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第23話 ミレイアVSジェニファー③

 魔法競技会決勝戦。


 私──ミレイアは、ジェニファーの闇の魔法「ダークミロワール」によって、闇の鏡の空間に取り込まれてしまった。


(出られない!)


 出口のようなものはない。


 私は、縦約5メートル、横約3メートルの、闇の鏡の内部にいる。周囲の壁も大きな鏡になっており、私の姿が、大映しになっている。


(嫌な空間ね……!)


 右も左も、天井も私の姿が映っている。


 しかし、空気がよどみ、闇色の空気が漂っているのだ。


(うう……)


 私は、どんどん意識が薄れてくる。


「審判!」


 ジェニファーの声が、ダークミロワールの空間の外から聞こえてくる。


「ミレイアは私の魔法によって、閉じこめられたわ。勝敗はどうなるの?」

『えー……』


 審判長の困惑した声が聞こえる。

 外は見えないが、魔導拡声器(まどうかくせいき)を通した声が響いていて、声がはっきり聞き取れる。


『ミレイアが、8分……いや、7分以内にっ帰ってこなければ、ジェニファーの勝利としましょう。選手がアクシデントで怪我をしたとき、治療(ちりょう)の制限時間が7分。それが基準(きじゅん)です』


 7分以内? 私は、7分以内に、このダークミロワールを打ち破らなければ、敗北してしまう……。


 私はよどんだ空気に力を奪われ、空間に寝転んだ。頭上は鏡となっているので、私の仰向けの姿を映している。


(ここから出る方法が、必ずあるはず……)


 その時、私の意識は完全に失った。だが──私は勝利を確信している……。



 私は夢を見ていた。

 

 なん……だろう? この光景?


 私は、どこかの古い城の中を、3人の仲間とともに歩いている。


(ここは?)


 城の外を窓から見やると──。あれっ? 見覚えがある。ここは魔法競技会予選で見た、リリシュタインの森?


(ここは、ゾーヤやランベールたちと戦った、古城だ!)


 いや、今、私たちが中にいるのは、古城ではない。比較的新しく建造された城だ。ドクロのランプがところどころに下げられ、不気味だ。


『この夢で見ているのは、あなた──ミレイアの前世の人生ですよ。約200年前のね……』


 ええっ? 誰?


 天使か神様の声だろうか。女性の声が聞こえた。


(でも間違いない。これは私の前世だ)


 私はなぜか直感で、納得してしまった。私の魂がそう感じているからだろうか?


 200年前の私の前世の人生が、頭の中に映し出されているのだ。




 200年前──シャルロ王国とエクセン王国が、まだ一つの大きな王国だった時代。ここは、ディバントス王国といった。大魔王が生きており、勇者に退治されていない時代の話だ。


「さあ、行きましょう!」


 私は仲間たちに向かって声を上げる。

 

 私たちは大魔王配下である四天王の一人、魔女王「フリーダ・ディノラ」の城に乗り込んでいた。


 今でいうシャルロ王国のリリシュタインの森の中にある。


 私は大聖女マイア・ルネーラ。……私、ミレイアの前世だ。


(私に顔がそっくり。着ているローブも、今のものと似ている!)


 私はマイアの心の中で、そう考えていた。


 他に3人の仲間がいる。4人で、この魔女王の城に乗り込んだわけだ。


 鎧を着ている男性は……リーバラント・オレーン。この世を支配しようとたくらむ、大魔王「グレス・バル・ドロネ」を唯一倒せる勇者だ。


(ええっ?)


 リーバラントはナギト! 勇者のリーバラントはナギトの前世だと直感した。顔も似ている。


 ああ、ナギトと初めて会ったとき、頭の中に浮かんだ勇者は、この人──リーバラントだ。リーバラントがナギトの前世なのかぁ……。

 

 その後ろを歩くのは、大魔法を発動できる女大魔導士ルメイダ・アレッタ。


(ああ……なんてこと!)

