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あの日のままで-07

ぜんかいのおはなし~!


助教授の言葉に従い、俊樹は両親の墓参りをするのでした。

おしまいっ!

◇     ◇     ◇     ◇


俺達が墓参りを済ませて、駐車場へ戻ったときのことである。俺達のバイク以外に車両はなく、その割には人の数だけが目立っていた。俺はどこか違和感を感じていた。それぞれ動いているのにその動きは人間のそれではなく、人の気配がないのである。

「しまった…」

俺たちは既に囲まれていることに気付いた。人数は、10体ほど…。少し、分が悪い。俺は沙耶とメイを後ろに下がらせるよう促すと、そっと電磁ロッドに手をかけた。


「何やってんのよ。こういうときのために、あたしだって動いてたんだからね」

「沙耶! お前、何を言ってるんだ…?」

「へへへ~、先日一成さんに頼んで作ってもらっちゃったのよね~」

そう言ってバッグから三本の棒状の部品を取り出し、それぞれを組み立てて一本のロッドにした。そして。ブンと振り回す。そのロッドは沙耶の背丈ほどにまで伸び、その先端が電磁ロッドとなっているようだ。

「お前、それ…」

「ちょっぴり重いけど、あたしだって薙刀の有段者よ。お忘れかしら?」

「怪我しても知らんぞ!」

「もとより承知よ! あたしは俊樹の力になりたいのッ!」

電磁薙刀を大きくブン…と振り回すと、沙耶が下段の構えを取る。

「無理…すんなよ」

「了解!」


「マスター、私も一通りの武術は使えます。お手を患わせることはありません」

「そこだけはちゃんと申告できるのな!?」

「ただし、なぜかは禁則事項です!」


その人物群がこちらに顔だけを向けた。帽子などで表情まではわからない。しかし、それは以前ライオン通りで見た、それに酷似していた。そして奥の建物からメタルボディのアンドロイドが出てきた。そのアンドロイドはうやうやしく頭を下げると、はっきりとした人間の言葉でこう言った。

「あなた方とははじめて、ですね。私はEVE-00…。そこにいるアンドロイド奪取の命を受けて、ここに参じました」

「ふ… ん、お前が舞衣姉さんを手こずらせたっていう…」

「はい。あの時は不覚を取りましたが、今度は更に多くのサンプルをインプットしております。悪いことは言いません、彼女を速やかに引き渡しなさい。さもなくば…」

「さもなくば…? もれなく何かのオマケがついてくるってか?」

「怪我くらいですませてあげましょう」

「舐めたものね、ただじゃすませないんだから!」

「交渉は決裂、ですね」

「もとより!」


EVE-00は右手を高く掲げた。周囲の人物群が立ち上がり、こちらの方を向いた。


…こいつら全て、アンドロイドだ…。

ならば遠慮はいらない。思い切りヤるだけだ。

俺は電磁ロッドの出力を上げ、ブン… と振って最大にまで伸ばした。


EVE-00の腕が振られた!


◇     ◇     ◇     ◇


「え、お母さん、今なんて…」

アタシは自分の耳を疑った。

「ええ、なんでも古川さん、今日三人でお墓参りですって。よくできた息子さんよねぇ」

「どうして行かせたの、たった三人だけで!?」

「え、だって、ただのお墓参りでしょ? お盆だし、当たり前じゃないの」

ヤバい。一昔ならともかく、最近では墓地公園までノコノコやってくるヒトはいない。殆どが近所や自宅のネット参りですませている時代なのだ。万が一のことがあると厄介なことになる。アタシはすぐにDucatiに飛び乗った。

ここから庵治の墓地までバイクで飛ばして、25分…30分以内ってところか。とにかく急ごう。

「頼むから、早まるんじゃないわよ…」

アタシは可能な限りアクセルを吹かして、庵治へと向かったのだった。


◇     ◇     ◇     ◇


はぁ、はぁ、はぁ、…

息を整えるのがやっとだ。

倒したアンドロイドは全部で8体。俺が3体、メイが4体、沙耶が1体という内訳だ。舞衣姉さんから教わったことは伊達ではなかった。毎日の鍛錬がちゃんと機能していた。後は、スタミナ、か。

