街路樹は知っていた-02
ぜんかいのおはなし~!
なんだか一成クン、色んなアイテムを発明しているようです
おしまいっ!
「くっそぉ… 今度こそ、完璧な戦力に仕上げてみせますわよ!」
私は呟きながら、ドローン・アンドロイドの構想を練っていた。
「お言葉ですが、お嬢様。その言葉遣いには若干の問題があるかと…」
左京は飲みかけの紅茶をテーブルに置くと、静かにこちらにやってくる。
「もう少し、淑女としての嗜みをなされませんと…」
「そりゃ無理ってな話だ。この私だって、奴らの熱さにヤられてこの始末だ」
とは右京の弁。ゆっくりと八卦掌の型をひとつひとつ確認している。その体幹のブレの無さは流石としか言いようがない。なぜなら、この八卦掌ほど高度な体幹を必要とする拳法はないからだ。大きく、時には小さく、右京は型を決めていく。暫くその所作を見守った後、私は再び図面に向かった。
「これまでの数に物を言わせたタイプではお話になりませんわ。一体でマルチタスクをこなせるような、器用なマシンを作りませんと、実戦では全く役に立たないことが実証されたわけですわね…」
「お嬢様、うるさい…。これでは基本動作に集中できません」
「おだまりなさい、右京。大体、あなたの所作だって目についていけませんわ」
「でも、私の仕事はお嬢様の警護ですから…」
「その割には、楽しそうにやってますわよね? あの司馬とかいう男のせいかしら?」
「い、いや… そんなことはない! 誰があんなくだらない男のことなど…」
「その割には嬉しそうな表情をするんですのね、お姉さま? 珍しいおはなしだこと」
再び紅茶に口をつけながら、左京が言った。
「う、うるさい、左京! お前になぞ言われたくない!」
「あら? 案外図星なのではなくて?」
私は更に追い打ちをかけてみる。
「お、お嬢様までお戯れを…。そんなことはありません!」
あら、お顔が真っ赤。これはますます本物ですわね。
「そんなことより、お嬢様はいかがなんですか? あの古川という男の事は…」
右京が反撃を開始した。
「た、単に興味を持っているだけのことですのよ。それに、似ているんですの。昔に出会った憧れのお兄様のこと…」
「ああ、あの話ですわね。そのことについて、大切なお話が…」
左京がタブレットパソコンを開きながら、私に調査書を見せてくる。
「…間違いありません。彼はあの時の少年です。お嬢様の、初恋の少年に違わないでしょう」
「初恋!… 初恋!??? いえ、そそそそんな… こと、ありませんの事よっ!?」
「…動揺してる…」
「おだまりなさい、右京! あなただって、あなただって…!?」
「それはお嬢様だって同じこと…!!! お嬢様だって、お嬢様だって…!?」
「はいはい、不毛な言い合いはお止めになったほうがよろしくてよ。双方、共倒れで」
大きなため息を吐きながら、左京が間に入った。
「と、とにかく、ですわ」
私はお話を元に戻そうとした。
「我がHIH製のアンドロイドのパワーアップは喫緊の課題ですの。本格的に介入しますわよ…」
◇ ◇ ◇ ◇
「あsQうzdファエhらrlrっぁxv…!?」
ドップラー効果を起こした悲鳴が、周辺に響き渡る。やがて、再び壁に激突する大きな音が聞こえてきた。
「また司馬さんか…」
ブーツユニットを装着してスイスイと乗りこなしながら、村川。
「全く、本番ではこれに強化装甲を身に着けるんだぜ。大丈夫かよ?」
「意外と乗り物には弱いんだな~」
とは一成の言。なんだか得意げだ。
ハハハ… と笑いが起こった。
「で、その強化装甲って一体どんなもんなんです?」
俺は試作中だというそれについて、一成に質問をぶつけてみた。
「ああ、俊樹クン。実はね、ほら、前回村川さんが撃ってたEMLってさ。充填に時間がかかるし、あの重いバッテリーを複数持ってないといけないんだよね。強度にも若干の問題を残してるし、それならいっそ新しく作り直そうと思ったのさ」
「で、その結果として…?」
「…重くなっちゃった。てへ♪」
いや一成、全然可愛くないから。
「で、その本物がこれさ!」
一成はバモスのトランクを開けると、一着分の強化装甲服を取り出した。
「これさ、一着30kgほどあるんだよね。だから、補助動力を入れてあるんだよ」
「補助動力?」
「そ、補助動力。発想は介護の現場で使われてる、補助動力装置さ。50㎏くらいまでは支えられるし、軽々動かせるよ」
一見すると、大きな中世の鎧を思わせるフォルム。胴体は前面が尖っており、そこから脇にかけてなだらかな球面で仕上げられている。肩パッドにはそれぞれ左右に赤と青のランプが取り付けられ、暗闇でも前後がわかるようになっていた。また腕や足には保護パッドが取り付けられており、正面に対しては万全の防御が整っているように見えた。
「これはね、俊樹クン。ヘルメットとブーツユニットをあわせて、初めて一体になるんだ。でなければ、ただの的になるだけ、だからね」
「ああ、止めだ止めだ! こんなのに頼ってちゃ、かえって動けなくなる!」
とうとう司馬が音を上げてしまったようだ。無理もない、今の一度もこのブーツユニットすらマトモに乗りこなせなかったのだから。
「でも、何も身につけてないと危ないよ…?」
一成が声をかける。が、司馬は頑として聞き入れようとしない。
「俺は防護チョッキだけで十分! それとプロテクターな!」
「本当に大丈夫? ボクの発明は完璧だよ?」
「ああ、なんならいっちょ、ヤッてみるかい?」
司馬は一成に言い放った。これは模擬戦としても面白いかもしれない。
「ようし、じゃ、ボクが相手だよ!」
一成が受けて立った! 模擬戦は成立した!
◇ ◇ ◇ ◇
「では武器は電磁ロッド対人モードで最低に設定。それでいいな?」
村川が審判をかって出た。
「いいよ。…今までボクは活躍できなかったけど、今度こそは…」
「…その奢りこそが、勝敗に繋がると知れ!」
村川が宣誓する
「では、ここに模擬試合を開始する! お互いに事故のないよう、努めて安全にも気を配って欲しい。以上だ!」
村川の指に、コインがセットされた。
「このコインが地に落ちた瞬間が、試合開始だ。…双方、いいな」
「勿論!」
「…ああ」
ピン…!
コインは弾かれた。
キラキラと光沢を放ちながら、そのコインは弧を描いて地面へと落ちていく…。
ハイ、なんだか富野研のメンバーの狂気がにじみ出てきましたね~W
そう言えば、秋帆お嬢様は意外でした。
右京もまさかの…♡
いや~、どれからどうなっていくんでしょうね~。
それではそろそろお時間です。
また次回にお愛しましょう。
さよなら、さよなら、さよなら~♪




