第2話
体育館に集まった入学生は152名。
バレーボールのコートが2面つくれる程度の広さで、どこにでもある体育館と同じ位の広さだろう。
全員、高校1年生という事もあり、未だあどけない雰囲気の生徒が大半を占める。
「皆さん、御入学おめでとうございます。私は国立能力者支援高等学校、校長の丹波です。適正テストを合格した皆さんですが、ぜひ普通の高校生と同じ青春も忘れずに楽しんで下さい。」
壇上で丹波校長の挨拶が早々に切り上げられ、司会の教師より、これからの説明がされる。
「これから皆さんには、各クラスへ移動してもらいます。クラス分けは体育館入り口に貼り出しておいたので確認次第、移動を開始して下さい。」
クラス分けの話になり、生徒達が一斉にざわつきながら、貼り出されたクラス分けの場所へ殺到する。
中には知り合い同士で入学した者もいるのだろう。クラスが一緒だ、違うだと騒ぎながら、次々に移動していく。
俺は自分の名前を探すと、どうやらE組らしい。
1年の教室は校舎の3階という事で、各自階段を上がり教室を目指す。
教室へ着くと、約20名程の生徒が集まっていた。
「お!また会ったな!同じクラスだったんだな!」
笑顔が眩しい。
「佐久間君。一緒だったんだね。よろしく。」
「こちらこそ、よろしくな!知ってる奴1人もいなかったから助かったわー!」
ついさっき知り合ったんだけどね。
とは言え、俺も誰1人として知り合いがいない中、正直少しだけ嬉しい反応だった。
「全員集まったか?とりあえず席は適当に座れ。」
教壇でそう言ったのは、見た目30代後半位の男性で、どう見ても自衛隊員の様な服装だった。
「今日からE組の担任になった近藤健介だ。授業では実技を担当している。1年間よろしく。」
そう挨拶をした担任は、ゆっくりと生徒を見渡すと
バァァァァァンッッッッ!!!!
(ファッ!?)
「お前ら『よろしくお願いします』も言えんのかぁ!!」
持っていたファイルを教壇に叩き付け、生徒達を唸り飛ばした。
ガタッガタガタッ
一斉に椅子から立ち上がり
「「「よろしくお願いします!!!」」」
と、元気良く挨拶する生徒達。
もちろん俺も、今までした事がないくらいの角度でお辞儀を披露する。
めっちゃ恐い。
自衛隊員の様な、じゃない。絶対隊員だ。
女子とか完全に涙目だし。
「いいか。一般人だろうが能力者だろうが、挨拶はコミュニケーションの基本だ。お前達は、適正テストに合格はしたが、それ以外は普通の高校生だ。まずはそれを心に刻め。わかったか!?」
「「「はい!!!」」」
この時、E組の生徒全員の思いが1つになった。
(((やべぇクラスに入れられた)))
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