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その手が。  作者: 柚子餡
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プロローグ

はじめまして、こんにちは。初めて小説を読む側から書く側にまわってみました。拙い文章や表現でお目汚しさせて頂くこと、どうかご容赦ください。楽しんで頂けるならば幸いです。




「うぅっ…ふぅえぇん…」


 三叉路の真中で小さい私が蹲って泣いている。



「どうしたの?」


 そんな私に正面から声がかかる。


 私のぼやけかけた視界に入ったその声の主は、小さい私と同じくらいの背格好で、柔らかそうな黒髪をふわりと風になびかせ、少しつり目気味な猫目を丸くして、棒立ちになりながらこちらの様子を窺っていた。



「きれいなちょうちょ、みつけたの。それでね、もっとみたくてきたの…。でも、みち、わかんなくなっちゃったの…!」


 一人道に迷って不安で怖くて寂しくて、どうしようもなくなっていた私。拙くも自分なりに理由を語る私へと静かに近付いて来た男の子の顔を見て、感情が抑えきれなくなった私はさらに泣いた。



「まいごになったのはわかった。…まいごのまえは、どこにいたのかわかる?」


 そんな私の様子を見ていた男の子は、丸くしていた猫目を柔らかくして、しかしそれ以外の表情をほとんど変えずにそう言った。



「…ぐすっ、さっきまで、おてらにいたの。…おはかまいりして、パパのくるまがくるの、ママとおばあちゃんとみんなでまってたの」


「…おてら」


 私の話を聞いた男の子はぽつりとそう呟くと、一拍ほど置いてから手を差し出してきた。



「つれていったげる。すぐそこだから」


 私はぐずぐずと溢れる涙を拭いながら男の子を見上げた。

 無表情に近いながらもどこかその猫目は、心配している様な、安心してとでも言っているようなそんな目に見えた。



 ーーふと不安がなくなった。



 じっとその猫目を見つめて無言になる。

 男の子の口が開く。



「おれのなまえ、りょう。そっちのなまえは?」


 『りょうくん』の手を掴む。



「…わたしは、ささくら あやね」


 『りょうくん』の手に引かれるように立ち上がる。




 私の涙が引っ込んだ。


 代りに笑顔が顔から溢れた。

誤字、脱字、不適切な表現などがありましたらご指摘のほど、よろしくお願いします!

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