表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/55

14

 寮母さんにも伝え、私達は夕食が運ばれてくるまで課題をして待つことにした。


「あら平民、汚い字ね。しかもまだそこまでしか出来ていないなんて、学年一位が聞いて呆れるわ」


スカーレットが少々小馬鹿にするように言ったので、軽く頭を小突いてやった。


「パール、もしかして右利き?」

「はい……。左手でも読める字は書けるのですが、これが限界で」

「じゃあ僕が書こうか? 人の字を真似るのは得意だから、書く事言ってくれたらいいよ。元はと言えば……二人の意地のせいだけど、僕も関係ないとは言い切れないから」

「セレスっていつも変な特技持ってるわよね。それと、こうなっているのはあなたのせいよ」

「ん、んん。パール、どうする?」

「えっと、よろしくお願いします」

「うん。パールはどこぞの誰かさんと違って優しいから癒されるよ」


どこぞの誰かさんに聞こえるよう嫌味ったらしく言ったら、案の定こっちを見た。今は魔法で手が離せないから怖いものなしなのだ! ぬははは!


 全員課題も無事終わり、夕食もばっちりのタイミングで運ばれてきた。


「今日もありがとうございます」


三人分の夕食を受け取り、それぞれの目の前に置く。


「ここまで平民と貴族で同じにするなら、デザートもつけてあげればいいのに」


私とスカーレットにはフルーツの盛り合わせが添えられ、パールの方にはそれがない。


「構いませんよ。この学園に通うことができているのも、貴族の方が出資しているおかげですから」

「あら、分かってるじゃない。そんな簡単な事すらも分からない学のない平民が、差別だと騒いでいるけれど、そもそも私達貴族はそれなりの責任を背負っているのよ。

まあ、一人そんな重荷を背負わず、優秀な兄姉(きょうだい)のおかげで悠々自適に暮らしている貴族もいるけれど」

「スカーレット、夕食の時くらい気分の良い話をしようね」

「あーら、私は気分が良いわよ。では、いただきます」

「「いただきます」」


本日のメニューはハンバーグにパンにスープ、あとデザートだ。


この世界、スイーツ以外に関しての食事は、前世と遜色ないくらい美味しいから好き。一ついうなら、和食が食べたいってところだ。

スイーツは材料自体はあるから、自分で作れるため問題はない。


「セレス、ちょっと手伝いなさい」


気分良く食事を堪能していると、スカーレットにそう呼ばれた。


「片手じゃ切れないから代わりに切りなさい」

「切りなさいじゃなくて切ってくださいでしょ。そんな上から目線だから友人ができないんだよ」

「貴族間の交流を避けて、友人が私以外にいない人には言われたくないわ」

「僕とパールは友人同士だよ。ね、パール」

「はい、セレス様がそう思ってくださるなら」


はあ、さすが主人公。気の強いところもあるけど、謙虚で優しい。そんな主人公だから、私からサポートしなきゃな。


「パール、食事手伝おうか? 利き手じゃないと不便でしょ」

「ですが、そうするとセレス様の食事が遅れてしまいます」

「別に気にしないで。僕熱いの苦手だから、冷めたくらいが丁度いい」

「そうだったの?」


スカーレットはちょっと黙ってなさい。


「痛っ! なんなのよ!」

「パール、どうする?」

「えっと、それではお願いします」

「うん」


切ったハンバーグとパンは自分で食べれるという事だったので、パールがスープを飲むタイミングで手伝う事になった。あと、遠慮されたけどデザートはほぼ押しつけに近い形で渡した。

少しでもいいなと思いましたら、ブクマ、評価、いいね、感想、レビューなどいただけると嬉しいです。


次話:明日

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