第13話
現場の三門です。
ここ鬼ヶ島では、特別メニューを言い渡された生徒達が、次々と鬼に倒されています。
特別メニューのルールは、鬼の攻撃をひたすら避ける。
まさに鬼ごっこです。
現在はC組の一条雅也君がチャレンジ中です。
今のところ、彼が一番粘っております。
とはいえ、まだ1分を過ぎた位でしょうか?
あーっと!一条雅也君!避けた先で鬼の蹴りが脇腹に刺さったぁー!
またしても犠牲者が増えました!
現場からは以上です!
…遊んでる場合じゃない。
次は俺の番なんだ…。
あぁ…やりたくない…。
「…チクショウ!喰らっちまった!」
咳き込みながら雅也が悔しがる。
ほとんどの生徒が数秒で沈んだ中、かなり粘った方だろう。
「なかなか良い動きしてるじゃないか。資料では特に格闘技はやってなかったはずだが?」
あれだけ激しく動いて呼吸が全く乱れていないあなたは、まさしく鬼の近藤ですよ。先生。
「…地元じゃケンカばっかりだったんで。」
「そうか。ヤンチャな奴は嫌いじゃないぞ。これからは、みっちり鍛えてやるからな。」
「…うっす。」
雅也、ケンカ三昧だったのか。
同じ部屋だし、色々話聞けるかな。
雅也が寝てなければ。
「よし、三門。やるか。」
「…わかりました。」
さて、どうする。
何人かは能力を使っていたけど、俺はまだ使えない。
明日の再検査をしてからだと、荒井先生から言われている。
ましてや、雅也みたいに動く自信もない。
こんな時、父さんならどうする?
あのズルい大人ならどうするだろう?
…通用しないだろうけど、ただやられるよりは良いだろう。
「先生!始める前に、確認しても良いですか?」
「なんだ。言ってみろ。」
「スタートの距離は、どれだけ離れてもいいんですか?」
「せいぜい50mくらいまでだ。」
50mか…。
辺りを見回すと、後ろと左は5m以上の高さはあるだろうコンクリートの塀。
右側は他の生徒達が今も走っているグラウンド。
正面に近藤先生。
逃げ場なんか無いじゃないか…。
いや、待てよ…。
「緊張しているので、自分のタイミングで始めてもらっても大丈夫ですか?」
「構わん。足首はしっかり回しておけよ。」
よし。
これで準備が出来る。
俺はストレッチをしながらウロウロと歩き回り、他の生徒が走っているグラウンドの方を目指す。
丁度通りかかる同じクラスの男子が、可哀想な顔で「御愁傷様だな」と呟く。
そいつに向けて秘密の呪文を唱えると
「お前それマジかよ!」と驚くとコクりと頷いておく。
突然やる気になったソイツを尻目に、最後の準備運動をする。
なにやらグラウンド側の男子共がざわつき出したのを確認すると、先生に声をかける。
「お待たせしました!行けそうです!」
「よし。俺が動き出したらスタートだ。」
さぁ。
俺が捕まるのが先か。
俺の魔法が発動するのが先か。
鬼ごっこのスタートだ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。




