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第37話 フレデリカと私、スコラ・エンジェミアで会う④

 私──ミレイア・ミレスタとマデリーン校長、そしてフレデリカの、不穏(ふおん)な対話は続く──。


 フレデリカは「フフッ」と笑った。


「来年から、あなたたちのスコラ・シャルロはなくなります。スコラ・シャルロの生徒は、我がスコラ・エンジェミアの生徒になる。全員、れなく。そう申し上げているのです」

「バカな!」


 マデリーン校長は、机をバンと叩いた。


「子どものたわごとも、ほどほどにしなさい!」

「たわごとではありませんよ、マデリーン校長」


 フレデリカは恐れず言った。私は、フレデリカが大変なことを言っていると思った。


「あなたたちの学校、スコラシャルロの生徒の500名は、スコラ・エンジェミアの生徒になります。これは聖女協会副会長の私──フレデリカ・レイリーンに決定権が与えられ、決めたこと。他の学校も同様です」

「バカを言わないで!」


 マデリーン校長は怒鳴った。


「なぜ、そんなことを決定したの?」

「先程も申し上げたとおり、この世は魔族に支配されるからです。そのとき重要なのが、若い勇者や聖女候補(こうほ)たちです。最高の聖女養成学校である、スコラ・エンジェミアが、この世界すべての勇者・聖女養成学校を指導しなければ、魔族に対抗できません」

「何を勝手な!」

「そのすべての『指導』は、私、フレデリカ・レイリーンが行います」

「指導ですって? 17歳のあなたが?」


 マデリーン校長は、呆れたような顔をした。


「あなたには人を思いやる『愛』がないわ。人を指導する資格がない! 愛があれば、他の学校を(つぶ)そうをしたり、自分の支配下、監視下(かんしか)におく、なんて発想はできないはず!」

「愛……? 幻想ですよ、そんなものは存在しない」


 17歳の少女はクスクス笑いながら、ハエを追い払うような仕草をした。


「スコラ・エンジェミアの支配下になった学校の生徒は、私の(こま)になってくれるでしょう」

「な、何を言っているの? あなたは」

「人間は、頭の良い人間の指示に従い、効率的(こうりつてき)に動けば良いのです!」

「それは教育ではない! フレデリカ、若いあなたが教育を実践(じっせん)するのは、早すぎる」


 マデリーン校長は興奮しながら言ったが、フレデリカは冷淡(れいたん)に返した。


「出来の悪い人間は、切り捨てておけば良いんですよ。出来の悪い──簡単にいえば、私の方針に従わない、バカな人間どもです。まあ、強引にでも(したが)わせますよ。それでもダメだったら、どこかへ追放してしまえば良い」


 これが17歳の少女の発言なのか。

 私は困惑していた。


 フレデリカは勝ち誇ったように、冷たい目で私たちを見ていた。


 しかし、マデリーン校長が口を開いた。


「なるほど、今の意見をまとめれば、スコラ・エンジェミアの生徒が、スコラ・シャルロの生徒より優れている──そういう前提(ぜんてい)なのね」

「……何をおっしゃりたいんですか?」


 フレデリカはピクリとマデリーン校長を見た。マデリーン校長は冷静に続けた。


「では、スコラ・エンジェミアの生徒を、スコラ・シャルロの生徒が全国魔法競技会で倒せばどうなるかしら。立場は逆転するわね」

「……ありえない!」


 フレデリカはクスクスッと笑って叫んだ。しかし、(ほお)はピクピクッと震えていた。


「最上級の聖女養成学校、スコラ・エンジェミアが、他校の生徒に敗北することは考えられない。ありえません!」

「ありえるわよ」


 マデリーン校長は、きっぱり言った。私は驚いた顔で、マデリーン校長を見た。まさか、秘策(ひさく)が?


「ここにいるミレイア・ミレスタが」


 え? 私? マデリーン校長は話を続ける。


「あなたたち、スコラ・エンジェミアの生徒を打ち倒すでしょうから」

「……アッハッハ!」


 フレデリカは手を叩いて笑っている。


「バカな! 我がスコラ・エンジェミアが、他校に(おく)れをとるなどっ……!」

「フレデリカさん。あなた自身が、ここにいるミレイアに負けるのよ」

「は……」


 フレデリカの笑顔が消えた。


「ふふん……そうですか! 私をね……。エンジェミアの聖女……つまり聖女王を除き、全世界の聖女の頂点である私が、ミレイアに倒されると」

「そうよ」

「これは戦争だ!」


 フレデリカは突然、声を荒げた。


 ギリリッ……


 彼女の歯ぎしりの音も聞こえてきた。


「あなた方を(つぶ)すっ……! 手加減はできませんよ。マデリーン校長、そしてミレイア! マンフレッド教頭、時間がきたようですね」

「はっ」

 

 後ろに立っていたマンフレッド教頭は、「では、フレデリカ様は聖女の職務(しょくむ)があるので、会議は終了です」と言った。


「帰りましょ」


 マデリーン校長は立ち上がった。私もあわてて立ち上がった。


 フレデリカを見ると、すさまじい眼光で、私たちをにらみつけているのだった。


(これは戦争だ!)


 フレデリカの言葉が、私の心を(にぎ)りしめているようだった。


 全国学生魔法競技会……これは学校の存亡をかけた戦いになるはずだ!

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