分に逆らえないように。


「分かった。試合内容については、これ以上問わないでおこう。勝利したのは、さすがだな。して、本題に入りたいのだが」


 聖女王は、咳払(せきばら)いをしながら言った。フレデリカはピクリと聖女王を見た。


「次期聖女王候補が、来年、決定する」


 来た……フレデリカはじっと聖女王の言葉を待った。


「その候補に、フレデリカ・レイリーンよ。お前を加えたいと思うのだが、どうだ?」


 フレデリカは(ひざまず)きながら、頭を下げた。


「ありがたき幸せ」

「お前は、スコラ・エンジェミアでもっとも才能のある生徒。しかも、エンジェミア王国の聖女でもある。学業で忙しい中、結界を張るのをおこたらない。見事な仕事ぶりだ。聖女王候補と見なしても、誰も文句はいわないだろう」


 フレデリカはニコッと笑った。しかし最近は、彼女の側近に結界張りをほとんど任せていた。スコラ・エンジェミアの指導員の仕事が、いそがしかったのだ。


 さて──聖女王は、考えながら言った。


「ただし、候補は他にもいる。先日勝利した、シルビア・マテナ・アジェもそうだ」

(くっ……あいつか! ……やはり)


 フレデリカは舌打ちした。

 シルビアは精霊界の学生であり、次期精霊女王候補ともいわれる。しかし、聖女王のほうがはるかに位が高いし、注目度も高い。彼女は精霊女王候補を辞退し、聖女王候補に名乗り出ることは間違いないと言われている。


「そして最近、候補として話に上がっているのが、ミレイア・ミレスタだ」

(うっ……! まさか?)

「我が宮殿では、彼女を聖女王候補に推薦(すいせん)するかどうか、議論している」


 ミ、ミレイア! あいつが、聖女王候補に?


 フレデリカはギリリと(くちびる)()んだ。


 旧友だが、生意気にも私と手を組むことを断ってきた。私に逆らったり、歯向かう者は容赦(ようしゃ)しない!


 しかも聖女王候補に選ばれそうだと……。ミレイアはいまや、フレデリカの完全な好敵手となった。


「そこでお前に、聖女王になってもらうための条件を出そう」


 聖女王は言い、フレデリカはうなずいた。


「はっ、何なりとお申し付けください」

「1つめ……フレデリカ、お前自身が、世界学生競技会で優勝すること」

「はい」

「2つめ……お前は、スコラ・エンジェミアで指導員をしているそうだな。2つめの条件は、世界学生競技会に出場している、他の2人の生徒……つまり、ジョゼットかナターシャが準優勝以上を成し遂げること」

「はっ、なるほど」

「この条件は、お前が周囲の者を、よりよい道に導けるかどうかを試すものである」

「分かりました」

「以上、この2つ──。この条件に合格できれば、聖女王候補の道が開ける。そのまま聖女王に任命されてもおかしくない」


 フレデリカの顔はパッと輝いた。


「はい」

「私も老齢だ。これからは若い聖女王が必要だと思う」

「私は、ベアトリシア様以上の聖女王は存在しないと思いますが」


 フレデリカは(婆さんには退任してもらう)と心の中で思っていたが、それは当然、言わなかった。


「ご意見、頂戴(ちょうだい)いたしました。この2つの条件、必ずや合格してみせます」

「よかろうよ、フレデリカ」

 

 聖女王は笑って席を立った。


「若い聖女よ、またな」


 聖女王は玉座から、消え去ってしまった。




「んで? 聖女王はなんだって?」


 宮殿の外で待っていた、フレデリカの右腕、ナターシャ・ドミトリーはすぐに聞いてきた。


「聖女王候補になるには、2つ条件があるそうだ」


 フレデリカはナターシャに、2つの条件を説明した。ナターシャはフレデリカの説明を聞き、ニヤリと笑った。


「ふん、聖女王候補になる条件って、そんなんでいいの? ほぼ確実にフレデリカの優勝、あたしの準優勝じゃん? ああ、決勝であたしは、フレデリカ、あんたと当たるだろうから、勝ちをゆずるよ」

「八百長か」


 フレデリカはクスクス笑うと、ナターシャは「アハハ」と豪快(ごうかい)に笑った。


「まーね。あたしは賞金もらって、ケーキと高級ステーキを毎日食べられりゃいいんで」


(こいつ──ナターシャは強い。だが、頭はバカだ)

 

 フレデリカは思った。


(さっさと私の出世の()み台になってもらう……。悪いがな)


 フレデリカの思いとは別に、ナターシャは無邪気にケラケラ笑っていた。


(だが、問題はミレイアだ。第2回戦はミレイアとナターシャが戦うことになる)


 実力ではナターシャが圧倒的だろう。我が、スコラ・エンジェミアの学校内ランキング2位だ。負けるわけがない。


 しかし……ミレイア・ミレスタには何かがある。何かを秘めている……。


 フレデリカは、笑っているナターシャを見て、何か嫌な予感を感じていた。

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