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クラスは異様な空気に包まれていた。
「・・・くそっ、俺らもここまでなのか・・・!?」
「っく、わからない、わからないわ!?」
「神は俺らを見放したーー!!」
「フフ、フフフフ、フフフフフフ、フフフフ腐腐フフ、腐腐腐腐腐腐腐腐・・・」
「ねぇ、今どこで何があってそんな笑い方してるの!?文字変換可笑しいよね!?」
「(絶望)」
・・・もはやカオスである。
なぜこうなったかって?
少し前に遡ろうーーー
***
歌った曲は、昭和の曲から今流行りの曲。マイナーなものからメジャーな曲まで様々だった。
幸いクラスには、これらの歌を歌える奴らがいたので、1曲目から一度もパスを使うことなく、うちのクラスはこれまで23曲の全てを歌ってきた。獲得点数は1967点だ。
クラスのみんなは、
「○○○の歌上手だったよ〜。」
「△△△こそ〜。」
とか言い合えるくらいには、余裕も出てきた。
そして、これを期にクラス内での立場を変えた者たちがいた。
そいつらは、アニメ大好き、漫画大好き、ラノベ大好きな2次元大好きな人種だ。
出題された曲にはアニメのOPやEDが多く、これらを歌える者は限られていた。
アニメを見ない奴らにとっては、
「え?何その曲聞いたことない・・・」状態である。
そこで活躍したのは彼ら。
時々身内で集まり歌を歌いあっていたおかげもあり、かなりの高得点を叩き出し、クラスメイトから
「「すごい(な)(ね)!」」
とお褒めの言葉をいただいた。
ちなみに、僕は2次元大好きな人種だ。
***
このままゲームは順調に進んでいくと思われた。
しかし・・・
[第24曲目!!]
ジャジャン!!と効果音が鳴り、表示された曲が問題だった。
『Kiss with love to you』
訳すと、"あなたに愛をもってキスをする"・・・か?
ぐるりと周りを見渡すと、一様に頭に?マークを浮かべている。
「この曲、わかるやついるか?」
「洋楽かな?」
「聞いたことねぇぞ。」
みんなが口々に言う。
そして、
「え、・・・じゃあ、この曲はパス・・・ってこと?」
「「「・・・」」」
誰も歌えないのなら、パスしか選択肢はない。
だが、その選択肢を誰も進んで選ぼうとはしない。
何故ならーー
「この曲、他のクラスは歌うのだろうか?」
そう、問題はそこだ。
今までの曲を全て歌えたのは、何もうちのクラスだけではない。他に2クラスある。
もしここでパスを使って、他のクラスに点差をつけられれば、1位になるのは難しくなる。
この先、他のクラスが全ての曲を歌うとは限らないが、万が一って可能性もある。
「・・・1位になれなきゃダメだ。」
「・・・そうよ!このゲームへの意義は、1位になってこそあるのよ!!」
誰かが叫ぶ。
まあ、確かにそうだ。
定期考査全教科プラス10点というのは、正直美味しすぎる。
2位以降の褒美は特に聞かされていないのだから、用意されていないのだろう。
それに、
「次の定期考査、ヤバイんだよーー!!」
そう、そうなのだ!!
今やってる範囲、正直難しい。
赤点回避を免れるためには、プラス10点の褒美は、確実に獲っておきたいものなのだ。
そう考えているのはみんな同じ。
だからこそ、パスは1回でも使いたくない。
だが、この曲を歌えるやつがいない。
故に、
「・・・こんなところで終わる訳にはいかないんだぁ!!」
「ええ!こんなところでは終わらない!!」
「フフフフ、腐腐腐腐腐・・・」
みんなの頭は解決策を考えるのを放棄し、各自現実逃避をし始めた結果、冒頭へと至ったのであった。
まずはこちらを完結させます!!