街路樹は知っていた-13
いい加減、戦闘シーンにもお疲れでしょうね~。
でも、後ちょっとだけお付き合いくださいませ。
ぜんかいのあらすじ~!
一成機、沈黙しました。
おしまい!
ゴボ…
MAI-5000を構成しているスーパーコンピューター群の更に奥、大きな金属製の扉の向こう側で。
その中心に位置するカプセルを満たしている羊水の中で、何かが動いた。
『あ… ぶない… に… げ… …』
◇ ◇ ◇ ◇
「何か言いましたか? 舞衣姉さん!」
俺の頭の中を、言葉が貫いた。
『いいえ、俊樹クン。アタシは何も言ってないわ』
「この先… なにか怪しくないですか?」
俺達は現状における最前線、秋帆達がいる施設前に向けて後退していた。
『いいえ、この先を行けば、秋帆ちゃん達と挟み撃ちにできるはずよ。早く行ってあげないと、きっと…』
『…いいから! 何の援護もできないのでは、いるだけ無駄ですわ! それなら人員救護でもなさっててくださいませ!』
秋帆のヒステリックな声がレシーバーから聞こえてくる。
『ね?』
「確かに。これはヤバイですね」
村川が一成のもとに向かったのは言うまでもない。
「…止めないんですか?」
『さっきからコールサインを出しているのよ。でも出ない。意図的に回線を切ってしまったのか、あるいは…』
「村川さんッ! …どうしたんですか? そっちは危険です、こちらと合流を…!」
『……』
本当だ。全く応答が返ってこない。さっきので気分でも害してしまったのか? それとも…?
『とにかく』
舞衣姉さんは言葉を続けた。
『早く秋帆ちゃん達と合流しなけTれば、大変なことになるわ。あの子の性格だと、無茶をしかねない…』
◇ ◇ ◇ ◇
「なんてしつこいのかしら!」
私はコンソールを弾き、操縦桿を激しく操作する。
敵は2名。このゲデヒトニスを挟むかのように、岩陰から出たり入ったり。まるで遊ばれてるみたいだわ、気に食わない!
「お嬢様、お気持ちが前に出すぎです。冷静に!」
左京が口を挟んでくる
「もとより冷静ですわッ!」
いいえ、熱くなってしまっている。でも、熱くさせているのはコイツらのせいよ!
もともとゲデヒトニスには原型がある。HIHが誇る、作業用多脚ロボットだ。姿勢制御用のユニットを大きく変更し、360度をカバーできるモノ・アイが7つ、搭載されている。それに加えて特徴的な二本の爪。ちょっとしたパイルバンカーよりも強力な、すべてを貫くTeufelskralle(悪魔の爪)。この爪にはセンサーが付けられていて、敵と認識したものを指向するようにできている。
にもかかわらず、だ。敵の行動を追いきれていないのだ。本来ならば明るさの有無は関係ないにも関わらず、敵を追って指向するはずなのに。敵が纏っているステルス布が影響しているのか、それとも?
多脚兵器の長点は、姿勢制御さえちゃんとできていれば最低3本の足でその巨体を制御できるところにある。他の足を振り回すことで、攻撃に転化もできるのだ。そういった長所さえ、連中は軽々とクリアしていると言うの?
「お嬢! 集中を!」
右京が叫んでいる。
「わかっていますわ!」
…よし、今だ!
「ゲデヒトニス、前へ!」
しかし足元が何かに引っかかって、第一歩が踏み出せない。
「ならば…!」
私はもう片方の足を前に出そうとした。
モニターが大きく傾いていく。
ズ… ムン…!
地響きがこのコントロールユニットまで届いた。ゲデヒトニスは転倒したのである。
「…ワイヤー…」
右京が呟いた。
誰もが気付かなった。地面に張り巡らされたワイヤーの存在に。
「敵の一人がゲデヒトニスに取り付きましたわ!」
左京が報告してくる。
「振り落としなさい! このゲデヒトニスは世界一のドローンですのよ!」
しかし、ゲデヒトニスは応えなかった。
「…どうしたの、何が起こっているの?」
コンソールを弄ってみる。操縦桿を激しく動かしてみる。しかし、ゲデヒトニスは完全に沈黙したままだった。
「お嬢様、これは…」
突然、モニターが落ちた。そして、再起動…。
「ゲデヒトニス、一体どうしたというの?」
私はコンソールを叩いた。ログを読み出してみる。
そこには、見たこのもない文字配列が組み込まれていた。
「強制解除! ゲデヒトニス、停止!」
信号を送る。が、返ってきたのはたった一言のログだった。
『Relinquite omnem spem, vos qui intratis....』
これは…!?
「ラテン語ですわ、お嬢様。それも、神曲の…」
「汝、すべての希望を捨てよ…」
はい、という訳で、なんだか更にヤバい雰囲気になってきました。
皆様、既視感を覚えてきませんか?
冒頭のアレ、果たしてあの展開につながってくるのでしょうか?
おっと、そろそろお時間となりました。
それでは皆様、さよなら、さよなら、さよなら~♪




