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第34話 フレデリカと私、スコラ・エンジェミアで会う①

 私──ミレイア・ミレスタとマデリーン校長は、一緒に旅立った。私が世界学生魔法競技会に出場することが正式決定した、1週間後のことだった。


 これから、西に1000キロメートル離れた、世界の中心、エンジェミア王国のスコラ・エンジェミアに行く。


 私たちを乗せた魔法馬車(馬に魔力がかけられた馬車。通常の馬車の50倍速く走る)は、エンジェミア王国に入った。


 馬車でピンク色の湖のほとりを駆け、水晶の木が生えた森を抜ける。


「美しい場所ですね」

 

 私がマデリーン校長に言うと、彼女はこう答えた。


「エンジェミアは昔、天使が住んでいたといわれている国なのよ」


 やがて、スコラ・エンジェミアの敷地が見えてきた。



「すごいです!」

「立派ねぇ」


 私とマデリーン校長は、スコラ・エンジェミアの敷地に入るなり、目を丸くした。


 広大な敷地内には、宮殿のような巨大校舎がどん、と建っている。舗装された校庭には、チリひとつ落ちていない。奥にはプール3つ、体育館3つ、専用の試合用スタジアムが3つもあるようだ。


(ご、豪華だなあ……)


 私はため息をつくしかなかった。


 スコラ・シャルロはプール、体育館、スタジアムが1つずつだから、規模が違いすぎる。


 午後4時。私は校庭を観察した。帰宅時間なので、スコラ・エンジェミアの生徒が校舎から出てきた。


 皆、白く美しい制服を着て、つつましく笑っている。


「きゃあああっ! あの人!」

「ミランダ・マデリーンじゃない?」


 マデリーン校長のそばに、女生徒たちが駆け寄ってきた。マデリーン校長は、全世界魔法競技会3連覇をなしとげた、世界的有名人である。


 私は世間知らずなので、最近知ったことだが……。


「サインください!」

「私が先よ!」


 マデリーン校長はニコニコ笑い、スコラ・エンジェミアの生徒たちの手帳にサインをした。私はその光景を、ぼーっと見ているしかなかった。


 すごい人と一緒にいるんだなあ、私……。


 すると、マデリーン校長はその生徒たちに聞いた。


「フレデリカ・レイリーンさんはいらっしゃる? 会いに来たんだけど」

「えっ……。フレデリカ様ですか?」


 生徒たちの顔がくもった。私とマデリーン校長は、彼女たちの表情の変化を見逃さなかった。


「えっと……今日は授業に出ていましたけど」

「ミレイア様と、スコラ・シャルロのマデリーン校長ですね。ようこそ」


 後ろから、男性──老人の声がした。振り向くと、校舎からスーツを着たあごヒゲの老人が出てきたところだった。


「私は、スコラ・エンジェミアの教頭、エド・マンフレッドです」


 老人は、「ご案内しましょう」と言った。



 私とマデリーン校長は校舎に入った。玄関の壁は水槽になっており、水族館のようだ。色とりどりの魚が泳いでいる。


「フレデリカ様の部屋は、この廊下の奥にございます」

(専用の部屋を持っているの?)


 私は驚いた。ジェニファーが軍隊指揮官になったとき、専用の執務室を与えられたらしい。そのことを思い出した。


「さて──その部屋にお入りになるのは、まずはミレイア様だけでよろしいでしょう。フレデリカ様もそれをお望みです。マデリーン校長は、私がスコラ・エンジェミア内をご案内します」


 マンフレッド教頭の言葉に、私とマデリーン校長は顔を見合わせた。マデリーン校長はちょっと考えていたようだったが、すぐに笑ってマンフレッド教頭に言った。


「ええ、そうしましょう。生徒同士のほうが、話が弾むでしょうし」

「では──ミレイア様、廊下の突き当りのお部屋にお入りください」


 マンフレッド教頭は言った。マンフレッド教頭とマデリーン校長は、そのまま2階へ上がってしまった。


 私はちょっとためらったが、廊下を奥まで歩き、突き当りのドアをノックした。


「どうぞ」


 という言葉が返ってきた。




(う、わっ……)


 部屋の中はとても広かった。競技用舞台が1つあり、部屋の右手には、杖が約30本程度、立てかけておける、杖立て棚があった。水分補給(ほきゅう)ができる、大きな冷蔵庫もある。


 まるで訓練施設!


 その中央の床には、魔法陣が描かれている。


(フレデリカ……!)


 魔法陣の中央で、少女があぐらをかいて座っていた。目をつぶって、瞑想(めいそう)している。


 彼女は──フレデリカだ。


(ううっ……)


 フレデリカ──。何という(するど)いオーラだ。フレデリカの1メートル以内に、なかなか近づけない。彼女の「テリトリー」に入ったら、魔法が発動し、怪我をする──。


 あぐらをかいて座っているフレデリカの姿は、そんなイメージを抱かせる。


「あ、会うのはオーマシェリ以来ね。つい最近だけど」


 私が話しかけると、フレデリカは目を開けながら言った。


「オーマシェリでも感じたが、大きな『気』が育っている。成長したね、ミレイア」


 フレデリカは笑って、左手の棚から座るための座布団──薄めのクッションを出してきた。


「座ろう」


 フレデリカは笑っているが、人を寄せ付けない雰囲気が漂っていた。例えれば巨大な壁状の「気」が、フレデリカの体から放射されているように感じる。


 フレデリカに近づけない、と思ったのは、彼女の壁状の「気」のせいだ……。


「『過去視体験魔法(かこしたいけんまほう)』で、一緒に昔を思い出さないか?」

「ええ……いいわね」


 私は会うなりフレデリカがそんなことを言い出したので、少し戸惑ったが、とにかく私も、座布団の上に座ることにした。


 過去視体験魔法(かこしたいけんまほう)とは、文字通り、過去の出来事を頭の中で体験する魔法だ。


 私は目をつむって、頭の中で過去を思い浮かべた。

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