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「チビを──」
「褒める……」
「「無理無理無理!」」
不本意にもハモってしまった。
「僕はともかく、この馬鹿に褒められるところなんてないよ」
「それはこっちのセリフだ」
「なんだと? よく僕に声をかけてきてるくせに。本当は僕のこと好きなんでしょ」
「そういう思考になるお前が俺のこと好きなんだろ!」
「誰が好きになるか!」
「お、お二人とも、そのくらいで。先生も困ってますよ」
「お前こそ、そんなに性格悪いと婚約者どころか恋人もできないぞ!」
「おやおや、それはご自身の事ですか〜?」
「お、お二人──」
「セレス! 早く準備するわよ!」
いきなり横からそんな大声がしたので、びっくりして心臓が破裂するかと思った。
「あ……」
周りを見ると、ぼちぼちペアを作り始めてる。
「ごめんスカーレット。教えてくれてありがとう。パールも、気づかなくてごめんね」
「いえ──」
「いいから、早く行くわよ」
スカーレットは私の手を掴んだが、あっさりとその手から離れてしまった。
「姉貴、勝手な事すんな。こいつは俺とやるんだよ。姉貴は別の奴見つけてやれよ。婚約者はどうした。ああ、一方的な愛しか押しつけてないんだから、構ってもらえるはずないよな」
スカーレットの顔は赤くなり、目も少し潤んでいる。今にも怒り出しそうだが、その前に私が我慢出来なかった。
私は馬鹿の手から乱雑に抜け、スカーレットにハンカチを渡し、頭を抱き寄せ、馬鹿に背中を向けたまま口を開く。
「前、言ったよね。女の子を傷つけるなって。姉だろうがなんだろうが、女の子は女の子だ。お前、本当に最低。一方的な愛? お互い婚約者になる事を了承したんだから、むしろ愛を持っている方が普通でしょ。構ってあげるのがあたりまえでしょ。友人もいないお前が、何偉そうに間違った事を吐いて、傷つけてんの」
私は馬鹿の方に向き直り、馬鹿から借りてたハンカチを投げつける。
「いいよ、組んでやる。スカーレットを傷つけた分、気が済むまで殴ってやる」
私は魔法がかけられた剣を二本取り、一本を馬鹿に渡した。この剣で攻撃しても、傷はつかないし、軽い痛みが走る程度だが、何度も何度も攻撃すれば問題ない。ちりも積もれば耐え難い痛みになるというやつだ。
「ごめんスカーレット、今回は別の人と組んで。あ、そうだパール」
「はい」
「一緒に組む予定の人はいる?」
「い、いえ」
「じゃあスカーレット、パールと組みなよ。少なくとも、このクズなんかよりはよっぽど安心できる存在だって分かるよ」
スカーレットは少々不服そうだったが、周りを見ても皆ペアができているので、仕方ないといった感じでパールとペアになった。
それでいい。嫌いが始まりなら、必ず好きになれる。まだ誰も攻略していない今のパールとなら、きっと仲良くなれるよ。二人とも、本当に良い子だから。
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次話:明日




