ラムネ
ちりちりと灼ける胸
痛み止めには青空は効かなくて
奥歯でかみ砕くラムネ菓子
開けた窓から流れ込む
清涼な風に弾けそうになる午後
早々に夏は美しく
薫りたつ若緑
私をどこまでも青く潤わせて
かみ砕けば散っていく
打ち寄せる白波の飛沫
淡く消えていく
いつかこの胸の痛みも
高くのぼる雲となって
そんなものを
ひとつ
ふたつと
飲み込んで
手探りで泳いでる午後
爪先に宿した泡波
打ち寄せれば
そこから海になって
あふれていく想いも
いつか辿り着く砂浜
空色の貝殻となって
眩しさの中で
かみ砕けば
ひとつ
ふたつと
散らばらせ
私の
喜びと
かなしみ
なにひとつ
並ばせないように