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補欠勇者  作者: 吉良 善
2 仲間がほしい
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初めに求めるもの

準備のためフィラミラは帰宅し、


翌朝スターヒルの前で落ち合うことにした。


朝もやの中三人が宿の入口の脇に立っていると、


「いらしたようですな」


ずば抜けた長身のムトーが言った。


ほどなくして確かに華奢な人影が現れたが、


ゾルカは眉をひそめた。


「あれは違う人だろ。


 何か大きい物背負ってるもん。ムトーのハンマーみたいなの」


しかし、フィラミラは容姿も立ち居振る舞いも


華があり目立つ存在。


すぐに、人影がまぎれもなく彼女であることが判明した。


「お待たせ~」


「…やあ、おはよう。


 早速だけど、その大きい物何?必要?」


「必要でしょ、武器は。


 戦うこともあるんだから」


「…武器って…君は魔導士なんだからそんな大振りな物…」


見せたほうが早いと思ったのか、フィラミラは


背負っていた長い荷物を下ろしカバーを外した。


中から現れたのは…


「…斧?斧だよね、これ」


「名付けてアックスロッド!」


「ロッド部分ほとんどないよ…


 先っぽに付いてるここのことでしょ?


 九割九分斧だよ」


外見はほぼ斧で、斧頭の上に伸びる柄の先端に申し訳程度に


ロッドに見えなくもない装飾がある。


「これ、見た目ほど重くないんだよ。


 お父さんが工夫して軽量化してくれたから」


軽くするにしても限度があるだろうと思ったが、黙っておいた。


「…何でうちのパーティーは魔法を使える人が戦士寄りなんだ…」


「魔導士も強い武器を使えた方がいいってお父さんが言うから…


 まあ、わたしは魔導士じゃないんだけど」


「ナニ?」


フィラミラが耳を疑うような発言をした。


これは聞き捨てならない。


「お前さん、正式に魔導士になっていなかったのか?」


腕組みをしていたジュナイルは、思わずその腕をほどいて尋ねた。


当のフィラミラはというと、毛の先ほども気にした様子がない。


「うん」


「エルトフィア一の名門校を卒業したのにか?」


「うん」


「なぜ?」


「卒業した後の魔導士認定試験でやり過ぎて


 先生に怒られちゃった、あははは」


「あははじゃないだろう…」


「まあまあ、その肩書きを名乗れないってだけだから。


 わたしのことは、え~と、魔導使いフィラミラって呼んで」


「…そうだな、首席で卒業できる実力はあるんだから


 良しとしよう。やり過ぎたというのは気になるが」


変人ばかりではあるが予定していた人数は集まった。


いよいよ、彼らの旅が始まる。





「よし、それじゃあアスティアへ出発しよう!」


「おい、待て」


はりきって宣言したゾルカに、ジュナイルは間髪入れず言った。


「お前、何?


 いきなり魔王の所に行く気か?」


「だって、早く大手柄立てたいし…」


「隣の学校に殴り込むんじゃないんだぞ。


 お前は今の段階でどの程度の力があるんだ。


 ただのガキが鉄の剣で倒せるなら誰も苦労しないだろ」


「…これ、ウチに代々伝わるレビブレイドなんだけど…」


「とにかく、今のオレたちでは無理だ。


 幸い各国が協力して軍を派遣し侵攻はくい止められている、


 その間に魔王を倒す力を手に入れるんだ。


 オレたち自身の成長はもちろん、あるいは強力な武器や魔法」


「俺はレビブレ…」


「それはただの鉄の剣だ」


「…」


「ゾルカ君、実は私、美術品や骨董品が好きで


 少々目利きの真似事などもするのですが…」


納得していない様子のゾルカに、なだめるようにムトーが声をかける。


武張った外見に似合わぬ、そんな渋い趣味があったとはと皆やや驚いた。


「ほぼ間違いなく、それはただの鉄の剣です」


「…」


「いや、お父上がその剣に思い入れがあって名付けたのであれば


 確かにそれはレビブレイドと呼ぶべき物なのでしょう。


 ただし、この先戦いに用いるのなら特別な力のある物なのだと


 盲信するのは危険です。


 敵を斬らんとした時に折れたと考えてごらんなさい、


 次の瞬間に骸になっているのはあなたの方でしょう。


 達人は武器を選ばないとも言いますが、達人であっても


 敵が強力ならば並の武器では倒すことはできないのです」


「…」


「わたし、武器のことは全然わからないんだけど、


 多分それはただの鉄の…」


「それ以上言わなくていいよフィラミラちゃん!


 大体何で全然わからないのに言おうとするんだ!


 もうわかった、じゃあまず探すのは強い剣!


 みんないいよね!」


半ばヤケクソ気味に言うゾルカに、ジュナイルとムトーがうなずく。


だが、漠然と強い剣とは言っても店に置いてあるような物では


いくら高価な品でも不足だろう。


かといって、特別な力を持つ武器を探し出すのは至難の業だ。


それでも、当面の目的が定まったのは良い。


とにかく、動き出すことが重要だ。


「わたしは強い魔法を探したいなあ。


 しばらく別行動していい?」


「まだ出発すらしていないのにしばらくも何もあるもんか!


 ついでに魔法も探すから!」


神秘の力を持つ武具の伝説は各地に残っている。


その内のいくつが真実で、いくつが現存しているのか。


一行はフィラミラの卒業生という立場を使い


シャンデラ魔導学院の図書館で情報を集めた。



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