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お祓いはどこですればいいのだろう? ーゆき(修行僧)様へのプレゼントー

 去年はいろいろあった。

 あまりにもいろいろありすぎて友達に「お祓いしてもらった方がいいんじゃないか」と言われるくらいだった。


 最初は笑い飛ばしていた私だけど、秋が終わろうとしている頃には、それもありかと思うようになった。


 だけど、年末が忙しい仕事のため、年内はどうしたって休みを取ることができそうになかった。仕方がないから年明けの一月に行くことに決めた。


 決めたのはいいけど、お祓いなんてどこでやってもらえばいいのだろうか?


 友達に聞いてみたら「そりゃあ、神社かお寺に行けばいいんじゃないの」と返ってきた。


 それはそうかと思ったけど、また疑問が湧いた。そこいら辺の神社やお寺でお祓いって受けられるのだろうか。


 それを友達に言ったら、呆れた視線が返ってきた。


「そこに文明の利器があるだろ」


 と指さしたのはスマホ。


 ……そうだよね。検索してみればいいじゃないか。


 素直に『お祓いをしてくれるところ』と打ち込んで検索をしてみた。


 へえ~。意外とあるんだ。神社かー。一番近いところは……ああ、あそこね。えーと、初穂料? ああ、料金のことか。最低金額が……ほおー。リーズナブルと言えばいいのかな。


 ついでだから、検索ツールで出てきたお祓いの仕方もみてみるか。


 あれ~、何々~。これなら神社に行かなくてもお祓いができるじゃないか。やり方は……ふむふむ。


 ゴン


 いきなり頭に友達のチョップが飛んできた。


「痛いなー、何するんだよ」


 睨みつけたら、逆にギロリと睨み返された。


「真剣に考えてないだろ」

「そ、そんなことない」

「目を逸らしながら言われても、説得力はない」


 ちぇっ、バレテーラ。そんな私に友達は自分のスマホを見せてきた。なんだと覗き込めば、見えた画像に目が点になった。


「滝?」


 友達の顔を見れば頷いている。


「えっ? 真冬に滝行をしろと?」

「そんくらいしないと払えないんじゃないか」


 ムッとしたけど、この一年のあれやこれやは呪われているんじゃないかというレベルなので、文句を言い淀んでしまった。


 そんな私に友達が真剣な目で見つめてきた。


「そんな顔をするなよ。一人で参加するのが不安なら、俺も一緒にいってやるからさ」


 ドキッ


 不覚にもときめいてしまった。こいつとは大学からの腐れ縁で、正直今まで一度もそんないい雰囲気になったことはなかった。


 特別にかっこいいわけではない、こいつ。

 というより、ガタイの良さとあまり表情が変わらないところから、女子からは敬遠され気味だった。私は男兄弟に挟まれて育ったせいか、昔から女の子らしい女子といるより、男子と居る方が気が楽だった。

 男子も気を使わなくていいからか、私のことを友達と認めてくれていた。……というより「恋愛的には無理」といつも言われていたんだけどさ。

 そういう時には「こっちにだって選ぶ権利がある」と返していたわけで……。

 なのに、あの女子が気になるんだとか、女の子はどういうものが好きなんだの相談に乗ってやったりしてさ。私の男友達はほぼカップルが成立してんだよなー。


 そんな私だけど、女子の友達がいないわけではない。特にカップル成立に力を貸した彼女たちは、男友達(つまり彼氏)より私と仲良くなれたことを喜んでくれていたりするし……。


 おっと、つい、慣れない動悸に他の男友達のことを考えてしまったよ。

 まあ、その男友達の中で彼女が居ないのは、もうこいつだけになってしまったしな。


 ……というか、元々はこいつに女っ気がないから、彼女になりそうな子を紹介しようかと、呼び出したんだった。珍しく私の会社の後輩がこいつに興味を示したから。


 それなのに、この一年の不運をお祓いした方がいいなんて言い出すから……。


 そうだよ。本当は不安だったんだ。あまりにいろいろありすぎて、本当に祟られているんじゃないかって、思ったりしたんだ。

 お祓いだって、気休めでも行って気分が変われば、悪いことは起こらなくなるかもしれないとは思ったよ。でも、やはり、一人で行くのは不安だったんだ。


 だから……「一緒にいってやるからさ」という言葉が嬉しかった。


 ゴクリと唾を飲み込んで、それなら一緒に行ってくれと言おうと口を開こうとしたら……。


「はい、はい、そうです。……一月の下旬ですね。……平日もやっているんですか。空いている日ですか……それでしたら二十四日でお願いしていいですか。……わかりました。よろしくお願いいたします」

「ん?」

「というわけで、一月二十四日に決定したからな」

「はあ?」

「滝行は朝の五時半からだっていうから、前日の二十三日に泊まることになるから、そのつもりで支度しろよ」

「はああー?」

「いやー、楽しみだな。滝行って一度体験してみたかったんだよな」


 上機嫌に言うやつ。いつの間にか滝行をやっている神社に電話をして、予約をしてしまっていた。


 私はぶるぶると震えてくる体をこぶしを握って耐えた。


 知っていたよ。知っていたさ。こいつは修行バカだということを。今までだって、お寺に座禅を組みに行ったり、山伏の格好をして山を歩いたりしたって聞いていたよ。


 チックショウ。私のときめきを返せー!


この話はゆき様が修行僧になったことで生まれました。

えーと、この修行僧というのはエムグラム(自分を構成する八つの性格)という性格診断の結果の中に入っていたそうです。私も面白そうなのでやってみたんだよね。……おっと、これは今は関係ないですね。


ということで、なぜか修行僧という言葉が頭から離れずに、気がついたらこのような話になってしまいました。

ゆき様には「私一人で楽しむのは勿体無い!」と言っていただけたので、こちらに掲載させていただきました。


ありがとうございました。

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