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第43話 ゾーヤVSフレデリカ①

 ついに、ゾーヤの魔法競技会第1回戦の日がきた。


 対戦相手は、あのフレデリカ。私たちはゾーヤと一緒に、レイクウーズ競技場に行った。私は助言者(アドバイザー)といて、ゾーヤを助けるつもりだ。


(フレデリカ……どういう戦いを見せるのか……。ゾーヤは勝てるのかしら?)


 私は嫌な予感しかしなかった。


 場所はエンジェミアの西、レイクウーズ競技場。


(スタジアムではないのに、お客がたくさん来ているわね)


 小さい競技場は、観客で満杯だ。


 エンジェミアの聖女、フレデリカにとても人気があるせいだろう。すると、後ろからジョゼットの声が聞こえた。


「ミレイアさん、ゾーヤさんをよろしくお願いします」


 私は助言者(アドバイザー)という役割のため、舞台の横に立っていた。そして、私のすぐ後ろの客席には、ジョゼットが座っている。


「あたしは、最高に調子がいいぜっ! フレデリカ!」


 ゾーヤは、舞台で飛び()ねながら叫んだ。


 もうすでに、フレデリカも舞台に立っている。


「私は今度、聖女王に会いに行く」


 フレデリカは言った。


「だから、この勝負は私が勝つことになっている」

「ほー。じゃ、なおさら、あんたを勝たせるわけにはいかないね。あんたの都合なんて知らないからさ、こっちは!」


 ゾーヤは声を上げた。


 ドーン!


 試合開始の太鼓(たいこ)が鳴った。


 ゾーヤは杖を構え、唱えた。


「ゾーヤ・エクスフラ……」


 パシッ


(えっ!)


 私は声を上げそうになった。


 い、いつの間にか……!


 ゾーヤの杖が、フレデリカの手にあったからだ!


「……遅い」


 フレデリカはしげしげとゾーヤの杖を見て、つぶやいた。ゾーヤとフレデリカの間には、3メートル距離がある。その距離があるのに、一体どうやって、一瞬にして杖を奪ったのか?


「ほら」


 フレデリカは、ゾーヤに杖を投げて返した。よ、余裕……!


「お、お前~! い、今、何した!」


 すると、ゾーヤの体がぼやけた。分身の術だ!


 5人のゾーヤが、素早くフレデリカを囲む。この攻撃は、とてもいい!


「ふっ」


 フレデリカは笑った。


「シャレた技を使うじゃないか。魔法使い候補の……えーっと、あんた誰だっけ?」

「だまれっ! ──ゾーヤ・トルナードフランマ!」


 5人のゾーヤの杖から、渦巻(うずま)(じょう)の火炎魔法が放たれる。


 それを見たフレデリカは、空中に()び上がった。火炎魔法を避けるための、定石(じょうせき)だ。


「魔法がきたから、上に()ける──。頭が悪い行動パターン! バカだね!」


 ゾーヤは杖を上に向け、火の球の魔法を発射した。


 しかし、その火の球は空中のフレデリカを突き抜けてしまった。


「あれは、フレデリカ様の分身です」


 後ろから、ジョゼットが私に言った。そ、そうか! フレデリカも同時に、分身の術を使用していたのか!


 すると、いつの間にかゾーヤの後ろに、フレデリカの姿があった。


「う、わ」


 ゾーヤは危険を察知(さっち)したのか、前方に飛び、体を反転させフレデリカを見た。


「ヴェルトウェル・フォノメーヌ!」


 フレデリカが聞き慣れない呪文を唱えた。


 すると、フレデリカの手から何かが発された。……何、あれ?


 紙……? だいたい、メモ用紙くらいの大きさだが……。


 フレデリカの手から、無数の紙きれが飛び出してくる。魔法でできた、実在しない紙なんだろう。しかし、その紙の形が奇妙だ。


 その紙の形──人型(ひとがた)の紙だ!


「な、何だそりゃ。魔法か? ハッタリか?」


 ゾーヤは顔をひきつらせながら、言った。


 ぶわっ


 人型ひとがたの紙が、ゾーヤに飛びかかる!


 まるで鳥のようだ!


「う、うわあっ」


 ドオオッ


 無数の人型(ひとがた)の紙が、ゾーヤを包む。ゾーヤは顔を(おお)って防御! しかし──。


 ズバババババババッ


 嫌な音がした。


 10秒後、人型(ひとがた)の紙は、ゾーヤのそばから上空に飛び去っていった。


 残されたゾーヤは……!


 着ているローブはボロボロ。そして……全身は血まみれ……!


「ゾ、ソーヤ!」


 私は思わず声を上げた。こ、これ以上試合はムリだ!


棄権(きけん)しましょう!」


 ゾーヤは私のほうを振り返る。すると、ジョゼットが言った。


人型(ひとがた)の紙は、魔法でできています。しかし、その魔法の人型(ひとがた)の紙には、魔法の刃が仕込まれています」


 ジョゼットは説明した。


「それで、ゾーヤさんを()(きざ)んだのです」


 フレデリカは、ボロボロで血まみれのゾーヤを見て、ため息をついた。


「ゾーヤ・ランディッシュ……相手にならない」


 フレデリカは首を横に振りながら言った。


「もっと戦いを楽しめると期待していたんだが……」

「ふふふっ」


 ゾーヤは血まみれになりながら言った。


「血が出てるからって、何だ? 体中が痛いからって、何だってんだ?」


 ゾーヤは両膝(りょうひざ)に手をついて、必死で立っている。


「あたしは、フレデリカ──あんたを倒すことしか考えてない! ──ミレイア! 誰が『棄権(きけん)』だって? あたしをなめるなよっ。これからフレデリカを倒すんだからね!」


(ゾーヤ……)


 私は祈るような気持ちで、ゾーヤを見た。あの血まみれの姿……痛いだろう。立っていることさえ、辛いはずだ。


「ふうん?」


 フレデリカは意外そうな顔をした。


「思ったより、根性があるのか」

「マジでなめんな……あたしの最強の魔法──」


 ゾーヤは杖を構えた。腕の切り傷から、杖に血がしたたり落ちる。


「クインディチ・オル・フランマ!」

「おお……」


 フレデリカは初めて、感心したような声を上げた。


 ゾーヤの頭上には、5……いや、10個もの火の球が出現していた。


 その火の1つ1つが、大きな岩のように大きかった。

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