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生き物を飼う条件? ー海水様へのプレゼントー

 私は今、プンプンと怒りながら一人で歩いていた。私がいる場所はペットショップ併設のホームセンターだ。今年から一人暮らしを始めた私は、いろいろな物が家に無い。衣替えの季節になり、そろそろ本格的な冬に備えて暖房器具を買いにきたのだ。


 最初は一人で来るつもりだった。なのに、親友が「持って帰るつもりなら運んであげる」と言ってきたの。私はまだ車を持っていないから、正直その申し出はありがたかった。


 なのに・・・。


「ごめ~ん、寝過ごした~。・・・ねえ、明日じゃ駄目?」


 という電話が。


 私は明日は仕事・・・ではないけど、友達のフリマを手伝う約束をしていたから、明日ゆっくり見て回る時間はないから今日と言ったはず。


 そう言ったら、電話の向こうで息を飲む気配が伝わってきた。


 どうも忘れていたようだ。親友は悪い奴じゃないのだけど、人の話を話半分にしか聞いていないことが多々あるのだ。


「ねえ、その手伝いをやめることって」

「何を言っているのかわかってる? 私は予定を変える気はないからね。というか、もういい。一人で買いに行くから。じゃあ」


 私は電話を切るとバスに乗ってこのホームセンターにきたの。


 怒りが納まらない私は、気持ちを落ち着けるためにペットショップに向かった。


 ここは定番のワン、ニャンから、ピョコタンにクルクルたち、おしゃべりさんたちもいっぱいいるし、人によっては好き嫌いが別れる爬虫類たちもかなり多種がいた。


 他に魚類も種類が豊富だった。金魚も一般的な小赤から何この値段? というようなものまでいるし、錦鯉の稚魚もいる。もちろん熱帯魚も。


 キラキラ光る熱帯魚の姿に魅入っていたら、いつの間にか気持ちは落ち着いていた。気がついたらしゃがみこんで見ていたので(うわ~、人に見られたら恥ずかしい~)と思いながら立ち上がった。そっと辺りを窺ってから移動をした。


 ペットショップの中を一周回って、またさっきの位置に戻ってしまった。今度はしゃがまずに熱帯魚たちを見ていた。


「熱帯魚を飼っているんですか」


 不意に人の声がした。いつの間にか隣に男の人が立っていて、私が見ていた熱帯魚を見つめている。


「いえ、飼ってはいません」


 彼の隣には他に人がいないので、私に話しかけたのだろうと思い、そう答えた。


「じゃあ、これから飼うのかな」

「飼う気はないです」


 さらなる問いかけに答える私。


「どうして?」

「無責任なことはしたくないからです」


 男の人は視線を私の方に向けてきた。私は視線を合わさないように熱帯魚のことを見つめた。


「私の仕事って、出張が多いんですよ。一週間の出張は当たり前。場合によってはひと月家に帰れないこともあります。そんな状態じゃ、生き物なんて飼えないでしょう」

「誰かに世話を頼んだらいいんじゃないか。家族とか彼氏とか」


 男の人の言葉に私は笑った。


「家族とは離れて暮らしていますし、彼氏なんていませんもの」


 私はそう言って視線を彼に向けた。彼はジッと私のことを見つめている。


「それならこれから飼ったらどうですか」


 彼の言葉に私はカッとなった。こいつも人の話を聞いてないのかと。


「だから飼えないって言っているでしょう!」

「あなたがいない間の世話は私がします」


 カッとした気持ちのままそう言ったら、彼は私の事を見つめたままそう言った。


「はぁ?」

「責任を持ってお世話させていただきます」

「へっ?」


 言っている意味がわからずに、変な声がでた。彼は苦笑をすると少し私に体を寄せて、囁くように言った。


「あなたに惚れました。その子達を飼うことを込みで、彼氏にどうですか?」


 しばらく呆気に取られていたけど、彼の言葉の意味が脳に到達すると共に、私は顔を赤くしたのでした。


 これが彼と私の恋の始まりでした。


この作品を送った海水さまには、「これって序章ですよね。続きは?」と、仰っていただけました。

とても嬉しかったです。

ですが流石に続きを書くには私の連載が多すぎました。

なので、続きはあきらめて貰いました(笑)


でも、これも、あとから失敗したなと思ったのよ。

理由は前と同じで、男性に女性主人公の話は~、です。


なので、これも男性バージョンを追加。


-・-


彼女と別れてそろそろ半年。友人から紹介してやると言われたのは、1週間前。なんでも友人の彼女の友達が、すっごくいい娘だそうだ。


そう言われたけど、私は乗り気じゃなくて断ろうと思っていた。


前の彼女は・・・いや、彼女だなんて云えない相手だった。二股どころか、五股も掛けられていたのだから。それも他の男に散々貢がせて、私との交際の時の資金源にしていたらしい。


