17話
短めですがよろしくお願いします。
教室に辿り着いてからは和葉との間に苦笑を浮かべた累を緩衝材(盾ともいう)として置いて視線をなんとか凌ぎつつ、ふと教室の後ろの出入り口へと視線を移すと了も登校してきた様でばっちり目が合い、そしてまた思いっきり視線をそらしてしまう。
「…朝から何してんの?」
この光景を目にした了から呆れた様な視線と声が掛けられた。
客観的に見たら私もきっと同じこと言うと思う。ですよねー…。
「なんでもないです…」
尚も視線を逸らしながらそう答えた。そしてそれを見ていた累が徐に口を開いた。
「了おはよう。笹倉がさ、了にお礼言いたいんだってさ」
ばっと累を見ると柔らかな微笑みをたたえた累が了から私へと視線を移してきた。きっとこのまままた何も言わずに終わってしまうと思って助け舟を出してくれたみたいである。…腹を括るしかない…。
了はというと、「お礼?」と首をわずかに傾げている。きょとん顔をしていて思わずかわいいと思ってしまったのは絶対に誰にも言えない…!!そしてその顔でこちらを見てくる。やめて!その顔はちょっと反則…!腹を括ろうかという決意が揺らぎ、思わず「なんでもない…!」と言いながらまたしても視線を逸らしていると。
「なんでもなくないでしょ?ずっとお礼言おうとして、タイミングを逃してたんでしょ?」
累に諭される様にそう言われてしまった。流石にここまでお膳立てしてもらっておいて「なんでもない」はない。和葉の若干の呆れ顔が視界に入る。
「…一昨日の、買い物に付き合ってくれて、ありがとう…。その、ナンパの件も。…両方とも、ちゃんとお礼、できてなかったから…」
視線を逸らしつつも、身体は了へと向けて、つっかえつっかえ言葉を絞り出す。声量もいつもより小さくなっていく。
なんか、凄い恥ずかしい…。ただお礼を言ってるだけなのに…!…何故か顔に血が集まっている気がする…。
「それで、その…飲み物とか、なにかお礼としておごらせて欲しいんだけど…」
言いながらちらっと視線を了へと向けると、軽く目を見張りながらこちらを見ていた。しかしそれも一瞬のことですぐに無表情へと戻っていた。
「別にそんなの構わないんだけど…。……なら、昼休みに自販機まで付き合ってよ」
構わないと言いながら何か考えて、すぐにおごらせる方へと考えをシフトチェンジした。…まぁ、借りを作ったままなのは釈然としないし、それで終わるのならいいと頷いた。




