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第42話 スコラ・シャルロに、スコラ・エンジェミアの生徒がご来校②

 私たちは、ジョゼットが持ち込んだと思われる、スコラ・エンジェミアの映像を観た。


 フレデリカが下級生を平手(ひらて)や杖で、思い切り殴っている。


「これが、スコラ・エンジェミアの日常の訓練風景です」


 ジョゼットは説明しているが、この顔は悲痛に満ちていた。


「どういうことなの?」


 私があわててジョゼットに聞くと、彼女はしばらく考えてから、口を開いた。


「スコラ・エンジェミアでは、フレデリカ様の暴力が、日常的に行われているのです」

「ど、どうして?」

「フレデリカ様は、スコラ・エンジェミアを名実ともに1番の聖女養成学校にしようと、躍起(やっき)になっているようです。その理由は、聖女王の座をねらっているからだと思われます」


 すると、ゾーヤが眉をしかめて声を上げた。


「せ、聖女王~? 聖女王ってあれだろ。聖女のなかの聖女っていわれる……」

「そうです」


 ジョゼットがうなずいてそう言うと、マデリーン校長が補足(ほそく)した。


「聖女王は、各国の聖女を指導できる立場の人物よ」

「どうか、お願いです!」


 いきなりジョゼットは、ゾーヤのほうを見て、頭を下げた。


「今度の試合、フレデリカ様に勝ってください!」


 ジョゼットは言った。


「スコラ・エンジェミアは幼年部、小学部、中学部もあります。私はもうずっとスコラ・エンジェミアの生徒ですが……。フレデリカ様が生徒の指導員になられてから、スコラ・エンジェミアは変わってしまいました」

「ど、どう変わったの?」


 私が聞くと、ジョゼットは叫んだ。


「フレデリカ様の独裁学校に、です! 暴力が認められる、恐ろしい場所に変わってしまいました。最近は、教師たちも生徒に暴力をふるうようになりました」


 ジョゼットはゾーヤを見た。


「次の試合はゾーヤさんとフレデリカ様の対決です。どうか、お願いします。フレデリカ様に勝って、スコラ・エンジェミアをもとの楽しい学校に戻してください! ゾーヤさんが勝てば、フレデリカ様は(あやま)ちに気付くと思うのです」


 ゾーヤはジョゼットの言葉を聞き──。


「おい」


 そう言った。


「だ、ダメよ、ケンカは」


 私はゾーヤをなだめるように、ゾーヤの腕をつかんだ。しかし、ゾーヤは私の手を振り払った。


「あんたさぁ、ジョゼットだっけ?」

「は、はい」


 ジョゼットは、恐る恐る、ゾーヤを見た。

 するとゾーヤは言った。


「マジでゆるせねえ……。あたしは、一方的な暴力が大嫌いなんだよ。あたしも中学部のとき、先公(せんこう)にひっぱたかれたからね。何もしてないのに、勝手に不良少女みたいに言われてさ」


 ゾーヤは胸を張った。


「このゾーヤ姉さんにまかせな、ジョゼット!」

「ゾーヤさん!」

「あたしが、フレデリカをぶっ倒してやるよ。そんな卑怯(ひきょう)で汚いことをするヤツならな。あたしがお仕置きしてやるって!」

「あ、ありがとうございます! ゾーヤさん」


 ジョゼットが再び頭を下げたとき、マデリーン校長が口を開いた。


「問題はフレデリカの強さだけど」

「え?」


 ゾーヤは眉をひそめて、マデリーン校長を見た。


「ぶっ倒しゃいいんでしょ、フレデリカなんか」

「……フレデリカが、なぜスコラ・エンジェミアのランキング1位の生徒なのか。それは、フレデリカが単純に強いからよね? ジョゼット」


 マデリーン校長が、ジョゼットに聞いた。


「は、はい」

「フレデリカはレイリーン家の娘。そうだったわね」

「レイリーン家の先祖は東方から来た、謎の民族です。独自の魔法の技術があると聞きます」

「レイリーン家の隠された魔法技術……聞いたことがあるわ」

「ええ。聖女や魔法使いの魔法とも、術とも違う、独自の魔法技術を持っていると聞いています。それがフレデリカ様が、エンジェミアで聖女になった秘密です」


 ジョゼットは言った。


「でも、それは一切、私たち、スコラ・エンジェミアの生徒にさえ、公開されていないのです。フレデリカ様の試合の映像記録も、見れないようになっています」

「秘密主義ってわけね」


 マデリーン校長が目を光らせながら言った。


「フレデリカ……思ったより、恐ろしい相手だと思うわ。大貴族のレイリーン家は、昔から王族と(つな)がりがあり、様々な秘密があると聞くから」

「おいおいおい」


 ゾーヤが伸びをしながら、言った。


「あたしが負けるっての? あたしだって、ミレイアと特訓を積んできたんだよ? 勝つでしょ、余裕で」

「そうだと良いのですが」


 ジョゼットは心配そうに、ゾーヤを見た。


「でも、お願いですから、フレデリカ様に勝利してください。スコラ・エンジェミアを救ってください!」


 ジョゼットは泣いていた。私はジョゼットの肩を、横から抱きしめた。


 きっと、悲痛な決心で、このスコラ・シャルロに来たんだろう。


 もしゾーヤが負け、フレデリカが決勝に勝ち上がり……もし私が決勝に行くことになったら……。


 当然ながら、私とフレデリカが優勝を争うことになるのだ。

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