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第20話 決勝始まる!

「すっごい……」


 ゾーヤはうめいた。


 私──ミレイア・ミレスタとゾーヤは控え室通路から外に出て、スコラ・シャルロ特別スタジアムを見上げていた。

 

私とゾーヤは、魔法競技会予選以来、親友になっていた。


 満員の観客が、スタジアムを埋めつくしている。


 今日は、スコラ・シャルロ魔法競技会決勝の日だ。


(ついにこの日が来た……)


 私は気を引き締めた。


 試合は、私──ミレイアVSジェニファー・ドミトリー。1対1の勝負だ。

 術、魔法、すべて使用可能。剣など武器は使用不可。魔法で相手を「まいった」「KO」させたほうが勝ち。


「だ、大注目されてんじゃん」とゾーヤは言った。


 スコラ・シャルロ魔法競技会は、1000年前から続くイベント。国民的行事となっている。私たちの対決は、魔導(まどう)飛行水晶球の撮影によって、国民に生中継されるのだ。


「どうにかなるでしょ」


 私は髪の毛をはらい、控え室に戻ることにした。


「お、おいっ! ビビッてないのか、あんた」


 ゾーヤは私を追いかけながら、聞いた。


 大丈夫。私には自信がある。──ジェニファーと戦って勝つ!

 


 さて、控え室前の廊下で、ナギトが待っていた。


「ミレイアに客が来ているぞ。レイラって子たちだが……」

「なんですって?」


 私は驚いて、控え室の扉を開けた。


 そこには、レイラが車椅子に座って待っていた。ミユウ、サラもいる。


「あなたたち! どうして? エクセン王国から来たの?」


 私は3ヶ月ぶりに会う、本当の妹のようにかわいがっていた女の子たちを、抱きしめた。


「レイラ! 何があったの?」


 私は車椅子に座っている、レイラの手をとった。

 両足に、厚く巻き付けてある包帯が痛々しい。

 レイラは口を開いた。


「ジェニファーに、やられました。私がエクセン王国で、彼女に勝負を挑んだのです」

「ジェニファーと? なぜ?」

「父が魔物に大怪我を負わされたのです」

「ええっ? あなたのお父様が?」

「その責任を、ジェニファーに問おうとしました。あなたを追放したせいで、魔物の侵入をはばむ、結界がなくなってしまったからです」

「それで勝負を? 何てことなの! それで、その両足は?」

「ジェニファーの氷結魔法により、凍傷(とうしょう)になっています。かなりひどく、両足はもうほとんど、動きません。白魔法病院で治癒魔法をかけてもらったのですが、治りませんでした」

「ああ……」


 私は、レイラを抱きしめた。


「申し訳ありません……ミレイア様」


 レイラは泣きそうになりながら言った。


「謝るのは、私のほうだわ」


 私はレイラに言った。


「私が──私が、(かたき)をうちます」


 すると、ユウミが叫んだ。


「ジェニファーは、とてつもない強敵です。何か恐ろしい秘密を感じました。何かを隠しています」

「……それでも戦うわ」


 私は断言した。


「ジェニファーを、成敗(せいばい)します!」


 


 私は控え室から、スタジアムに向かった。ナギトが助言者としてついてきてくれる。


 ドオオオオッ


 すさまじい熱気だ。満員の観客が、私を見ている。すでに、ジェニファーは石でできた舞台に上がっていた。


 私は、花道を通って、舞台に向かった。


「待て! ミレイア!」


 ナギトが声を上げた。


 その時だ、私の頭に、何かが当たった。


 菓子パンだ……。


 それだけじゃない! 私に向かって、菓子パンやビスケット、消しゴムが投げつけられえてくる。その数、10……20……30個?


 ものすごい勢いで、菓子パンやビスケットが飛んでくる。あ、危ない!


「負けちまえ、ミレイア!」

「ジェニファー様に勝てるわけねーんだよ!」

「ジェニファー様の魔法で、さっさと『まいった』しちまえ!」


 私に対する罵声(ばせい)が響く。ど、どういうこと?


 見ると、花道の右側は、ジェニファーの取り巻きの生徒たちで埋め尽くされていた。


 物を投げているのは、ジェニファーの取り巻きたちだ!


「お前ら!」


 ナギトが体を張って、私を菓子パンやビスケット、消しゴムから守ってくれている。


「ジェニファーに、『ミレイアを攻撃しろ』と命令されたな!」


 どうやらジェニファーは、スコラ・シャルロの生徒たちに高額商品をプレゼントして、自分の仲間に引きいれていたようだ。私を(つぶ)すためだけに。


 また、生徒の罵声(ばせい)が聞こえてくる。


「下級生いじめをやめろ、ミレイア! この暴力魔!」

「ミレイア! (かげ)で万引きやってんだろ! ジェニファーから聞いたぞ」


 なにそれ? 私、そんなことやっていないわ。


 なるほど、ジェニファーは私が「最低なヤツ」だと、大ウソ、噂を流しているらしい。


 ──私は冷静に聖女の杖を空にかかげた。そして唱えた。


「グラヴィティ・タウゼンタ!」


 ピタアアアアッ


 投げつけられた菓子パンやビスケット、消しゴムが空中で止まる。そして──。


 ボトボトボトッ


 地面に雨のように落ちだした。


「う、うおおおっ……」

「何をやったんだ?」

「重力魔法だ! その場に重力を発生させた!」


 ジェニファーの応援団たちが、驚きの声を上げる。


 私は、投げつけられた菓子パンやビスケットの周辺の重力を変化させた。「グラビティ・ネブリナ」は生物一体にしか効果はないが、「グラヴィティ・タウゼンタ」は周辺の重力を変化させる魔法だ。


「すげえ魔法だ! め、女神様じゃねーのか、あのミレイアってヤツ」

「バ、バカ。俺たちの女神様は、ジェニファー様だろ」


 しかし、もうジェニファーの取り巻きが、私に菓子パンや消しゴムを投げつけることはなかった。




「き、来たわね」


 私がスタジアム中央に設置された舞台に上がると、ジェニファーが顔をひきつらせて言った。


「逃げても良かったのよ、ミレイア」

「あなた、取り巻きや応援団に、菓子パンやらを投げつけるように命令したわね」

「……なんのことかしら」


 私の問いに、ジェニファーはごまかすように答えた。(ほお)はピクピクしていたが。


「本当にマヌケねえ」


 ジェニファーは笑いながら言った。手にはゴルバルの杖を持っている。現代に存在する、最強の杖だ……。


「ゴルバルの杖を持った、私に勝てると思うの?」

「勝てるわよ」


 私はきっぱり言った。


「聖女の強さは……術師の強さは、杖じゃない。その人自身の強さよ!」

「……考え方が真逆ってわけね。フフッ……面白い!」


 ドーン


 試合開始の太鼓(たいこ)が鳴った。


 ついに試合が始まった!

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