表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/55

39

 覚えのある耐えがたい痛み。血の巡りが早くなっている事が分かる。

嫌な思い出が蘇ってくる。


「────⁉︎ ……夢か」


なんとも目覚めの悪い夢。いや、感覚だけだから夢と言えるのか否か。でも、はっきりした感覚だった。自分の首を思わず確認してしまうほど。


「嫌な夢」


 夢の内容を忘れるようにと、無心で剣を振る。振って、振って、時間になったら学園に行く準備をする。


「大丈夫、大丈夫」


 そう言い聞かせて部屋を出る。

 昨日より早い時間。そのせいか、教室にはパールしかいない。


──大丈夫。逃げるな、私。ここで話をしなければ、それこそパールを傷つける。


私は意を決してパールに声をかける。


「お、おはようパール」

「おはようございます、セレス様」


挨拶を返したパールは、特段変わったところはなかった。正直、少しホッとした。


「あのさ、昨日の事なんだけど」

「あ、はい。その事をお話ししようと思っていたところです。昨日も申したように、本日は少し用がありまして。裏のベンチがあるところで待ってもらってもよろしいでしょうか? そんなにかからないと思いますので」

「え、いや、え? 昨日?」

「私、何かおかしな事を言いましたか?」

「いや、えっと、ううん。それじゃあ、放課後」

「はい」


昨日? そんな事言ってたっけ? いや、言ってないよな? 私の勘違い?


「おはようセレス。どうしたのよ、そんな変な顔をして」

「スカーレットこそ、昨日に続いて今日も幸せそうな顔だね?」

「昨日? 何言ってるのよ。昨日はお互い出かけていたじゃない」

「え?」

「えって、もう忘れたの?」

「え、いや、昨日も学校だったよね?」

「あなた本当に何を言ってるのよ。昨日は休日で、それぞれアッシュ様とシャルト様とで出かけていたじゃない」


え? え? いやいやいや。いやいやいやいやいや!


「ご冗談を」

「本当にどうしたのよ。医務室に行った方がいいわよ」

「いや、その、え?」


本当に分からない。意味が分からない。私だけ、取り残されている気分になる。パニックになりそう。


 普段なら絶対にしないが、ここは緊急事態だ。


「ちょっといい」

「……なんだ。ちゃんと出かけただろ」

「それ、いつの話?」

「何の話だ? スカーレットと出かけた話じゃないのか?」

「その話。それ、いつ?」

「昨日に決まってるだろ。悪いが、こんな当たり前の事を聞かれて、俺にはお前が何を考えているのか理解に苦しむ」

「あっそ、別にいい」


どうしよう、確定、ほぼ確定だ。私、ループしてる。昨日スカーレットが殺された? いや、でもそしたら入学前日に飛ばされるはず。他の誰か? 誰? 攻略対象? それともパール? 誰?


何も分からないまま、放課後がやってきた。

やっとセレスのループ設定活かせる段階にきました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おー、キーは一つとは限らない訳だ。 [一言] 条件は何なんだろう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