言いたくはないが、私は顔良し、性格良し、ついでに家柄もよかった。なので、昔から女達のアピールが凄かった。だけど、打算有りで近寄ってきたのは分かっていたから、いつも適当にあしらっていた。


それなのに、前の彼女の演技は見抜けなかった。


そういうことを友人は知っていたはずなのに。


土曜日、友人が困ったように電話を掛けてきた。なんでも、明日会う(結局会うことは約束させられた)予定だった子の、予定がつかないとかで会わせることが出来なくなったというのだ。そう言われて、俄然興味が沸いてきた。


私は友人の『いい娘』というのは、打算でもって紹介してもらおうと思っている女だと思っていたのだ。


それがどうも違うようだ。友人の声の後ろで、友人の彼女が焦った声で話しているのが聞こえてきた。


『ねえ、その手伝いをやめることって』


『待って。違うの。失言で・・・ああー』


友人が泣きだした彼女を宥めている。聞きだしたことは、彼女が友達の明日の予定を聞き流していたようで、義理に厚い友達を怒らせてしまったそうだ。


その子は最初にたてた予定通りにホームセンターに買い物に行っただろうと言っていた。本当は友人が車を出してその子が買った荷物を運んでやるつもりだったとか。それを明日にすれば私と会わせるついでに、頼りになる人アピールができると、勝手に予定を変更したらしい。


・・・それについては後で文句を言うことにして、今はその子が行きそうなホームセンターの場所を聞きだして、私は車で向かった。


そこはペットショップも併設されているところで、友人の彼女が言うには友達は気持ちを落ち着けるために、熱帯魚を見るだろうと言っていた。


ホームセンターのペットショップコーナー。言われた通りに熱帯魚が展示してあるところに近づいたら、じっと見ている女性がいた。だんだんと顔を近づけてしゃがみこんでいた。


離れたところで見ていたら、ハッと顔をあげて立ち上がった女性は、周りを窺ってから、他の動物がいる方へと移動していった。その様子がかわいく見えた。


ペットショップの中を一周回って、またさっきの位置に戻ってきた。今度はしゃがまずに熱帯魚たちを見ている。そっとそばに近寄って声を掛けた。


「熱帯魚を飼っているんですか」


私は視線は熱帯魚に向けたまま、彼女がどう云う風に答えるのかと、意識を集中した。


「いえ、飼ってはいません」

「じゃあ、これから飼うのかな」

「飼う気はないです」


視線はそのままでさらに問いかけたら、間髪入れずに答えが返ってきた。


「どうして?」

「無責任なことはしたくないからです」


意外な答えに女性の方に顔を向けた。女性は私から視線を逸らすように熱帯魚のことを見た。


「私の仕事って、出張が多いんですよ。一週間の出張は当たり前。場合によってはひと月家に帰れないこともあります。そんな状態じゃ、生き物なんて飼えないでしょう」


魚でもちゃんと生き物だと認識している女性に好感を持った。


「誰かに世話を頼んだらいいんじゃないか。家族とか彼氏とか」

「家族とは離れて暮らしていますし、彼氏なんていませんもの」


口元に笑みを浮かべて言ったら、女性が私の方を向いてくれた。意志の強そうな瞳と、見つめ合う。


「それならこれから飼ったらどうですか」

「だから飼えないって言っているでしょう!」


女性は怒りを込めて私に言ってきた。責任感の強さが伺える言葉。もっと女性のことが知りたいと思った。


「あなたがいない間の世話は私がします」


女性のことを見つめながらそう言ったら、女性はポカンと口を開けた。


「はぁ?」

「責任を持ってお世話させていただきます」

「へっ?」


意味がわからないようで、口を開けっぱなしの様子に、口元に笑みが浮かぶ。これじゃあ、下手な小細工なんて出来ないだろう。私は女性の耳元に囁くように言った。


「あなたに惚れました。その子達を飼うことを込みで、彼氏にどうですか?」


言ってから、ああそうか。私は女性に惚れたのかと納得をした。

女性の頬がほんのりと赤く染まっていくのを見て、これから楽しい日々が遅れそうだと私は思ったのだった。


-・-

さて、いかがでしたか?

前作と違って裏表のような話にはなっていません。

この男性バージョンは、最初に送る話を考えた時の設定を補足的に書いた物になりました。

主人公の友人達がそれぞれに紹介をしようと画策したのに、女性の友人のポカで会わせることが出来なくなった。からの・・・でした。


海水様、続きは書けませんが、これでお許しください。


ありがとうございました。

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