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補欠勇者  作者: 吉良 善
6 白の都で
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発端

ヴィルレーで、奇妙な事件が起こり始めていた。


夜の街を巡回する兵士が変死する事案が


相次いで三件発生したのである。


今のところ場所は王城のある街の北側エリアに限られているが、


一件目の翌日に二件目があったと思えば


三件目はその三日後であったり、


時間帯も午前一時、二時、四時とばらつきがあった。


キラリトは最初の事件の際に調査を部下である


ベテルネル・ネザロに命じ、現在その報告を受けていた。


「これまでに発生した三件の現場には、いずれも


 下手人の痕跡は一切残っておりませんでした。


 深夜ということもあってか目撃情報もこれまでのところありません」


自身のデスクに両肘を突き、顎の下で両手を組んで聞いていたキラリトは


なるほど、とうなずいて正面に立つネザロの顔に目を向けた。


二人は同年代である。


地位はキラリトの方が圧倒的に高いわけだが、


彼女の実力を知るネザロは一度として不満に思ったことはない。


「手がかりなし、ということですね」


「申し訳ありません」


「いえ、責めているわけではありませんよ。


 単独犯か同一犯かもわかりませんが、


 今回の相手は手強いということでしょう」


これほど重大な事件が続いていて、手がかりになる物を残していない。


並の相手ではないことは確かであろう。


ネザロは、同意した。


「巡回隊は全て五人一組です。


 それが三件全てで皆倒されている…


 不意打ちを受けたのだとしても、


 一人として逃れられなかったというのは妙です。


 傷は刃物によるもの、魔法を使われた様子はありません。


 だとすればよほどの多勢だったのかとも思えますが、


 そうなるといかに深い時間帯といえども


 目撃者が皆無というのはこれもまた妙なのではないかと」


「そうですね。


 これ以上続けば民たちの不安がさらに高まります、


 少し無理をさせますが巡回隊は七人一組にしてください。


 騎士団からも三人ずつ加わらせます、


 全滅を防がないことには情報を得ることも


 治安維持という本来の目的も果たせませんからね。


 調査は引き続き行ってください」


「承知致しました。


 今のところ北側のみで発生しておりますが、


 いかが致しましょうか」


「他のエリアを手薄にしてはいけません、


 それが犯人の狙いかもしれませんからね。


 その代わり、北の巡回には私も出ましょう」


「団長殿自らですか!?」


思わず、ネザロは驚きの声を上げる。


というのも、キラリトには極めて重要な任務があるからだ。


ファンフランは、魔物どもの支配下となったアスティアからの


侵入せんという動きが最も多い国であり、


その軍のトップに立つキラリトが担う最大の使命は、


アスティアの魔王の戦力が侵攻して来た時に


食い止めることなのである。


平時は国全体の防衛のため王都にあり、


魔王軍が攻めて来れば最前線で撃退にあたる。


必要ならば他国の援軍が到着するまで敵を足止めする。


キラリトは、四騎士の中でその任務に最も適した人物とされていた。


「兵の犠牲は痛ましいことですが、皆覚悟の上。


 住民の皆さんに被害が出ないよう、我々は尽力しなければなりません」


王都を守るため、キラリトは決断した。


しかしまさにその日、大事件は起こる。


それは、ヴィルレーの大半を巻き込むことになった。


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