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街路樹は知っていた-10

ぜんかいのあらすじ~!


RED、なんだか様子がおかしいと思ったら…

おしまいっ!

「…彼らは私達を切り捨てました…」

おいおい、内部で一体何があった? 俺はゆっくりと間合いを取りながら、REDに問いかけた。

「切り捨てたって? そりゃねェだろう。どうしてそう思う?」

「現にこちらへの支援が来ません。援護射撃の一つもあってしかるべきですが、それもない」

「おいおい、アンドロイドが拗ねてたって可愛げがないぜ。そりゃ、援護射撃がなくなるように、だなぁ…」

「あなた、彼らの実力を知りませんね。彼らなら既に展開し終わっています。ここに私がいるのは陽動にしか過ぎません」

陽動… 展開し終わってるだと?

「フ… 今更驚いても遅い。私はあなたと後2体のトルーパーを引きつけておくのが仕事…。」


次の瞬間、俺は叫んでいた。

「聞いたか!? 村川、お嬢! そっちにDOGS本隊が向かってる。早急に対処しろ!」

『村川、了解』

『秋帆、了解ですわ』

「そっちのレーダーには引っかかってないのか?」

『いや、今舞衣さんたちが向かっている方に三人… いや、まさか…』

「もっとよく見てみろ! 連中のこった、何か仕掛けているに違いねぇ!」

『舞衣さんのいる方の熱源は… 3つの内ふたつがデコイだとしたら… 辻褄が合う…』

「どういうこった?」

『さっきからチラチラと動いてる小さな熱源、アンドロイドとも人間の体温とも違うと思っていたんだが…』

「グダグダはいい! 結論を言え!」

『すまねぇ! 完全に見落としてた。左翼方面から2名の人影を感知! 舞衣さん、指示を乞う!』


◇     ◇     ◇     ◇


「すまねぇ! 完全に見落としてた。左翼方面から2名の人影を探知! 舞衣さん、指示を乞う!」

またやっちまった…。 レーダーとスナイプいっぺんにって言ったって、そうそうすぐに出来る訳無いだろうがよ!

『左翼に間違いないのね。まずはその2名が隠れられそうな岩場を破壊しなさい。で、そっちの熱感知レーダーにはどのように映っているの?』

「通常のレーダーでもネズミ大ほどの…。熱源感知だと、時々小さな体温の反応がある」

『…シート状のステルス布を使用しているのかもね。噂は聞いてたけれど、実戦配備になってたとはね…』

俺はEMLのコンデンサ容量を確認した。今なら二発、連続で撃てる。だが砲身は持つのか? 一応砲身は油を回して強制冷却する仕様にはなっているが、既に7発発砲している。次も壊れないとは限らない。


スコープを通して、熱源のあったあたりを探る。照明弾は既に効果を失ってしまい、熱源感知レーダーと赤外線スコープでの監視となっていた。たとえ照明弾を再度打ち出したとしても、おそらく見つけ出せはしまい。なにせ、相手はその道のプロなのだ。俺は神経を尖らせて、スコープの中の標的を探し続けた。


「二番・三番コンデンサ開放、一番に電源を回す! 撃ちますぜ、舞衣さん…!」

パァァ…ン! パァァ…ン!

おそらく狙った岩を破壊しているはずだ。砲身は… 多分無事。冷えたらもう一発は余裕で撃てるだろう。


筈? というのもおかしいが、連射すると、…特に赤外線スコープを使用しての発砲だと… 砲身が発する熱で前が見えなくなるのだ。本末転倒だが、これも戦闘に慣れてないいち工学生の造ったものと諦めて欲しい。果たして…。


レーダーを確認する。突然開けたように、小さな熱源ふたつを見つけた!


