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約束の有効期限? -日下部良介様へのプレゼントー

 待ち合わせの公園でボクは君を待っていた。

 いつもなら駅で待ち合わせるのに、公園だなんて珍しい。


 約束の時間30分前。君は息を切らして公園に駆け込んできた。


「ああ~! なんでいるのよ。今日こそは私が先に待っていようと思ったのに~」


 軽く足を踏み鳴らしている姿は、小さい子供のようだ。それを指摘すると機嫌を損ねることはわかっているから、ボクはニッコリと笑ってこう言った。


「君を待たせることなんて出来るわけないだろう」

「でも、いつも待たせているじゃない。それだから、今日は絶対私が先に待っていられる場所を、待ち合わせ場所にしたのよ。もう、どうしてくれるのよ。計画が狂ったじゃない!」


 君は憤慨して叫んだけど、それはそもそも無理な相談だろう。

 大体いつもボクの最寄り駅での待ち合わせなんだ。君が住んでいるところは少し都会から外れているからね。ボクが住んでいる駅のほうがいろいろな所に行きやすいもの。


 でも、最後に君が言った、『計画が狂った』にはツッコミを入れない方がいいみたい。

 ツッコんだら最後、君の機嫌が悪くなるのは、目に見ているからね。


「ところでさ、どうしてここで待ち合わせをしたの」

「あー、そうだった。あのね、連れて行って欲しいところがあるのよ」

「連れて行って欲しいところ?」

「そう」


 満面の笑顔で言われて、ボクは君に従うしかないようだ。



「本当にここがいいの?」

「ええ、もちろん」


 ついたところはボクのアパートだった。今まで君と会う時に、ボクのアパートに来たことはなかった。君とのつき合いはもう5年になるけど、こんなことは始めてだ。


「えーと、散らかっているんだけど」

「そんなの気にしないわ」


 散らかっているからまた今度作戦は、君には通用しなかった。ボクは諦めて部屋の鍵を開けた。


「どうぞ」

「お邪魔しま~す。・・・な~んだ、これくらいなら普通でしょう」


 部屋に入るとすぐがキッチンで、すぐ横に浴室とトイレの扉がある。一応他に2部屋あるけど、築30年になろうという古びたアパートだ。出来ればこんな部屋に君を連れてきたくはなかった。


「フム、よしよし。じゃあ、あなたはそちらの部屋をもう少し片付けてね。私は台所を借りるわね。あっ、お皿とか適当に使うわよ」


 キッチンから追い出されて散らかっていた雑誌を片付けて。とりあえず少しは居心地よくなった頃、君が声を掛けてきた。


「ねえ、そっちの準備が出来たのなら、これをそちらに運んでくれない」


 キッチンに行くと、料理を手渡された。まずはサラダ。茹でたエビと茹で卵が乗っていた。それから、コーンスープ。とどめに焼き立てのステーキだ。パンはさすがに買ってきたバターロールだったけどね。


「えーと、どうしてこれを」

「いいから、食べましょう。冷めたら美味しくなくなるわ」


 首を捻りながらも「いただきます」と食べだした。



 食べ終わってから、そういえばうちにはナイフとフォークなんてものはなかったと、思い出した。


 君は機嫌よく片付けて、コーヒーと小さなケーキを持って戻ってきた。


「少し遅れちゃったけど、誕生日おめでとう」


 言われてボクは思い出した。数日前に誕生日を迎えていたことを。


「ありがとう。うれしいよ」


 そう云えば誕生日を祝ってもらうのは何年振りだろう。


「それから・・・今まで待たせてごめんなさい」


 君は背筋を伸ばしたと思ったら、頭を下げてこんなことを言ったんだ。


 それは、もしかして。


 ボクは期待に満ちた目を君に向けた。


「そのね、この前の・・・まだ有効かしら。有効なら、春から一緒に・・・」


 視線をあちこちに彷徨わせながら、言う君。


「その、やっとこちらに戻ってこれる目処が立ったのよ。年度変わりまで待ってくれと言われたけど、それ以上は伸ばさないと言質は取ったから、本当に戻れるのよ。その、あなたが私なんかでいいのならなんだけど」


 ボクと視線を合わせずにいう、愛しい君。


 ボクは君の右手を両手で包み込むと、微笑みを浮かべて言ったんだ。


「勿論だよ。ボクには君しかいないんだ。愛しているよ」


 君はボクの言葉に涙を浮かべた目を向けてきた。そしてとても綺麗な笑みを浮かべたんだ。


「私も。愛しています」


 春が待ち遠しいと思いながら、ボクたちは口付けを交わしたのだった。


この方とのつき合いは今年に入ってからです。

なので、私と仲良くしてくださっている方々の中では長い付き合いになります。


私の作品を読んでくださって、活動報告にコメントと作品に感想をくださいました。

そして、コメントをくれた次の日が私の誕生日で、私にssのプレゼントをくださったんですよ~。

もう~、うれしかった~。

・・・( ゜д゜)ハッ!

もしかして、私が皆様にSSを贈ろうと思い至ったのは、良介さんのおかげ?

その後もバレンタイン企画に誘っていただいたり、東京に行った時に私に合わせてくださって、神保町巡りにつき合っていただいたり。

残念なのは、あれだけ東京に通っていたのに、良介さんに会えたのは一度だけ。

もう一度くらいデートをしたかったけど、やはり病院のお見舞いに合わせてだと、私の時間が取れなくて。

でも、機会がありましたら、もう一度。

今度は銀ブラにつき合ってくれるのですよね。それとも人形町辺りにしようかな。


そんな良介さんへのお話なので、最初はリアルに妄想銀ブラデートを書こうかと思ったのです。

ですが、何故かうまく書けない。

やはりヒロインを自分に(おい!)したのが間違いかと、場面設定のやり直し。

自分をヒロインから外したら・・・書けました。

少し他の方とテイストが変わりましたが、これもいいかな?


因みに設定としては、就活で出会った2人。同じ会社に入ったけど、部署は違う。

入社2年目の秋に彼女が移動。少し遠恋してます。今年の彼女の誕生日にプロポーズしているけど、彼女からは答えを保留にされてました。

それから住んでいるアパートは大学の時から変わっていない。

この後の話として、春までの間に二人で住む部屋を探して(実はアパートを引っ越さなかったのはそのための資金をためていた)家具を揃えて・・・です。


楽しく書けました。

ありがとうございました。

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