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第39話 ナターシャVSロデリア

 世界学生魔法競技会1回戦、第2試合──。


 ナターシャ・ドミトリー(スコラ・エンジェミア2位 聖女コース)注・前年優勝者 VS ロデリア・スレイマーダ(スコラ・ビダーラン1位 魔法使いコース)。


 私──ミレイア・ミレスタは、その試合を観戦することにした。ナギトとゾーヤも、一緒に観戦だ。


 一方、ナターシャとロデリアは、すでに舞台上でにらみあいをしている。


「かかってきな」


 ナターシャは言った。杖を出さず、腕組みをしているだけ? 


「に、仁王立ちだぞ、あいつ」


 ゾーヤは言った。


 私も、こんな構えをする術者は初めて見た。


「ふ、ふん、ナメてますね?」


 ロデリアは、資料によれば身長144センチと小柄(こがら)だが、体重は110キロらしく、まん丸な体型だ。


 杖を構えている。


 ドーン


 太鼓(たいこ)が鳴らされた。試合開始だ!


(こお)っちゃいなさい! ──アイスバーン!」


 ロデリアは杖を横に振りかざした。


 魔法が床を(こお)りつかせ、ナターシャに襲い掛かる!


 ビキイイイッ


 そんな音がした。魔法の氷が、ナターシャの全身を(おお)いつくしていた。ナターシャは氷漬(こおりづ)けにされ、動けない。


凍傷(とうしょう)で1ヶ月は苦しみなさい!」


 ロデリアは丸々とした顔で、コロコロと笑った。


「これがアイスバーンって魔法? たいしたことないじゃん」


 全身を氷漬(こおりづ)けにされた、ナターシャが声を上げた?


「はあああああああっ!」


 ナターシャの気合いが周囲に響き渡った──と同時に──。


 バリーン!


 という音がした。ナターシャは体にはりついた氷を、全部、吹き飛ばしてしまった。全身をめぐる、「気」の力を利用したんだろう。ナターシャは氷漬(こおりづ)けから解放され、パンツスーツ姿の元気な姿を見せた。


 無傷だ! 体に付着した(しも)を手で払っている。


「な、何いいっ? じゃあ、こいつはどうです?」


 ロデリアは杖を使い、宙にスイカ大の「気の球」を作りあげた。


「これを喰らってごらんなさい!」


 その気の球を、杖で思いきり打った! 


 ナターシャの顔にむかって、気の球が超スピードで(せま)る! しかし、ナターシャは腕組みをやめない。


 ガツン!


 にぶい音がした。


 ナ、ナターシャの顔に直撃……。お、女の子の顔に……。気の球ははね返って、空中に消滅した。


「ごめんなさいね」


 ロデリアは、またしてもコロコロと笑った。


「手加減できなくて……。顔面骨折で済むかしらねえ」


 しかしその時! ──ロデリアは「あっ」と声を上げた。


 観客もドヨドヨッとさわぐ。


 またしても! ナターシャは平然とした顔をして、仁王立ちだ。鼻血も出ていない。腕組みも解いていなかった。


「最強の防御をほこる、私──ナターシャ・ドミトリーに、そんなへんぴな攻撃は効かないよ」


 ナターシャは言った。ほ、本当に顔に傷一つない。どうなっているの?


「なんて精神力なんだ? 身動き一つしねえんだからよ」


 ナギトはつぶやくように言った。


「じゃ、攻撃のほうも受けてみるかい、ロデリア」


 ナターシャはついに腕組みを解いた。


「こ、このおっ!」


 ロデリアは駆け出して、大きく飛び上がった。あの丸っこい体型からは、信じられないほど跳躍(ちょうやく)した。


 空中にいるロデリアから、魔法が放たれる!


「フランマ・エクスプロジオン!」


 ドパッ


 ドーン!


 すさまじい爆発が、舞台上で起こった。火と爆発の魔法だ!


 スタッ


 ロデリアは地面に着地し、周囲を見回している。


 あ、あれ? ナターシャがいない。煙が立ち昇っており、よく見えない。舞台には、大きな半球状の穴が空いている。


 ロデリアの魔法は、破壊力があった。しかし──。


「残念。でも、あんた強かったよ」


 ナターシャの声がした。


 後ろだ! ロデリアの後ろに、ナターシャが立っている。一瞬で、ロデリアの魔法をかわしていたのだ。


 ナターシャの右腕が、銀色に光る!


 ガスッ


「ぐ、げ」


 ロデリアが声を上げ、地面に倒れ込んだ。


 ナターシャはロデリアの首筋に魔力のこもった手刀(しゅとう)を一撃、叩き込んでいたのだ。


 ロデリアは地面にうつ()せになり、ピクリとも動かない。


「いかん!」


 声を上げたのは、舞台外にいた白魔法医師たちだった。すぐに舞台上に駆けつけ、うつ()せのロデリアを確認した。


 首筋を確認している。


「だめだ! 首を動かさないほうがいい!」


 やがてすぐに、審判団に合図した。


『4分40秒! ナターシャ・ドミトリーの勝利でございます!』

 

 ドオオッ


 観客はざわついた。


「おい、ジェニファーの姉、強いな」

「魔法か? あれ」

「体術だろうな」


 ナターシャは舞台から降り立った。私は、勝利者のナターシャのそばに駆け寄って、聞いた。


「あなた……今の技は何?」

「ああ、あれ? 魔導体術(まどうたいじゅつ)だよ」

「ま、魔導体術(まどうたいじゅつ)?」


 初めて聞く魔法技術だ! 私は驚いた。


「魔力を込めた、打撃技、体術技のことだよ。パンチとか、キック、手刀(しゅとう)に魔力を込めるんだ。スコラ・エンジェミアのトップは全員身に付けている技さ。あんたも見たろ、ジョゼットが杖で投げつける技を」


 私はハッとした。思い出した。確か、オーマシェリで、ジョゼットがラーラを杖を使用して投げつけていた。


「そういや、あんたミレイアだっけ? 次戦は私と試合だったよね?」


 ナターシャは私をジロリと見た。


「あんたを仕留めるのに、3分もかかんないよ」

「な、何を……」

「あたしの防御は鉄壁。攻撃も最強」


 ナターシャは、そのモデル体型の背筋を正して、ニマッと笑った。


「最強の(ほこ)と最強の(たて)を同時に持つ女──と呼んでよ。なーんてね」


 今までの敵の中で、最も強敵だ。


 私は、もう行ってしまう彼女の後ろ姿をじっと見ていた。

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