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今日がやってきた。私がやれること、おそらくそれはクズの不可解な行動と赤い瞳の事を知ること。いや、赤黒い瞳と言った方が合ってるか。スカーレットみたいな綺麗な赤ではなく、燻んだ赤だから。まるで、ハイライトの無い目のよう。
「……意志が、無かったのかな……」
誰かに操られていた? なら、あれだけ叫んだ私の声にぴくりとも反応しなかった理由にはなる。その線で考えると、まるでプログラミングされてたかのように応用力の無い行動からして、犯人は近くにはおらず、遠くにいたことになる。でもどうやって? お姉ちゃんに聞けば……。いや、お姉ちゃんを危険に巻き込むわけにはいかない。お姉ちゃんに少しでも探りを入れようもんなら、自らを犠牲にしかねない。そう考えると、お兄ちゃんにも話せない。なら、頼れる人は一人。
「ねえスカーレット、人を操る事って可能だと思う?」
雑談のようにさりげなく話したのだが、スカーレットが焦った顔をして口元を押さえてきた。
「セレス、人前でそんな事聞くべきじゃないわよ。どうしても話したいのなら、人のいないところにしなさい」
「分かったよ。じゃあ昼に」
「はあ、分かったわ」
スカーレットとの約束は取り付けたから、私はクズの元に行く。
「なんだ。言われた通りにしただろ」
「知ってる。違うこと聞きにきたんだよ。あんた、僕の事嫌いでしょ」
「……そうだな。少なくとも好んではいない。ただまあ、共にいる時間を苦痛に感じるわけではない」
「僕のどこが気に入らない」
「好きな人の気持ちがお前に向いているんだぞ。良い気分はしないだろ。ただ、以前言ったことは酷かったと反省している。昨日、スカーレットと一日を過ごし、俺は全く彼女を見ていなかった事を認識した。彼女も笑うんだな。俺の前では少し遠慮した顔を見せていたから、いつの間にか興味が無くなっていた。だが、それがより彼女の笑顔を奪っていたのだと思い知らされた。その事に気づかせてくれたお前には少しばかり感謝しよう」
こいつ、上から目線でなに言いやがるんだ。やっぱこいつは期待を裏切らないクズだ。
「俺はまだスカーレットに気持ちなどないし、パールの事を好いているが、少しは目を向けようと思う」
「あっそ。その前にあんたの性格を治す方が先だって事は教えといてあげるよ!」
「……やっぱりお前とは合わないな」
分かりきった事聞くな!
午前の授業はずっとイライラしながら聞いていた。私が救うやつは絶対あいつじゃない! これだけは自信持って言える!
「セレス、授業終わったわよ。何をそんなにイラついているのよ」
「安心して、スカーレットは無関係だから」
「そう。なら早くいくわよ。時間が無くなるわ」
私はスカーレットの後ろについていく。着いた場所はパールに何度も告白された場所だった。
「単刀直入に言うわ。人を操れる魔法はある。ただそれは禁忌魔法になるの」
禁忌魔法……。
「あの、これ言うとすっごい怪しまれる事重々承知で、私に悪意がないって事を信じて欲しいんだけど」
「何よ遠回しに。早く言いなさい」
「禁忌魔法って、どうやったら手に入るの?」
スカーレットは予想外の質問だったのか、目を丸くさせた。
「あなた、一体何を考えているのよ」
「お願い、何も聞かずに教えてほしい」
「無理ね。あなたの性格上、本当に何もしないと思うけれど、信用はできない。人は何が原因で変わるか分からないのだから」
「お願い、必要な事なの」
「無理なものは無理よ。あなたが使わなくても、それを他者に漏らす可能性だってある。あなただって、いくら信頼できる人でも話せない事の一つや二つあるでしょう」
うっ、痛いところをついてくる。
「どうしたら教えてくれる?」
「少なくとも理由は聞かないと」
「……分かったよ」
私は今まで何度も今日を繰り返している事を話した。
「そういうことね」
「そういうことって、まるで分かっていたみたいに」
「納得しただけよ。あなた、今日はずっと授業聞いていなかったのに、当てられた時は問題なく答えられたじゃない。それに」
「それに?」
「セレスがつく嘘にしては細かすぎるから。もう何年も一緒にいるのだから、嘘か本当くらいかは私にだって分かるのよ」
「じゃあ、教えてくれるの?」
スカーレットは首を横に振った。
「残念ながら、私も知らないのよ。お兄様なら知っているでしょうから、お兄様に聞きなさい。協力してあげるから」
「ありがとう、スカーレット! やっぱ持つべき者はスカーレットだよね!」
「ほんと、調子良いのだから」
実は最終章入ってます!そしてもうすぐ終わります。おそらくあと2、3話で終わると思います。(どうせならキリがいいのであと3話で終わらせたい)




