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テディベアを追いかけて ー刹那玻璃様へのプレゼントー

「ん?」


 駅に向かう途中。通り過ぎようとした路地に何か気になるものが目に映ったと、足を止めた。

 路地の奥に見えるのはテディベア?


 思わず足を踏み出してそちらへと向かう。歩いて行くとテディベアがフッと角を曲がって見えなくなった。


 私は速足になって角を曲がった。やはりテディベアが道の先に見える。見ているとまた角を曲がっていった。


 今度は小走りで追いかけた。角を曲がると「うわっ!」という声。急に飛び出した私に驚いた顔の男の子がいた。


「ごめんなさい」

「びっくりしただけだから」


 男の子は目を丸くしていたけど、ニコッと笑ってくれた。


「でも、道を曲がる時には気を付けてね」

「あ~、はい」

「ところで急いでいるんじゃないの」


 呑気に立ち止まった私に、男の子がそう言った。私はハッとなり、道の先を見ながら言った。


「そうだ、テディベア~! あっ、いた~」

「テディベア?」

「本当にごめんなさい。失礼します」


 私はもう一度謝ると道の先へと小走りに向かった。

 道を曲がるとテディベアはその先の角を曲がる所だった。慌てて追いかけて角を曲がる。


 そして視界に入ったものに、体の力が抜けた。

 そうだよね。テディベアが一人で歩いているわけないよね。


「ああ、小さい女の子が背負ったリュックタイプのテディベアか」


 聞こえてきた声に振り返るとさっきの男の子がいた。なんか面白そうに私の事を見ている気がする。


「それにしても子供の姿が見えてないって、どんだけぬいぐるみ好きなんだよ」


 そう言われても返す言葉がない。

 ・・・はずなのに言葉が口をついて出ていた。


「ぬいぐるみじゃなくてテディベアなの」


 私の言葉に男の子はもっと面白そうに見てきた。

 ムッとしながらも私は周りを見回してハッとした。


「あれ? ここどこ?」


 テディベアを追いかけて、右、左、右、右、左だったっけ? 

 それとも右、左、左、右、右だったかしら?


 戻る道を考えていたら、隣で「プッハッ」と笑い声がした。


 何を笑っているのだろうと思い、男の子のことを見たら彼が言った。


「あんた、面白いな~」


 そう言って長身の身体を二つに折り曲げるようにして笑っている。ひとしきり笑い終わると男の子が言った。


「どこに行くつもりだったの」

「えーと、駅に行くつもりだったんだけど」

「それならこっち」


 男の子は指さすと共に歩き出した。私はそのまま立ち止まっていたら、振り向いた男の子に言われた。


「来ないの?」


 案内してくるのだと気づき、小走りで後を追う。


「あの~、道順を教えてくれるだけでいいですから」

「俺も駅のほうに用があるからついでだよ」


 そのまま私の前をスタスタと歩いて行く。着いていくのがやっとで息が切れてきたら、それに気がついた男の子が歩調を緩めてくれた。並んだところで男の子が言った。


「あんた、小さいんだな」

「そちらが大きいのだと思います」


 つい、喧嘩腰に言い返してしまいハッとなる。案内してくれようとしている人になんて口の利き方をしたのだろう。男の子は気を悪くした様子もなく、笑い出した。


「確かに180センチはでかいよな」


 そうか、180センチあるんだ。などと内心頷いた。


「ところでさ、大きい男って嫌い?」

「はっ?」

「あんた小っちゃくて可愛いな」

「はぁ~?」

「もし彼氏とかいなかったら、つき合わない」

「ええっ~!」


 これが私と彼との出会いでした。


テディベアが好きで、自分でも製作なさっているときいています。

内容は1作目の小鳩様と似たシチュでした。

でも、人と物と状況が変われば・・・こうなりました。

すっごく楽しく書くことが出来ました。

ありがとうございました。

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