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無口な『魔王』の魔王討伐  作者: ねゆと
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第一話 無言のチュートリアル

続きは一週間後といいましたが、実際には数時間後でした。

付近の湖で改めて自分の姿を確認してみる。湖面に映るかと思ったが映らない。光が足りないのか、……そこまで考えたところで思い出した。そういえば吸血鬼は鏡に映らないんだった。おそらくそうだろう。鏡を見るまでは実際何とも言えないが。

と、見た目に関してはそこまでにしておいて、 記憶の中から吸血鬼のスペックを確認してみることにした。


その一 見た目を自由に変更できる

とりあえず、思いっきり念じてみることにした。

身体よ、大きくなれ!

その瞬間視界が徐々に大きくなっていき、大体目測で5m程のザイズになったあたりで止まった。ここが限界点なのか。逆も試してみるか。

小さくなれ!

すると今度は逆に見る見るうちに身体が縮んでいく。そして大体アリと同じくらいのサイズになったあたりで縮小が止まった。さっきのようにここが限界点なのか。

この実験も終わったし元のサイズに戻す。次はっと。

女になれ!

身体のサイズが少しだけ変わり、胸のあたりに重みを感じる。……ひとしきり楽しんだ後、実験を再開することにした。


その二 狼やコウモリ、霧に変身できる

さっきと同じように念じてみる。

変身!コウモリ!

一瞬で地面に落下した。腕は翼に変わっていて、動かしていなかったがために落下してしまったんだろう。歩くのと同じような感覚で翼を動かしてみる。すると次第に身体は宙へ浮き、さっきの目線の高さまで浮いてみる。……想像以上に疲れるなコレ。

地面に着地し、念じる。

変身!狼!

するとこれまた一瞬で目線の高さが変わる。元のサイズから換算すると膝のあたりくらいだろうか。……狼というには小さくないか?

それは置いといて手足の全てから地面を感じる。

良くはわからないがどうやら狼に変身できているようだ。

四本足で歩くのは初めてで若干の違和感があったものの、すぐになれることが出来た。

周辺を軽く走り回ってみると、これまでの何倍もの速さで走ることが出来、とても爽快感がある。基本移動はこれでいいかもしれない。

次は霧だ。正直何が何やら分からないが、まあとりあえず。

変身!霧!

身体の感覚が消えた。意識がぽやんとしてくる。どんどん意識が散らばっていくような……ハッ!?

咄嗟に身体を元に戻す。体中から冷や汗が止まらない。

……危なかった。恐らくだが霧への変身時間は一分間くらいが限界じゃないだろうか。

それ以上は身体が消失してしまう気がする。

……次だ。


その三 催眠術を使える

試しようがない。次だ。


その四 狼、コウモリ、昆虫、風、雷を操ることが出来る

狼もコウモリも辺りには見当たらない。とりあえず蟻で試してみることにした。

俺の前に隊列を築け!

命令してから一分後、自分の目の前に数多もの蟻が綺麗に整列している。

虫を動かすことは出来そうだな。次だ。

風を操る。気象にも絡んでいくのか。なんかできるような気がしない。

湖面に向けてっと。

風よ!吹き荒れろ!!

つむじ風のような風が巻き起こり、湖面を乱す。

……終わり?

もっと竜巻みたいなものを想定してたんだが。それに心の中とはいえ、吹き荒れろ!!とか念じた手前は恥ずかしいんだが。

この分じゃ次の雷も怪しいものだな。

雷よ!

雲が次第に出来ていき、雷雲のような様相を呈してきた。

……時間がかかるな。

―― 一分後 ――

え?終わり?

心無し控えめな詠唱にしておいてよかった。なんとなくそう思った。


その五 穏やかな水面を歩くことが出来る

流れている川を生身で渡ることは出来ない、という設定もどこかにあったはず。

これも怪しいな。

水を渡りたい。そう念じつつ、恐る恐る水面に足を落とす。

水面はプルプルしながらもなんとか耐えているようだった。これはもしや。

もう片方の足も水面に落としてみる。

ピチャッ

水没した。

片足だけ何とか耐えれる水面歩行。何の役に立つというのか。


その六 身体スペックが高い

丘の上に手ごろなの岩があるのを見つけた。

そこまで行くと、軽ーく殴ってみた。

ピシッ

岩に軽くヒビが入ったものの、岩にはそれ以外に変化はない。

しかしその代わり手はかなり痛い。

気を取り直して垂直飛びをしてみることにした。

自分の背の高さくらいはジャンプ出来た。

……。

これで実験は終わりだ。

あとは杭で心臓を刺されたら死ぬ、日航が苦手、においの強い香草が苦手、流れる川を横断することは出来ない、招かれたことがない家に入ることが出来ない、定期的に血を摂取しないと弱体化していく等の弱点のオンパレード。

……。

もしかして。もしかして、だが。

俺って結構弱い?


改めて所持品を確認してみると、身に覚えのないカードが追加されており、そこには堂々とLv1と記載されていた。

……どうやら俺は勘違いしていたようだ。

即時魔王と同スペックの強さを手に入れたのではなく、Lvが上がるにつれ、魔王と同スペックを手に入れていく……。

なんか思ってたのと違う。

気づいた頃にはもう遅かった。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

続きは一週間後予定です。

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