街路樹は知っていた-01
ハイ、新章です。
ではでは、ぜんかいのおはなし~!
俊樹クンはメイにその血を分けたのでした!
おしまい♪
「随分と情けない顛末だったな」
押井譲は吐き捨てるように言った。
「…面目次第もありません…」
俺はあの時の恐怖が頭に、強烈に残っている。その一言以外に絞り出すことができなかった。
「杉本よ。貴様を何のためにあの現場へと寄越したか、覚えているか?」
「…はい。もともとMAI-5000のスペックを見極めるという…」
「だな。では… まず自分の失態より、そこの部分をまず報告すべきではないのかね?」
「…そうでした。プログラム『却来華』を発動させたMAI-5000は鬼神そのものでした。押井先生、あなたは彼奴の腕から発するレーザーブレードについて、ご存知だったのではないのですか?」
「それはどういう意味かね?」
押井は煙草の煙をくゆらせながら、こちらに視線を向ける。
「い、いえ。…なんでも…」
「アレにレーザーブレードとやらをつけたのは、おそらく宮崎だよ。私は知らん。正確には、レーザーブレードとして作ったものではない。…おそらく、手のひらに集めたピンポイントバリアを応用したのだろう」
「ピンポイントバリア…?」
「知らないかね? 全身をバリアで守るには消費するエナジーが馬鹿にならん。で、だ。反応速度を早くして、掌のみに高出力のレーザーを収束させて、外的攻撃から身を守る… そういう防御専門の機構だよ。ハハハ、実によく応用したものだ。あの堅物の宮崎らしい…」
「では、あの青い光は…。アレはEVE-01J-Yのニードルを弾き、RやBの物理的攻撃も弾きました」
「ふむ…」
押井は再び窓の外に目をやった。
「面白い現象だね。そこが富野の構築したプログラムのキモなのだろう」
押井は大きくタバコを吸い込むと、その口から紫色の煙を吐き出した。
「予算はいくらでもある。EVE-01J-R/B/Yの3体を改修し、再びZE-AAMYと『却来華』のデータ収集に当たれ」
「…御意」
玄田哲也の三本の矢。中でも狂犬と呼ばれたこの男の素性は計り知れない。一体何を考えているのだろう? 俺にもう少し考える頭があれば、小原のように上手く立ち回れたかもしれぬ。所詮、押井にとって俺は都合のいいコマにすぎないのだ。
俺は自分の部屋に戻ると、汗でびっしょりになったスーツを脱いだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「これは、こう… 体重移動を利用してだね…」
一成が新しいアイテムを開発した。膝から下に装着して使う、一種の加速装置である。
一見、大きなローラースケートを思わせる外観。しかし、しっかりと地面をつかみ高速回転する歯車状のローラーが異様に大きく目立っている。
「こう… こうか?」
司馬が試しに装着して、思い切り腰を落とし前傾姿勢を取る!
「あsQうzdファエhらrlrっぁxv…!?」
ドップラー効果を起こした悲鳴が、周辺に響き渡る。やがて、壁に激突する大きな音が聞こえてきた。
「あっちゃ~…、こりゃ… まだまだ改善の余地があるんじゃねぇか?」
村川が頭に手をやりながら、一言。
「そんなことはないよ! ほら、この通りボクにだって乗りこなせるんだからさ!」
キュイィィィン… という軽い音とともに、見事に乗りこなす一成。
「でもコレはなかなか面白いですよ? あのアンドロイドとの戦闘にも上手く使えば、互角以上の戦いが期待できそうだ」
装着してなんとか乗りこなせた俺は、素直な感想を述べた。ちゃんと超信地旋回も可能なのである。使いようによっては、イロイロと応用も効きそうだ。
「ローラーダッシュ・ブーツユニットとでも名付けようか。脱着ももう少し簡単にできるように工夫してみるよ」
一成は実に得意げである。
メイに俺の血を提供してから3日がたった。しかし、未だ目を覚まさない。
で、だ。
前回の戦闘データを分析しつつ、戦力強化を図っているというわけだ。
もう二度とメイを暴走させたりしない。ここにいる全員が同じ思いだった。
「いやぁ、俺にゃ無理だよコレ…」
司馬がボロボロになって帰ってきた。
「やっぱ技を繰り出すにゃ、しっかりと大地に足をつけてないとだな…」
「そりゃ、司馬さんほどの使い手だから通用する話だぜ」
野村が恐る恐るブーツユニットを稼働させながら言った。
「俺に足りないのは長いリーチでの間合いのツメだ。もともと屋外ってぇのはアウェーなんだよなぁ」
「後は、目を慣らさないとね」
既にマスターしてしまった舞衣姉さんが問題提起する。
「これだけ挙動が早いと、目と頭が追いつかなくなる瞬間があるわよ? そこんとこはどうするの?」
「そういうこともあろうかと、こういう物を用意してみた!」
一成はフルフェイスのヘルメットを用意していた。
「網膜走査型レーザーアイシステム付きヘルメット! コレ、ちゃんと障害物に反応してデータを網膜に映してくれるからね。ちゃんと挙動にフィードバックして、操作を楽にしてくれるよ」
「どれどれ…」
再び司馬がヘルメットを装着して、ブーツユニットを装着した。
「ほほう…コレは解りやすいなぁ! これなら俺でも操作できそうだ!」
そして、思い切り腰を落として前傾姿勢を取る!
「あsQうzdファエhらrlrっぁxv…!?」
ドップラー効果を起こした悲鳴が、周辺に響き渡る。やがて、再び壁に激突する大きな音が聞こえてきたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「フフフ…、なかなか面白いものを作るじゃないか」
俺はコーヒーを啜りながら、EVE-00にログを送った。
『---ハイ、彼らの独創性には目を瞠るものがあります。富野教授が彼らを集めたのも、おそらくは---』
「うん、偶然ではないだろうね。それにしても、彼らのバイタリティには脱帽するよ」
『---ハイ、全くそのとおりですね---』
「…で、MAI-5000は未だ沈黙を守っていると言ったところか? 姉妹機であるキミにも、何も感じるところはないのかい?」
『---ハイ、何度も共鳴波を送っているのですが、何も反応はありません---』
「そうか。…打てる手は打っているはずだ。いずれ何らかの反応はあるだろう。それを見逃すな。…いいね?」
『---了解しました、マスター---』
◇ ◇ ◇ ◇
ハイ、なんだか楽しそうな富野研でしたね~。
それにしても、イロイロと思惑が飛び交ってもいるようですね?
小原一馬とEVE-00、一体どこから俊樹たちを見ているのでしょうか。
不思議ですね~、怖いですね~!!
それではお時間がまいりました。
どうぞ次回をお楽しみに、さよなら、さよなら、さよなら~♪




