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心の価値は  作者: 犬好きのおじさん
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プロローグ

初めて書いてみました。

よろしくお願い致します。

助けて。

辛い。

逃げたい。

怖い。

痛い。

叫びたい。

潰れる。


渦巻く感情が体の中で暴れまわる。

制御なんて出来るわけがない。

身に受けるは、後悔、失念、殺意、憎悪。

所謂、「負の感情」と言われるものばかり。


力は身を滅ぼし、力は心を貪る。

望んだはずの力は、身に余る暴力となり、

気付けば天災となる。


望んだはずの力を望まぬ結果しか生み出せない男は、

世界でどう写っているのか。

誰かが見ている。

誰かが見てくれている。

誰かが裁き、誰かに裁かれる。

時には善で、時には悪。


世界が平和でありますように。




……………………………………………………




我が家の飼い犬、甲斐犬の熊子(♀)は、散歩中すぐバテる。

帰りたいと目で訴える。

そして、すれ違う人間を見つける度に「構って!!」と全力アピールをする。

どの犬の図鑑を見ても、甲斐犬の特徴に当てはまらない、甘ったれちゃんだ。

狩猟犬なのに体力がないとは如何なものか。

まぁ、それも個性だ。

十人十色。

十犬十色。

人も犬も変わらない。

ただ時折、熊みたいな顔で見つめられる度に

「何、熊みたいな顔してんだよ」

と、言いたくなる。

可愛いから良いのだけれども。


三門(みかど)家は、世帯主である俺、三門和彦と甲斐犬の熊子。

妻と息子二人、娘の6人(?)家族だ。

夫婦共働きで、中学生の息子、小学生の娘、幼稚園生の息子を何とか養っている家庭だ。

今日は休日の恒例、熊子とのお散歩タイムだった。

いつもの場所にマーキングをして、ルンルンで歩く熊子。

超可愛いな。


いつも通り散歩に行き、熊子と会話をしながら、帰路につく。

いつも通りの幸せ。いつも通りの日常。

そんないつも通りを噛み締めるが、今日はなんだかモヤモヤする。

暫く散歩してあげる事が出来なかった事が原因か。

伸びた爪を切ってあげる事が出来ない罰か。


唐突に頭の中に流れ込んでくる叫びと共に、

世界が変わった。

そんな散歩を満喫している時に、突如聞こえてくる無数の叫び声。



助けて。

辛い。

逃げたい。

怖い。

痛い。

叫びたい。

潰れる。



「!?!?!?!?!?!?」

何だこれ、頭、あたま、おかしく、うぁ、え、何、気持、気持ち悪、気持ち悪、い、誰、知らな、い、頭、あたま、アタマ、われる割れるワレル割れるわれるワレルあぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ…


「あ、あぁ、あぁぁあああ、あああああああ」


熊子が不安そうに見てくる。

ごめんよ、俺にも何が何だかわからないんだ!


頭が、なんだこれ、頭がアタマあたま頭あぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!


視野も焦点もおぼつかない状態で周囲を見渡すと、徐々に見えてきたものは、見慣れない半透明の何かに囲まれていた。


「な、んだ、よ…コイツ、ら…!」


半透明な何かは、身長130センチから150センチ位ある、10数体はいる二足歩行の異形のモノだった。


「なんっ…なんだよ!お前ら!!」

『『『コルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコル…』』』

「来るな…!熊子!来い!おすわり!ちょっと待ってろ!」

「パパ、あたし、パパ、まもるよ」

「熊子!?はぁ!?熊子がしゃべっ…うぐぁっ!クッソ!っ頭痛ぇええええ!」

『『『コルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコル…』』』

「パパ、あたしがまもる」

『『『コルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコル…』』』

「グルルルルルルルゥ…!」

「…熊子!駄目だ!あああああああ痛ぇなクソッ!熊子は…!…俺が!…守るんだよ!クソッタレ!!何だか知らねぇけ…ど!」

『『『コルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコル…』』』



「コルコルうるせぇなぁ…」

……ドクン

『『『コルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコル…』』』

「いいからよぉ…」

……………ドクン

『『『コルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコルコル…』』』

「…散歩の邪魔してくれてんじゃねぇぞ!コラァ!!!!」

…………………………ドクンッ!


ギュルギュルギュルギュル!

半透明な何か全てが、まるで雑巾を絞るかの様に捻れ、限界を越えて弾け飛ぶ。

さっきまで何があったか、まるで何も無かった様に、辺りはいつも通りに戻った。


「…パパ、パパすごい!すごい!すごい!さすがパパ!…パパ…?」


熊子がまだしゃべってる。

っつーか、何でしゃべってるんだよ…何がどうなって何なんだよ…


「…パパ…?」


あぁ、帰らなきゃな。

帰って熊子に水あげて、ご飯あげないと。

そうだ。帰らないとな。家。家、帰らないと。


「パパ!?パパ!!!」


何だよ熊子、熊みたいな顔しやがって。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」



世界が変わった。




世界が平和であります様に。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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