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心の価値は  作者: 犬好きのおじさん
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第9話

父親視点です。

「ねぇパパ。誰かいるよ。」



熊子がそう言いながら、鼻をひくひくとさせる。


俺達は今、栃木県日光市にある山道に来ている。

『謎の発光現象を気象衛星が捉えたと、気象庁より報告があったので確認に向かって欲しい』と防衛省から依頼された為だ。

憾満ヶ淵という場所らしく【並び地蔵】が有名らしい。

約70体の地蔵が並んでおり、数える度に違う数になってしまう為【化け地蔵】とも言われていると、資料に載っている。



「観光に来る人も少なくないとかなんとか…そりゃ誰かいてもおかしくないだろ。」

「でも、なんだろ。すごく鼻がむずむずするの。」

「なに犬みたいな事言ってるんだよ。花粉症か?」

「犬だよ!!!もう!!!」

「お、熊みたいな顔してるな。」

「犬!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



全く、なに怒ってるんだか。

んな事言って、尻尾ぶんぶん丸なのは隠せてねぇぞ。

そんなに尻尾振ったら取れちゃうからな。



「とりあえず近付いてみるか。誰かいるのは間違いないのか?」

「うん。間違いない。でも何か変。」



あの日から俺が能力を使う度に、熊子も徐々に変化し感覚が鋭くなっている。

野生の勘みたいなものなのだろうか?

箱入り娘の頃と比べると、動きもかなり素早くなり、次第に邪鬼を倒す程になっていた。

熊子に能力を使っている自覚は無いらしいが、明らかに影響を受けている、もしくは能力に目覚めているのだろう。

力になってくれる事が頼もしい反面、無茶をしないか心配でもある。

まぁそこは、お父さんが頑張らないとな。



「何が変なんだ?」

「すごく嫌なにおいがする。気持ち悪いにおい。それにお地蔵さん達、むずむずしてる。」

「お地蔵さんも花粉症か。粉の力はすげぇなぁ。んで、相手は1人か?」

「ひとり。動いてない。あっち。」

「そうか。ありがとな。ちょっくら行ってくるから、ここで待ってろ。」



熊子の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。

うわ。鼻濡れてて、手ぇびっしょりじゃねぇか。



「待って。あたしも」

「お座りしてなさい。」

「むーーーーー!!!!!!!!!!!!」

「…ったく。しょうがねぇなぁ。」

「パパはあたしがまもっちゃうの!」



何かあった時の為に、熊子を残したいんだが。

発言がいちいち女の子みたいだな。

乙女かよ。



「乙女だよっ!!!!!!!!!!!!!」



コラ、心を読むな。

まぁ、こんな所にいる見るからに怪しい人間なんざ、ろくなモンじゃねぇんだろうな。

とりあえず、声かけてみるか。



「すみません、ちょっとよろしいですか?」



迷彩柄でフード付きの全身を覆うローブの様なものを羽織った奴に声をかけると、こちらを振り向き驚いたのか目を見開きながら呟く。



「三門…和…」

「あら、ご存知でしたか。はい、三門です。はじめまして。どうしてこ」

「…っ!」



そいつは、懐に手を差し込み何かをこちらに向けようとする。

すると、驚異的なスピードで飛び付いた熊子が、こちらに向けた手首に噛み付くと、ブチンッ!と音を合図に男が悲鳴をあげる。

ブランとしている手首から先に握っていた物は、放物線を描いて地面に落ちた。



「ぐああああああああああああああああああああああああ!!!!!ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」



ひと噛みした熊子がすぐに男から離れると、落ちた物を口にくわえて、素早く俺の足元に戻り、それを俺に渡す。

おいおい、銃じゃねぇか。



「…ペッ!ペッ!へんな味!」

「熊子、大丈夫か?」

「だいじょぶ!それよりパパ。もうひとりいるかも。」



その言葉を聞き、子供の頃BB弾のモデルガンで遊んだ記憶を頼りに、熊子が奪った銃の安全装置を確認しそれを外す。

あの時遊んだのはベレッタだったか。

似てるな。

ピンッと立つ熊子の両耳を片手で折り畳むように塞ぐ。



「熊子悪ぃ、ちょっとだけ我慢してくれよ。」



ダァン!と一発試しに打ち、感触を確認する。

反動が思ったより強いけど、大丈夫だろう。



「キーーーーンってなってる!!!

