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その手が。  作者: 柚子餡
6/20

5話

よろしくお願いします。




 どうしようかなんて思っていたら、母親からのメールでおろし金が折れたので(!)新しいものを買ってきて欲しいといわれ、仕方なく駅近く(歩いて5分程)にある台所用品専門店に向かっていた。

 すると、何やら盛り上がっているやんちゃしていそうな他校生の男子3人が対面から駅方面に向かって広がったまま歩いてきた。歩道が狭かったため仕方なく道の脇に止まって避けて通り過ぎるのを手元を見ながらぼーっと待っていた。そろそろ通り過ぎるかなと思い視線をあげると、私のすぐ真横を通り過ぎようとした1人とある意味タイミング良く目が合ってしまった。そして何を思ったのか声をかけてきた。


「え?なになに?もしかして俺らが来るの待ってたの??」



「…はい?」


 思わず声に出してしまった。


「…?確かに待ってはいましたけど…?」


 通り過ぎるのは待ってたけどと、よく意味が分からないまま返事を返したら。

 もう2人も止まってこちらを振り返り、周囲を囲んで来た…って何故!?


「やっぱりー?俺に熱い視線送ってきて目ぇ伏せて、また俺の顔覗き込んで来たから俺に用があんのかなぁって!なになに?もしかして俺に告白とかしちゃいたい感じ?それとも俺らと一緒に遊びたい感じ??」



 …何を言っているんだ、この男は。どういう思考回路でその結論に至るのかと、勘違い野郎その1を見ながら呆然として言葉を出せないでいると。


「へぇ、結構可愛いじゃん。コイツに告白すんのは置いといて、俺らと一緒に遊ぶんだったら全然さんせーよ?」


 真ん中を歩いていた勘違い野郎その2もニヤつきながらそんな声をあげる。


「いいねぇ、オレらも丁度暇してたところだったしさぁ」


 続いて一番端にいた勘違い野郎その3もこちらを頭の先から足の先までをニヤニヤと舐めるように見ながら言ってきた。その3の視線に鳥肌が立つ。キモチワル!!


「いえ、あなた達を待ってたというか、通り過ぎるのを待っていたんです!だから別に用事があったワケでは…!」


 勘違いされて変な視線に耐えられずにそう伝えたが…。


「おいおい、この子は俺にあっつい視線向けてたんだぜ?ちょっと静かにしてろよな?」


 その1がその2・3をたしなめ、ニヤつきながら言葉を続けた。


「で?なになに?恥ずかしがっちゃってんの??コイツらうるせぇから、なんなら向こうで2人きりで話しちゃう??」


 私の話聞いてた?なに言っちゃってんの?っていうか、『なになに、なになに』うるさいな、『なになに星人』か!なんて脳内で突っ込んでいると、不意に『なになに星人』、もといその1が右手首を掴んで引っ張ってきた。


「な?ちょっと向こうに行こうぜ??」


 そう言いながら建物と建物の隙間の細い路地に視線を向ける。


 さっと血の気が引いて掴まれた腕を必死に自身の方へ戻そうと抵抗しながら、思っていた事を声に出した。


「ふ、ふざけないでください!そもそも、あなた達が広がって歩いていて通れないから脇に寄っていたのであって、待ちぶせしていたワケじゃありません!!大体、あんたに熱い視線なんか送ってもいないし、顔を覗き込んでなんかもないわ!!」


 後半言葉使いが乱れたが致し方あるまい。流石に気持ちわるいし勘違いされて不快だしでそこまで気を回せなくなった。というかむしろ、気を使う必要ないよね。うん。…それにしても手首強く掴みすぎだし…。痛みからなのか恐怖からなのか、はたまた和葉に会いたいからか…。じんわりと涙が滲んできた。



 「まぁまぁ、そう言わずにさぁ」とかなんとか言いながら腕をガッチリ掴んで引きずられそうになっていたその時——。


「ねぇ、なにやってんの?どう見てもナンパ、失敗してない?」



 駅方面から気が抜けるような、それでもって不快さを滲ませたような剣呑さも孕んだ声がかけられた。




長年愛用していた我が家のおろし金が擦っている間に折れるという、悲劇の実話をいつか自分で話を書く時に何処かに入れたいと思っていたので、念願(?)叶いました!

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