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第28話 オーマシェリで楽しい(?)修学旅行

 私たちスコラ・シャルロの生徒は、汽車で保養地オーマシェリにたどりついた。楽しみにしていた、修学旅行の目的地だ。


 オーマシェリの周辺は、森や川、海など、大自然に囲まれていて、本当に美しい場所だ。


(体の中からきれいになりそう)


 とにかく空気がさわやかだ、と私は思った。


 私たちは宿泊所に向かって、山を登りはじめた。


 10分後──。


「おいっ、見ろよ!」


 都会っ子のスコラ・シャルロの生徒は、ヘトヘトになりつつ、さわぎだした。


 前方に、全面ガラス張りの建物が見えてきた。まるで巨大なクリスタルのように美しい建物だ。ここが今回の修学旅行の宿泊所、「クリスタリア・ホテル」だ。


「ふむ、美術館のように美しい建物だな」


 ランベールがつぶやくように言った。


「ミレイア、気をつけろ」


 ゾーヤが私に耳打ちした。


「駅のホームで絡んできたあいつ。下級生のファビオラ・マネカだ。こっちを見てる」


 髪の毛が真っ赤な不良少女、ファビオラが、私をにらみつけている。


「あんた、なんだよ。文句あんのかぁ?」


 ゾーヤがファビオラに向かっていくと、ファビオラはニヤッと笑った。


「ザコに用はねーんだよ。ゾーヤ先輩だっけ?」

「はあ? あんた今、なんつった?」

「あたしが興味あんのは、ミレイア先輩なんだよ。ザコはどいてろ。ぶっとばされてえの?」

「こ、この……!」


 ゾーヤとファビオラは小競り合いを起こしそうだった。

 すると、ランベールがゾーヤとファビオラの間に、あわてて入ってきた。


「やめないか! 皆が楽しみにしている修学旅行だぞ」


 ちょうどそのとき、クリスタリア・ホテルから、係員の若い女性がでてきた。


「ようこそ、スコラ・シャルロの皆様。これからホテル内をご案内いたします!」


 そう言って、丁寧(ていねい)にお辞儀(じぎ)をした。


 ファビオラは舌打ちして、取り巻きのほうに行ってしまった。ゾーヤは、「生意気なガキだな」とブツブツ言っている。


 部屋は、1人につき1部屋与えられた。洗面台、風呂場、トイレ、バルコニーあり。ゆったり過ごせそうだ。


 宿泊所の裏は海。私たちは荷物を部屋に置き、すぐに海に走った。


「うわああーっ! 海だ!」


 ゾーヤが叫んでいる。


 私は聖女の仕事をしていたせいで、海をほとんど見たことがない。海というものは、何て広大なのか。空に広がる大きな入道雲も美しい。なんて新鮮な光景だろう。


 生徒たちは小学部の子たちみたいに、砂遊びをしたり、実際に水着を借りて、海に入ったりし始めた。


「おーい、ミレイア~! 海もいいけど、温泉に一緒に入るって約束はぁ? はやく行こう!」


 ゾーヤが催促(さいそく)をした。私はうなずいた。


「じゃ、さっそく入りに行きましょう」

「おお、いいね~! 混浴だろ、オレも入るぜ!」

 

 ナギトは調子よく言ったが、ナギトはゾーヤに頭をどつかれた。


「ナギト~! お前はアホか! 混浴なんてしないぞ。あたしらは、女子専用の温泉に入るんだ」

「え? べつに混浴(こんよく)でいいじゃねーかよ。一緒に入って楽しもうぜ」

「このスケベ」


 私はボソッと言って、ゾーヤと一緒に、温泉のほうに向かった。


「え? あれ? ジョークだよ、おい!」


 ナギトは後ろで(うった)えている。私たちはナギトに構わず、廊下を歩く。


「うむ」


 ランベールの声が、後ろから聞こえる。


「ナギトよ。お前はもともと、あの2人からの好感度は低かった。だが、それがもっと下がってしまったな。今の発言で」

「そ、そんな~。オレは親睦(しんぼく)を深めようと思って……」

「おい……。どっかのエロ親父の発想をやめろ」


 私とゾーヤは、笑いをこらえていた。




 私はゾーヤと温泉に入ったあと、オーマシェリの屋外大魔法訓練場に行った。温泉に入ったあとだから、別にそこで汗をかくつもりはない。単に見学のつもりだった。


「うわああ……豪華だ」


 ゾーヤが声を上げた。


「スコラ・シャルロの魔法競技訓練場より広いわね」


 私は感心した。


 魔法競技舞台が、6つもある。杖も、魔力模擬刀(まりょくもぎとう)も、貸し出しをしている。水や清涼飲料水も、無料で飲める。軽食も無料で頼むことができる。


「何でもあるんだな、ここは!」


 ゾーヤはさっそくバナネの実を注文し、皮をむいて食べ始めた。


 ここには、たくさんの16歳から17歳の少年少女がいる。スコラ・シャルロの生徒ばかりではない。着ている制服がみんな違う。


「そうか、同日に他の学校の生徒も、修学旅行に来ているんだったな」


 ゾーヤは、「一応、土産物屋(みやげものや)探索(たんさく)してみるか。ミレイアはこの訓練所を見といてくれ」と言って、行ってしまった。


 ちょうどそのとき──。


「そこにいたんスか、ミレイア先輩」


 この声は……。後ろを振り向くと、さっき、ゾーヤにからんできた、下級生のファビオラがいた。取り巻きの2名の女子も、ニヤニヤ笑いながら、私を見ている。


「ねえ、さっそく勝負しましょうよ。魔法で」

「……本気? あなたが怪我してしまうから、やらない」

「はあ? ナメてんの? あんたの実力がどれくらいか、試したいんスよね~」

「あっちに行って」

「はああ? てめぇ、なめてんの? マジでムカついたわ。んじゃ、勝負するぜ。訓練場の広場で、競技パートナーありの練習試合をやったるわ」


 ファビオラがそう言ったとき、「うーっす」という声が、後ろから聞こえた。


「オレらとタイマンしたいヤツがいるって?」

「あ、そうなんス! バンテス先輩!」


 ファビオラの後ろには、制服を着崩(きくず)した、背の高い筋肉質の少年が立っていた。髪の毛は黄色に染めている。要するに彼も不良か。


 ファビオラは、そのバンテスという少年の腕にすがりついている。


 あ、そういう関係ね。


「じゃ、ミレイア先輩。あんたも競技パートナーを連れてきなよ」


 ファビオラはニヤニヤ笑いながら言った。

 すると、訓練場の入り口のほうで、オレ、オレと自分を指差している男子がいる。約1名。……ナギトだ。


 うーん。


「競技パートナーなんていないわ」


 私があっさりそう言うと、ナギトはえらい勢いでズッコケていた。


「う、ウソつけっ! いるだろ。ナギト先輩が!」


 ファビオラは声を荒げた。バンテスは頭をかいて、あくびをしていた。


「はやくしろや。タイマンすんの? しねぇの?」

「……わかったわよ」


 私は、宙から聖女の杖を取り出した。


「そんなに挑発(ちょうはつ)したんだもの。……ただじゃ済まさないわよ」


 私はファビオラをにらみつけた。


「お、おう……」


 ファビオラは一歩後ずさった。

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