耳キーーーーーンってパパ!!!!」

「悪ぃ悪ぃ。聞こえるか?」

「むー。…だいじょぶ。」

「もう一人はどこだ?」

「いまこっちくる。あの人のとこ。」



手首を押さえて未だに悲鳴をあげ続ける男に近付く眼鏡をかけた女。

パンツスーツに身を纏ったスレンダーなショートカットの眼鏡っ子は大人びているが、おそらくまだ少女だ。



「…失敗?」

「くっそ!!!こんなの聞いてねぇぞ!!!なんだあのクソ犬!!!!!」



パァン!



「おい。うちの子がクソ犬か。冗談もほどほどにしとけや。」



ろくに狙いもしなかった弾丸は男の太股に突き刺さったらしい。

当たりゃそれでいいがな。



「がぁああああああああ!!!!!!」

「うるせえなぁ。おいそこの眼鏡っ子。お前ら何なんだよ。うるせぇから、とりあえずそいつ黙らせろよ。」



パァン!



「…っ!」



眼鏡っ子が顔をしかめる。

肩に当たった様だ。

能力で捻り殺してしまおうかとも考えたが、折角の出逢いだ。

少しは情報でも引き出したいな。



「おい、お前らはここで何をしていた?そんで、お前らの目的を言え。言わんと捻り殺すぞ。」



銃を向ける事を忘れず問い掛ける。



「…私達に逃げ場はありませんね。わかりました。正直に話しましょう。」

「…おい!!!!!てめぇ!!!!」

「…うるさいですね。」



スパァン!



熊子に手首を噛まれた男の首が、とてつもなく綺麗に切断される。

仲間割れか?



「…全く。土下座して組織に入れて欲しいと懇願した奴が、こんなカスとは。大変失礼致しました。あなた方には、こんなカスとは違い、最大級のおもてなしをする予定でしたのに。」

「目的を言え。簡潔にだ。お前を捻る前に言え。早く。俺と一緒に命の勉強しようぜ。じゃないとよ。ちょっと、おじさん、お仕置きするしかなくなるからよぉ。」



目の前のやり取りに感化されてしまったのか、血が沸騰仕掛かっている。

歯止めが効かない。



「小娘。今すぐ。目的を言え。」

「…にひひ、やっだぁ!おじさん!言えって言われて言うわけないじゃん!!おじさん、頭が悪い人だっ」



なんだこいつ?

さっきと全然キャラ違うじゃねぇか。

どうなってる?



「おまえ」



……ドクン。




「…熊子?」



熊子の様子がおかしい。



「犬しゃべってる!!!やばくない!?捕まえて売れば儲かるかな!?ねぇおじさん!このワンコ頂戴!おじさん頭悪そうだから、私が賢く使ってあげる!!」

「パパの悪口いうな。おまえ。」




…………ドクン。




「…おい、熊子?」

「アハッ!確かに熊みたいな顔して」

「おまえ。それを言うか。」





……………………ドクンッ!





「ッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




熊子の様子が明らかにおかしい。

今までこんなこと無かったのに。



「熊子!落ち着け!おい!!!」

「あいつ殺す!!!!!!!!!!!!!!!

パパの悪口!!!!!!!!!!!

パパ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

パパァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

アアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」



熊子の叫びと共に、熊子の体が明らかに大きくなり、図鑑で見たオオカミのような姿になっていく。



「…熊子!熊子!」

「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」

「…ハッ!犬っころ一匹粋がってんじゃ」

「…さようなら。」



その瞬間、爪で切り裂き牙で噛み千切り、たった1人の少女を、まるで鉛筆削りのカスの様に始末した。



これがきっと、熊子が覚醒した瞬間なんだろう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。



※修正中に誤って投稿してしまいました。

申し訳ございません。

修正致しました。

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