街路樹は知っていた-03
ぜんかいのおはなし~!
一成の秘密兵器が炸裂しようとしていました!
おしまいっ!
◇ ◇ ◇ ◇
司馬と一成の間合いは約5m。以前司馬に見せてもらった『箭疾歩』では約3mちょっとの距離を一瞬で詰めた。果たして今は…。
対する一成の強化装甲服は、バッテリーの使用時間こそあれ、有効時間内は無敵を誇ると聞いている。
…チャリン!
鳴るが早いか、仕掛けたのは一成の方だった。
ローラーダッシュで一気に間合いを詰め、止めを刺そうという魂胆だろうか? ところが一成が加速を始めたと同時に司馬が動いた!
箭疾歩…! 一瞬で間合いを詰め、一成の脇へと一撃を喰らわそうとする。が、一成は超信地旋回で献肘を避けると、旋回しながら間合いを外した。
「ふぅ… 危ない危ない、もう少しで一本を取られるところだったよ…」
一成は大きく息をつく。
「避けやがった… なんだ、なかなか大したもんじゃないか…」
司馬は口角を広げ、ニィ… と笑った。
「じゃ、これでどうかな?」
一成は腕の銃口のひとつから数本のワイヤーを射出した! その先には小型の電磁ロッドが仕込まれており、食い込んだが最後、高圧電流が流れる仕様になっている。司馬はそれらを手の甲で弾き、ワイヤーの下をくぐって前転、大地に足をつけると、一気に間合いを詰めた。
「かかったね!?」
一成は手首をくるり、と回すとワイヤーがうねり、司馬に襲いかかる。
パルスショット!
しかし、司馬はくるりと身体を回転させ靴の裏で襲いかかるワイヤーを受け止め、弾いた。そしてそのまま体を崩して、受け身を取る。司馬は呟く。
「…ヤるじゃないの…」
司馬が受け身を取ると同時に一成はワイヤーをパージ、ローラーダッシュで司馬の左側方へと移動する。土煙が上がり、風が一成を嬲る。司馬は一瞬、動きを止めた。
パシュ…!
再びワイヤーが射出された。それも司馬の真後ろから。どうやら司馬は土煙で一成の動きを見失っていたらしい。司馬は慌てて前転、再び足の裏でワイヤーの先端を弾き飛ばすと、草むらへと姿を隠した。
二発目のワイヤーをパージした一成は、ローラーダッシュのスピードを緩め、草むらに向かって勝利宣言する。
「甘いね! この強化装甲には赤外線感知センサーも積んでるんだ。そこにいることはわかっているんだよ!」
一成は最後のワイヤーを射出した! ワイヤーの先端はたしかに熱源を… 貫いた…!?
「甘ェのはそっちだ、一成!」
一成の上方から司馬が襲いかかる!
「お前が捉えたのは、俺のジャケットだ! こンだけ動き回されたおかげで、結構アツくなってただろうが!」
司馬はロッドを強化装甲服の継ぎ目に差し込んだ。そして…
パルスショット!
「ギャ…ッ!?」
短い悲鳴とともに、一成は沈黙した。
勝負は… 司馬に軍配が上がった…!
「それにしても、こンだけ俺を追い詰めるたァな… 見直したぜ、一成」
「…ひどいよぉ… よりによって、継ぎ目に差し込まなくったっていいじゃんかよぉ…」
涙目で訴える一成に、司馬は笑いながら答えた。
「それ位しなきゃならんほど、俺ぁ追い詰められてたんだよ。よくやった!」
そして司馬は全員の方を振り返って言った。
「…見ての通りだ。俺は未だ3mちょっとしか間合いを詰められねェ。だが、結果はこうだ。甘く考えるな、締めてかかれよ! でなけりゃ、今度こそ死人が出ると思え! わかったか?」
「異議なーし!」
「…大したもんだわ、ウチの後輩クン達も」
舞衣姉さんもまた、笑顔でこの光景を見つめていた。
◇ ◇ ◇ ◇
デイジー デイジー ハイと言ってよ…
あの日からずっと流れ続けるメロディ。私は口ずさむことができるほどこの曲を聞いてきた。
しかし、何故だ? 全く目覚める気配がない。俊樹青年が言った通り、血液は凝固することなく今もMAI-5000の体内を巡っている。そして、スキンも私が知っているデパック状態に近い色にまで回復してきている。
にも関わらず、だ。何故起動しない?
私は頭をかきむしった。
「…矢野室長、あまり根を詰めるとお体に毒ですよ」
真由が、一杯のお茶を用意してくれた。
「田中クン、すまない。確かに少し根を詰めすぎていたようだ。ちょっと近くの温泉にでも出かけてくるよ。後でよければ君たちも交代でどうだい?」
「あら、島本くんは定期的にコッソリと通っているみたいですよ? 私だって一応レディですから、定期的に温泉に行かせていただいてます。難しい顔をして休憩ひとつ取っていないのは室長くらいのものです!」
「ハハハ、それもそうか。そりゃいい案も出ないわけだ。…では言葉に甘えて、いってくる」
「ハイ、ゆっくりと浸かってきてください。きっといい案が出ますわ」
ハイ、一成の強化装甲服、かなり使えそうですねぇ。
あの一成クンがですよ? 司馬と同レベルでヤり合えるんですから大したものです。
凄いですね~、ビックリしましたね~。
ではそろそろお時間となりました。
次回もこの場所でお会いしましょう。
さよなら、さよなら、さよなら~♪