「左翼、俺から左10時方向約20… メートル!?』

『村川クン、その機体は戦闘に向いているものじゃないわ。後方へ下がりなさい! 聞こえた? 秋帆ちゃん?』

『聞こえましてよ! 村川さん、そこはもう放棄してください。ここからは私の、私達の全てを賭けて創り上げたドローン・アンドロイドの出番ですわ!』


半ば興奮気味のお嬢様の声が響き渡る。大丈夫かね、ホントに。

Aufwachen(おきなさい)Gedächtnis(ゲデヒトニス)!』

仕方ない、俺も下がるとしよう。下がって、新しい防御線を張り直さなければ…。


◇     ◇     ◇     ◇


多きな六本足が本体であるコア・ブロックを持ち上げる。一見不格好でノロマそうに見えるゲデヒトニスだが、その力は今までの比ではない。そして、攻撃用の爪を二本、大きく広げて威嚇のポーズを取ってみせた。そう、これは蜘蛛のアルゴリズムを利用したアンドロイドである。操作はできるとはいえ、ほぼ完全に独立した状態での攻撃が可能だ。

故に、ゲデヒトニスにはこういう命令を下している。


味方機と識別できないものを敵とみなし攻撃せよ、と。本当、私って天才だわ!


さて。

私は司令室で操縦桿を握っているわけだが、ゲデヒトニスが見ている光景はほぼ360度をカバーしている。何かが少しでも動けば即座に動体レーダーが感知、その対象に対してどうすべきか聞いてくる。それほどにもとってもお利口さんなのだ。


私が今まで辛酸を嘗めてきたのには訳がある。四菱と提携を結んでいるとはいえ、アンドロイドの分野においては何歩も遅れを取っていた。だからこその提携だったのだが、こうもあっさりと提携を裏切られると、かえって清々しいものを感じる。そこまで舐められていたのかと。確かにアンドロイドの分野において私のHIHは四菱の後塵を拝している。


ならば、当HIHの得意分野で四菱をあっと言わせようではないか! 覚悟しなさい!

そうして私が設計して、急拵えとはいえ今ここで配置させてもらっている。


そういう意味において、このゲデヒトニスは今までのHIHと私の実戦データの蓄積から完成した一品である。だからこそ今までの反省も込めて、Gedächtnisゲデヒトニス=記憶という名前をつけたのだ。今度こそは恥ずかしい結果で終わらせてはならない。四菱に遅れを取った分、得意分野で目にものを見せようではないか!


「ゲデヒトニス、移動を開始しますわ!」

第一次防衛戦を突破されてしまった今、私たちは第二次防衛戦を構築しなければならなかった。ゲデヒトニスはその大きな体躯に似合わぬ静かな挙動で移動を開始する。

「まずは、村川機との合流ですわね…。 聞こえまして? 合流地点の座標を送っていただけますかしら?」

『お嬢、すまねぇ。では左翼の… そこからだと10時方向約25mくらいのところにある、岩陰まで来てもらえないか?』

「了解ですわ。で、作戦としてはどういうことを考えていらっしゃるのかしら」

『その場所は天然の武者返しになった、少し高台になっている。おれは援護に回るから、2名のDOGSの相手をしてやってはもらえまいか?』

「勿論ですわ。大怪我をしない程度にもてなして差し上げましょう!」

『なんとも心強いね…、頼りにしているよ』

「任されてくださいまし!」


村川さんから送られてきた各機の位置情報は、以下の通り。


プロテクトアーマーの司馬と強化装甲服の野村・彩花両機はEVE-01J/Rと対峙している。

一方の舞衣・俊樹・一成機は前面のDOGSを足止めしていると言ったところかしら。


「舞衣さん、こちらにもう一機寄こしてはもらえないかしら?」

『…了解、なら一成クンお願いできるかしら? こちらはバッテリーを控えめにしか使ってないから、活躍が期待できるわよ! 一成クン、いい?』

『ボクは大丈夫。なら一旦、ここの戦線から離脱するね!』

ハイ、本格的にDOGSが動きましたね~。

果たして彼らの実力とは?

機甲部隊をもって対峙している俊樹クンたちに勝ち目はあるのでしょうかね~。

怖いですね~、ドキドキしますね~。

おっと、もうお時間がやってまいりました。

それでは皆様、さよなら、さよなら、さよなら~♪

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