表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/55

16

 スカーレットは唖然とした私を放って、お風呂に向かってしまった。


「あ、パール」


服を着替えているところを見ると、私とスカーレットが言い争ってる間にお風呂に行っていたのだろう。


「あの、すみません、見るつもりはなかったんです」


パールは気まずそうにしている。これは確実に誤解されてるな。


「別にいいよ。一応言っておくけど、スカーレットがどこまでならいけるのかってことで、勝手にキスしてきただけだから。僕とはした内に入らないって、酷いよね」

「えーっと」


ああ、流石にパールは同調しにくいよね。あと少し、座りたそうにしてる。


「パール、おいで。立ってるのも疲れるでしょ。別に何もしないし、なんなら縛ってくれてもいいよ」

「そこまで警戒していませんよ」

「それはそれでちょっと心配。あまり人を信用しすぎちゃダメだよ」

「セレス様だけです」


おっと、それは結構嬉しい。なるほど、モテる女はこうするわけか。

そしてナチュラルに隣にくるし。あ、いい匂い。


「セレス様、ご自身の髪を嗅いでいますがどうされたのですか?」

「いや、パールがいい匂いだったから、どうして自分はそうじゃないんだろうって思って」

「自分の匂いはあまり気づかないものですよ。セレス様の髪もとてもいい匂いですから、そんな心配なさらないでください」


この女はつくづく人が喜ぶ事ばかり言うな。だからハーレム作るんだよ。


「あの、セレス様?」

「パール、間違ってもあの馬鹿王子に惚れないでよ」

「え、急にどうしたんですか?」

「あの馬鹿が惚れるのは時間の問題だから、パールまで惚れたらそこでお付き合いしちゃうじゃん!」

「セレス様は嫌ですか?」

「嫌。正直、パールが他の人に惚れてるのも嫌なのに、その相手がよりにもよってあの馬鹿だったら、僕はたぶんショックで死んじゃう」


あいつ嫌いだし。それとパールとくっつかれると、スカーレットが殺されて今までの事がまたぱあにもなるし。


ふと横を見ると、パールは照れたように、だけど嬉しそうに頬を緩ませた。


「なんだか、告白された気分です」

「……え⁉︎」


た、たしかに、告白みたいな文な気がしてきた。


「な、なんかごめん! そんなつもりじゃなかったんだけど──」

「分かってますよ。ですが、少し嬉しかったです」


 ……あれ? もしかしてこれOK? あれ? そうすれば後はスカーレットを守ることに尽力すれば、このループから抜けられるんじゃない?


「え、それってパールは僕と付き合っても良いってこと?」

「そう思いますか?」


あ、男が女の子の上目遣いに弱い気持ちがちょっと分かった気がする。ていうか、その返答ずるい!


「セレス」


顔を上に向けると、微妙な顔をしたスカーレットが立っていた。


「おかえりスカーレット」

「ちょっと来なさい」


スカーレットに連れられ、隣の部屋へと移った。


「あなた、弄ぶのはほどほどにしなさい。彼女が本気にしたらどうするのよ。

いい、彼女はセレスの事を男だと思っているけれど、あなた女なのよ。本気で付き合う気も、愛する気もないのなら本当にやめなさい。

もしあなたが本気だと言うのなら、彼女に正体を明かしてからにしなさい」


スカーレットがここまでいうのは、自分が愛を受けられない恋愛をしているからだろう。愛を受けられない苦しさを知っているからだろう。


「気をつけるよ。パールは可愛いし良い子だけど、そういう目で見た事はないから」


まあ、少し良いなとは思ってしまったけど。


「それと、もう平民って呼ばないんだね。どう? 少なくとも悪印象は無くなったでしょ」

「彼女は平民ほど愚かな考えは持っていないもの。少しだけ、認めてあげてもいいわ。それに」

「それに?」

「セレスが大事にしている人だもの、無下には出来ないわ」


誤解を招きそうな言い方だな〜と思ってしまう。あと、その考えを一つ前の世界で持ち込んで欲しかったよ。前は私の友人まで奪うのか! ってすごい勢いだったし。


「スカーレット」

「何よ」

「ありがとう。あと、スカーレットの事も大事に思ってるよ」

「知ってるわよ。私がそうなのだから」


はあ、本当、スカーレットには敵わないや。


◇◆◇◆◇


「…………」


 朝起きて、隣にスカーレットとパールがいる事を確認し、昨夜の言動を思い返す。


うわーーーーーーー!!!! 怖い、深夜テンションが怖い! 


顔を覆って恥ずかしがってたら、起きたスカーレットに何やってんのよって顔で見られた事は言うまでもない。

少しでもいいなと思いましたら、ブクマ、評価、いいね、感想、レビューなどいただけると嬉しいです。


明日の投稿は朝か夜のどちらかになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