俺は電磁ロッドを構え直した。


「なかなかやりますね。では今度は私がお相手しましょう」

EVE-00は聞いていた通り流暢な日本語で前に出てきた。

「マスター、ここは私が」

メイが俺を背に立ちはだかる。

「…おいおい、俺だって男のメンツが立たないんだがな…」

「いいえ、マスターはできることをしっかりとやっていただきました。今度は私の番です」

「そうか、…わかった。じゃ、後の2体は任せろ」

「お願いします、マスター!」


「沙耶、大丈夫か?」

沙耶は随分と消耗している。無理もない、試合ではなく、はじめての実戦だからな。横目で見ててもかなり危なっかしかった。

「え…ええ、大丈夫。…思った以上に… 大変… なのね」

肩で息をしながら、それでも闘志を残している。本当に大したもんだ。

「一人一体! 俺が先に倒したら援護に回るから、2対1だ。それまでなんとか踏ん張れ!」

「何いってんの、あたしが先に倒して高みの見物を決め込むんだからね!」

「その意気だ!」


俺は目の前の一体と対峙していた。無秩序な攻撃をかわすと、懐に入り込む。そのまま脇腹にロッドを…

ヒュン!

ありえない方向から拳が飛んできた。こいつらは人間の可動域を遥かに無視した構造になっている。それ故に苦戦しているわけだが、以前司馬たちが叫んでいた言葉が今になって参考になっていた。


…動きに誤差を生じている。

つまり、俺の得意とする先手を取るという手が有効なのだ。

俺はロッドでその拳を受け流すと、肩からの体当たりを決行する。決まった!そのアンドロイドは数歩後ずさると、改めて間合いを取ろうとする。その隙を俺は逃さなかった。ロッドを左手に持ち替えると、腰だめに構えアンドロイドの脇へと突き刺し、ロッドの引き金を引いた!


パルスショット!


火花を吹きながらアンドロイドはしばらく痙攣した後、沈黙した。次は沙耶の方に向かう。


沙耶は苦戦していた。もともとロッドの非接触部分を対象に突き刺さないと電磁パルスは流せない構造になっている。そう、外装に電磁パルスを流すだけでは効果がないのだ。


「沙耶!」


沙耶は頭上で電磁薙刀を回し、構えた。そして、俺と沙耶との前後から、アンドロイドの急所へとロッドを突き刺す!


パルスショット!


最後のアンドロイドもまた、火花とともに痙攣を起こして沈黙。後はメイの方だが…


「…メイ?」

おれは目を疑った。マーシャル・アーツというのだろうか、EVE-00と互角の戦いを繰り広げている。俺は袂に忍ばせてある幾つかのアイテムを手にした。しかし、今はむしろ俺達が入ると邪魔になりそうだった。


突然、俺達の目前に真っ赤なDucatiが割り込んできた。彼女はヘルメットを脱ぎ捨てると、メイの方へ駆け出した。

「メイちゃん! ダメ・‥…!」

「舞衣… 姉さん!?」


「…余計なヒトが入ってきたみたいですね。ここは一旦引きます。またいずれ…」

EVE-00はそう言い残すと、高く後方へとジャンプした。その小さな建物の裏へと姿を消すと、俺達も続いて裏へ回る。だが、そこにEVE-00の痕跡は全く見られなかった。


◇     ◇     ◇     ◇


警察がきていた。舞衣姉さんが速やかに手配していたのだった。

壊れたアンドロイドに企業名やシリアル番号は付けられていなかった。無印だった。どこからでも手に入る一般的な企業製の部品が使われた、戦闘用アンドロイドだったのである。どうやら外的要因で破壊され・行動不可能になった時点で記憶媒体内のログが全て抹消されるという仕様だった。


だが、俺達は知っている。おおよその見当はついている。

小原一馬の手によるものだということを。

という訳で、仕掛けてきましたね~。

もう少し、メイとEVE-00とのやり取りを書きたかったところですが、あくまで俊樹目線ですのでご容赦を。

この章、予定通りなら次回で完結です。普段の生活を描いたほのぼの回、いかがでしたでしょうか?

それではお時間ですね、さよなら、さよなら、さよなら~♪

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