◇フィース① 水風・派生/氷
「じゃあ氷魔法使いたいな!」
これさえあれば雪を降らせたり暑い夏は冷やしたり、美味しいカキ氷を食べられる。
「氷は水を風で冷やせばできるよ」
「やだなあ、それくらいわかってるって!」
わかっててもできないので、どうするか考える。
「この古い魔法書は字が難しくて読めないしなあ……」
「もう身近な先生に聞けばいいんじゃないかな?」
「そうだね!」
身近と言われフィース先生が浮かんだ。
彼は火属性が得意なんだけど、教師だから風や水もできるだろう。
「フィース先生!」
「どうしました?」
先生は持っていた小さな四方形の紙を懐にしまってこちらをむく。
もしかして許嫁からの手紙を読むところだったのだろうか?
「えっと先生に風と水の魔法を教わりたくて……」
「風は教えて差し上げられますが、水は専門外なので……」
火を増幅させる風はともかく水は駄目だったようだ。
「ああそうだ。街の外れに魔導師の兄弟ビヌガーさんとバルサミスクさんが引っ越して来たそうなので、彼等をたずねてみてはどうでしょう」
「水が得意なんですか?」
先生が言うなら今すぐにでも行こう。
「いえ名前を裏切らず酸魔法だそうですが、液体で水と似ていますから」
多分ヴィサナス星人なんだろう。
「わかりました今からいってきます」
「まってください。女性が見知らぬ男性の家に一人でいくのはいけません」
ラービュラがいるので一人でいくわけではない。
「使い魔はいますよ?」
「使い魔は魔法使いにまず勝てないのでノーカンです」
ラービュラはショックを受け涙目だ。
「じゃあ……」
「言い出したのは私ですから、一緒に行きますよ」
忙しいフィース先生には頼めないと遠慮したが、彼は控えめに見えて一度こうと決めたら引かないタイプだ。
「じゃあよろしくお願いします」