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第41話 スコラ・シャルロに、スコラ・エンジェミアの生徒がご来校①

 ここは勇者・聖女養成学校、スコラ・シャルロの訓練施設。


 私──ミレイア・ミレスタは、明後日(あさって)の重要な試合のことを考えていた。


 その試合とは、エンジェミア王国で行われる──


 ゾーヤ・ランディッシュ(スコラ・シャルロ2位 魔法使いコース) 

 VS 

 フレデリカ・レイリーン(スコラ・エンジェミア1位 聖女コース)注・現エンジェミア聖女 


 ──である。




「おいっ、ゾーヤ! 本気でやるなよ! わかったな」


 練習用競技場で、ナギトが叫んだ。ナギトは、魔力がかけられた練習用防具に身を包んでいる。


「わーったから、かかってこい」


 ナギトの前に立っているのは、ゾーヤ・ランディッシュだ。


「よ、よーし。どりゃあああっ!」


 ナギトは魔力模擬刀(まりょくもぎとう)で、ゾーヤに襲い掛かった。


 するとゾーヤは杖を振りかざし──。


「ゾーヤ・エクスフランマ!」


 ボワアアアアッ


 杖から放たれた炎の(うず)が、ナギトに襲い掛かる。


「げええっ! あちちちち!」


 ナギトは前進を止め、逃げ出した。


 ゾーヤは後ろから、追い打ちをかけるように、火の魔法を放つ。


 あっ! ナギトのお尻に火がついた!


 魔導防具(まどうぼうぐ)のおかげで、たいした火傷(やけど)はないだろうが、かなりの火の勢いだった。


 ゾーヤは声を上げた。


「焼肉にならなかっただけでも、ありがたいと思え」

「てめー! 本気でやるなって言っただろうが!」


 ナギトは泣き声を出して、わめいている。


「ナギト! お尻をこっちに向けて」


 私はナギトのお尻に、火傷(やけど)用の治癒(ちゆ)魔法をかけてあげた。


「これじゃ効き目が分からないから、ズボン脱いでね」


 私が言うと、ナギトは顔を真っ赤にした。


「おいバカ! 恥ずかしいだろ!」

「そう、残念ね。まあ、冗談(じょうだん)なんだけど」


 私はふき出しそうになりながら、言った。もちろん治癒魔法は、ズボンの上からでも効果はある。


「それにしても、だ」


 ゾーヤは杖を宙にしまいながらつぶやいた。


「フレデリカはどうして、エンジェミアの聖女になれたんだ? スコラ・エンジェミアのランキング1位になれたんだ?」

「単純に、実力があるからじゃねーのか」


 ナギトはつぶやいたが、横で練習を見ていたランベールが言った。


「いや、フレデリカは、昨年──つまりスコラ・エンジェミアの1年生のとき、一切、魔法競技会に出場していない」


 ランベールは続けた。


「試合映像も、まったく残されていない。どんな試合をするのか、まったく分からないんだ」


 そう──。フレデリカがどんな能力をもち、どんな戦い方をするのか、私もゾーヤも、ナギト、ランベールも知らなかった。


「くそ! 何かイライラする。あのフレデリカってヤツのことを考えると」


 ガスッ


 ゾーヤはいつになく不安気で、訓練所横の練習用人形に蹴りを入れた。


 私は、7歳のフレデリカが、いじめっ子の手首の骨に、魔法でひびを入れたことを思い出していた。


 私は、彼女の生まれ持った攻撃的な性格に、少しゾッとした。


 その時──。


『2年B組のミレイア・ミレスタさん、ゾーヤ・ランディッシュさん。至急、校長室まで来てください。お客様がお待ちです。()り返します。2年B組の──』


 訓練施設内に放送がかかった。

 

 私とゾーヤは、顔を見合わせた。お客様って、誰だろう?




 私とゾーヤは急いで職員室奥の、校長室に行った。ソファーにはマデリーン校長と、見覚えのある、小柄なかわいらしい少女が座っていた。


 美しい、清楚(せいそ)な白い制服を着ている。


「こんにちは。お久しぶりです、ミレイアさん、ゾーヤさん」


 少女は私とゾーヤに、つつましく笑顔を見せて言った。


「ジョゼット!」


 私は声を上げた。


 この少女は、オーマシェリで会った、スコラ・エンジェミア所属のジョゼット・マレーカだった。確か、今は13歳だが、15歳から入学可能のスコラ・エンジェミアに、飛び級で入った天才少女だ。


(確か、告白されたんだっけ……。私のファンだって)


 私が赤面していると、マデリーン校長が、「2人とも、ソファにお座りなさい」と言った。


「この魔導鏡(まどうきょう)を見てごらんなさい。スコラ・エンジェミアでの訓練の様子を見ることができるわ。ジョゼットが映像記録を、持ってきてくれたの」


 私たちは眉をひそめて、ソファ左手に置いてある、魔導鏡(まどうきょう)(魔法の力で、記録した映像などを見ることができる魔道具)を見た。


(これは……本当に、スコラ・エンジェミアの映像だわ!)


 魔導鏡(まどうきょう)には、スコラ・エンジェミアの訓練施設の、訓練風景が映し出されている。この前、スコラ・エンジェミアに行ったとき、訓練施設を少し見学できたが、同じ風景だ。水分補給するための魔導(まどう)冷蔵庫が5つ並び、練習用舞台も3つ設置されている。


 スコラ・シャルロとは比べ物にならないくらい、豪華な設備だ。


(おや? フレデリカだ)


 フレデリカが、下級生を指導している様子が、映し出されている。


(ん?)

 

 様子が変だ。


 バシイッ


「えっ!」


 私は思わず声を上げた。フレデリカが、下級生の女子を、杖で殴りつけた!


 パシンッ


 次に、今度は倒れている女生徒を、平手で叩いた!


「お、おいおい……やばいって」


 ゾーヤがあわてて声を上げた。


「どうなってんだよ。暴力じゃないか」

「これが、スコラ・エンジェミアの日常の訓練風景です」


 ジョゼットは説明したが、その顔は悲痛に満ちていた。


「えええ?」

 

 私とゾーヤは顔を見合わせた。


 い、一体、世界最高の聖女養成学校──スコラ・エンジェミアで、何が起こっているんだろう?

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