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宇宙のタコ配業

作者: キズナ

よ、読んで行くタコ~。


すみません。個人的には楽しく書けましたのでアップしました。

 「何か当たったタコ~。少し様子を見るタコ。」

 タコ田八十八(やそはち)は自家用シャトルの外へでて左翼を確認する。

 「何だタコ?」

 左翼に当たったモノには思い当たるマークがあった。

 「これ…木星5番地…あ!一昨日無くした荷物タコ!!あのお客さんには平謝りして賠償金まで払ったタコ。こんな所に落ちてたなんて!考えただけでむしゃくしゃしてきたタコ。」

 八十八は荷物を開け中身を貪る。

 「もうこんな時間タコ!?早く行かないと間に合わないタコ。」

 急いでシャトルを発進させ、土星へ向かう。

 

 「ソイルさーん。タコ配便ですタコ。……?あれ?いないタコ?今日で3件目タコ~。不在票をつけてっと。次行くタコ。」


 八十八は次の現場へと向かう。次の目的地は水星。


 「やっぱりシャトルを買って正解タコ。マインさんはいい人タコ。配達も順調だし良いタコね。…あ。」

 早さに感動していると、衛星にぶつかってしまった。

 第34号衛星ウェイブは地球から打ち上げられたものらしい。八十八からすればそんな事はどうでもいいが、自分のシャトルの方が心配だ。

 動力部は何とか無事だったものの、左右の翼は大破しており、これ以上運転するのは厳しいがそんな事は言っていられない。


 「そんな事より、早く届けないといけないタコ~。」

 予備動力を使い真っ直ぐ、水星へ進み、何とかたどり着けた。


 「カブリュンさーん。お届け物ですタコ。」

 「はいはい~。あぁタコ配達さんね。」

 「サインくださいタコ。」

 

 サインをもらい、シャトルへ戻ると宇宙警察がそこにいた。


 「これ君のサメ?」

 「そ、そ、そうタコ。何かあったタコ?」

 「さっき通報があってねサメ。衛星ウェイブが破壊されたみたいで調査しているサメ。」

 八十八はドキッとした。その衛星は自分がシャトルで突撃して破壊したなんて言ったものなら何を言われるか分からない。


 「映像によると…白いシャトルがぶつかったようだがサメ。これじゃないのかサメ?」

 「…。え?なんのことタコ?」

 「嘘をつくと逮捕するサメよ?今なら書類送検と賠償金で許してやるサメ。さぁ吐くサメ。」

 どちらにせよ罰せられると思った八十八だが、サメ刑事の眼力に負け、正直に話すことにした。


 「わ、私がぶつかったタコ…。たぶん。」

 「多分サメ?」

 「…私がぶつかったタコ。絶対。」

 「よし分かったサメ。じゃあこの書類にメールアドレスと名前をサインするサメ。後日詳細のメールが届くサメ。」

 八十八は渋々その紙へメールアドレスと名前を書きサメ刑事へ手渡した。


 

 「はぁ…災難タコ。このシャトルも治さなくちゃいけないタコ。」

 八十八はいつも修理を任せているガガミラへ電話することに。


 「もしもし?ガガミラさんタコ?修理を頼みたいタコ。」

 「またミラ?今どこにいるミラ?」

 「水星タコ。」

 「また変な所にいるミラね。少し待っておくミラ。」


 通話が切れて、30分ほど経った頃、ふらりふらりと大きなレッカーでやってきたガガミラ。

 「お待たせミラ。お?またかなり壊したミラね。代車も持ってきたからこれで家に帰るミラ。修理費はまた請求するミラ。」

 「わかったタコ。お願いするタコ。」


 シャトルをガガミラへ預け代車で自宅へ帰ると、早速メールが届いていた。


 タコ田八十八 殿

 貴殿は第34号衛星ウェイブ破壊の件で以下の通り決定しましたので通知いたします。


 罪状:公共物破損

 罪状により、1年間の業務停止を言い渡す。


 損害賠償金:5億円

 貴殿は賠償責任保険に加入されていますので、保険会社より費用を補填していただきます。


 以上。

 以後気をつけるように。

 六ヶ月後、経過確認として調査を行いますのでご承知ください。


 「…。業務停止はやばいタコ。」

 八十八は急いで連絡をするため、電話帳を取った。


 「…もしもし?イカ矢君タコ?やばいタコ。」

 「タコ田君?大丈夫なのかい!?業務停止って聞いたけど。」

 「それタコ。1年間の業務停止を言い渡されたタコ。でも荷物は明日の分もまだまだあるタコ。」

 「大変だ!もしかして、僕に電話してきたって事はそういうことかい?」

 「そうタコ。お願いタコ。売り上げはそのまま渡すから助けてくれタコ。」

 「…。しかたないね。タコ田君とは昔からの付き合いだからね。」

 「ありがとう!」

 イカ矢次郎との電話を切った八十八。


 荷物は解決したが、八十八にはもう一つ問題が残っていた。

 「配当をどうするかタコ。この業務停止はかなりの痛手タコ。出資者の皆様にどう説明したらいいか…。」


 

 緊急で株主総会を開いた八十八。

 「私の不手際で1年間の業務停止をもらってしまったタコ。誠に申し訳ないタコ。」

 頭を下げ、出資者に説明する八十八。


 「タコ田君。それで君はこの状況をどうするんだ?売り上げが上がらないのなら出資を返してもらいたいものだが…。」

 「はわわ。そ、それは勘弁して欲しいタコ。どうにかして配当をお届けするのでもう少し待って欲しいタコ。」

 慌てて出資者に説明し、何とか納得してもらい株主総会は終わった。


 「困ったタコ。お金を工面するにはどうすれば良いタコ。」

 「たこ焼きしか無いわね。」

 「カニ実…。」

 「こんなこと言いたくないけど、あなたの足なら再生するし問題ないわよ。」

 二人とも苦肉の策だとは分かっていながらもこれしか選択肢は無かった。


 自分の足を切ってたこ焼きを作るなんて、自虐ネタもここまで行くとすがすがしいと誰かがいいそうだが、耐えるしかなかった。


 「ふぅ…これで全部タコね。」

 「そうね。あなたの足もね。」

 「そ、そうタコね…。」


 そしてたこ焼きを格安で売りさばき何とか資金を工面した八十八の元に1本の電話が来た。

 「もしもし?タコ田君?言いにくいんだけど、出資返金をお願いしたい。総会では延期で決まったけど、ここを凌いでも、先が短い君の所はデメリットが大きいからね。」

 「待って欲しいタコ!丁度配当の準備が出来たタコ。」

 「準備と言っても、それはたこ配当だろ?そんなことされても困るんだよ。じゃあ出資の件頼んだよ?」

 「あ、…待ってタコ…。」

 電話は無情にも切れて、受話器を離す八十八。


 「どうしたの?」

 「出資の返金を求められたタコ。意思は堅いからと言われたタコ。」


 そして再び電話が鳴る。嫌な予感がした八十八だが、出ないわけにはいかない。案の定、先程と同じく出資返金の電話だった。そして次々と電話が鳴り、全て同じ内容だった。


 事実上の倒産を言い渡された八十八。

 「困ったタコ。これじゃあタコ()()がタコ()()になってしまうタコ…。」



 …その後、配達姿のタコ田八十八の姿を見たものはいない。


数ある短編小説からこの小説を読んでいただきありがとうございます!

宇宙というワードから広げた結果、宇宙人のイメージがタコだったのでタコになりました。

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