 

 ゾーヤ! ルメイダはゾーヤの前世だ。


 そうか、このときから私たちは、魂の「仲間」だったんだ……。


 剣、槍、弓など、ほとんどの武器を扱える、英雄戦士ブルドー・ガレダーナが最後尾。


(やっぱり!)


 ブルドーはランベールの前世だ。


(私たちは、200年前から──前世からの仲間だったんだわ!)


 私は深く納得したが、そんなことがありえるのだろうか?


『あなたは今、闇の空間に入り、魂に近い存在になっています。その状態だと、前世の記憶を取り戻すことが可能です』


 ……そうなんだ? でも、この声の主は誰?




 私たちは城の手強い魔物を一掃(いっそう)し、ついに魔女王フリーダのいる「魔女王の間」に侵入することに成功した。


「おろかものめ! 勇者や大聖女たちよ、殺されにきたのか?」


 王座に座っていた魔女王フリーダは、私たちを見るなり立ち上がった。魔女王は、顔が真っ青で、口に牙が生え、黒マントを羽織っている。


 ルメイダが念力により、光の魔法陣を床に描く。その魔法陣からは、火の魔法「ファイアエクスプロージョン」が発動した。とてつもない威力の、火炎の魔法だ。


「ぐあああっ!」


 油断したフリーダが、全身に火炎を浴びる。しかし!


「おのれえええっ! 私を傷つけおったな!」


 フリーダは声を上げながら、氷の(やいば)を手から放つ。しかしその(やいば)を、ブルドーが「豪王(ごうおう)(たて)」で(はじ)く。

 

 (やいば)は私にも飛びかかってくる!


「危ないっ! マイア!」


 カンッ


 ナギト……いや、勇者リーバラントが私の前に立ち、彼の武器、「聖剣グラーツレオン」で叩き落としてくれた。


「大丈夫か」

「ええ」


 私は、いつもリーバラントに守られているのだった。


 フリーダは、ルメイダに跳び蹴りを食らわせる。ルメイダは10メートルは吹っ飛ばされた。すぐに、私が回復魔法を発動。


「よ、よし。大丈夫だ。あんがとな、マイア」


 ルメイダは私の魔法で、何とか立ち上がった。ゾーヤの前世のルメイダは、しゃべり方がゾーヤと一緒だ。


 ギリリ、と歯噛(はが)みするフリーダ。


(チャンスだ!)


 フリーダを倒せば、この地区──ディバントス王国に平和が訪れる。


 私たちが、対フリーダ戦に用意していた、最強の極大魔法「スピリト・クリスタリ」。この魔法は4人の魔力を結集して、放つ! ──マイアの心がそう言っている。


 この魔法ならば、フリーダを倒すことができる!


 ──しかし!


「ダークアイスバーン!」


 その時、フリーダも氷属性の強力な闇魔法を放った。勇者リーバラントは、それをまともに受けてしまった。ブルトーもルメイダも、同時にそれをくらい、失神した。


 私は咄嗟(とっさ)に、魔法の結界でダークアイスバーンを防いだ。


 なんということだろう! 3人とも、失神してしまった。極大魔法が放てない!


「おい……マイア……オレの剣を持っていけ……!」


 地面に倒れている勇者リーバラントは、自分の持っている「聖剣グラーツレオン」を私──マイアに差し出した。


 ああ! これは私──ミレイアが、ナギトに会ったときに見た映像と同じだわ!


 私は怖れつつ、聖剣グラーツレオンを手に取った。一方、フリーダも、ルメイダの「ファイアエクスプロージョン」をまともにくらったせいで、疲労困憊(ひろうこんぱい)だ。


 これは夢だ。単なる前世の記憶。分かっている。でも──。


 私は魔女王フリーダと、決着をつけなければならない! 


 そして、ジェニファーが魔女王フリーダの前世だと分かったのは、すぐこの後だった。

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