続編SS 服を見立ててもらう(糖度甘め)
Twitterでのお題を元にしたお話です。
「ちょっと行きたいところがある」
「どこ行くのよ、レオランド!」
レオランドは待ち合わせに到着したルナセーラをちらっと見ると、返事を聞かずに歩きだした。
到着したのは、流行の服が豊富に取り揃えてある服屋だった。
ガラス張りの店内は、ルナセーラには眩し過ぎて一度も足を踏み入れたことはない。
「いらっしゃいませ~。あら可愛いお連れ様」
「連れに何かいいものを見繕ってくれないか」
そういえばデートなのに、魔法学院の制服のままだった。レオランドのオーダーを聞いた店員さんはルナセーラの元にやってくる。
「腕が鳴るわぁ~」
店員さんが選んだワンピースを試着する。赤茶の縦ストライプの入った生地に袖が膨らんだ流行りのデザインだ。
「レオランド……どうかな?」
試着室から出て、レオランドに見せると「いいんじゃないか」と腕を組んで頷いた。 レオランドはさっさと会計を済ませてしまう。
「ありがとうございます。……おねだりしてしまったみたいでごめんなさい」
魔道具ばかりお小遣いを注ぎ込んで、服に無頓着だった自分を恥じた。
「気にするな。似合うものを贈りたかっただけだ」
「……何かお礼をさせてください」
負けじと言い返すと、レオランドはいたずらっ子のような瞳をした。
「ほら、キスしてくれるんだろう?」
(キ、キス……!?)
急にとんでもないことを言い出すのが、レオランドの性分だ。
レオランドは背を屈めて、人差し指で口元を指してくる。貰うものを貰った以上逃げられない。
「お礼のキスですよね……では、失礼します」
(睫毛長い……)
チュッと音を立ててキスを落とす。 体を離すとレオランドとバッチリ目が合った。
「それだけか?」
煽ってくる一言に顔面に血が昇ってくる。
もう一回キスが必要なのだろうか。
「……もう限界です」
懇願するようにレオランドを見つめると、レオランドは黙り混んだ。
ーーー
レオランドの心の中。
「……もう限界です」
潤んだ瞳で懇願されては、これ以上はいじわるできない。
(ルナセーラ、可愛すぎる……)
せっかく不眠症が直ったというのに、ルナセーラのことを考え過ぎて不眠症を再発させてしまうのだった。