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補欠勇者  作者: 吉良 善
2 仲間がほしい
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急な夢と、急な旅立ち

だから、翌日デスゾルカはこんなことを母に言い出す。


「母さーん、俺シャンデラに行こうと思うんだけど」


「シャンデラ?」


ジェストールの王都であり、エルトフィア最大の都市である。


息子がそこへ行く理由に全く心当たりがないので、


ミムナはきょとんとした。


「うん、騎士になろうと思って」


「あら、勇者はいいの?」


「この前テレビで赤の騎士団特集をやってたんだけど、


 それがまあかっこいいの何の!


 せっかくジェストールに住んでるんだから、目指してみないと」


この国のシンボルカラーは赤なので、騎士団も同様に


『赤の騎士団』とされている。


選りすぐりの人材が集まる精鋭部隊で、国内外問わず憧れる者が多い。


しかも、その長は四大国の盟主の騎士団長だけあって


大陸で最も強い人物の一人と言われていた。


「『赤騎士』エデン・リリーシア!エルトフィアナイツでも最強のカードだし」


子供から大人にまで大人気の、実在の人物を題材にしたカードゲーム


『エルトフィアナイツ』においても、赤騎士は最強の一角なのである。


無論、補欠勇者はカード化されていないしその予定もない。






「騎士様も命がけの大変なお仕事なのよ。


 この村で働いていけばいいんじゃない?」


ミムナは、はりきる息子に諭すようにやんわりと言った。


夫のリグルスは力量が不足しているためさほど危険な仕事はしていないが、


各地を飛び回って家を空けることも多い。


息子には、家族から離れることなく腰を据えて生きてほしいと思うことはある。


が、


「本当はここにいて母さんやエリエルを守らなきゃいけないんだろうけど、


 六年たっても父さんがどうなったかわからないなら


 待っているだけじゃ駄目なんだ。


 俺は、父さんもキリクもラァズも見つけたいんだ」


ミムナは本人の意思を尊重するつもりでいる。


彼の人生を自分の望みどおりにしても、彼の幸福にはつながらない。


人の一生は、自身で道を選び歩んでこそ意味がある。


「あなたが本気で考えて決めたことなら反対はしないわ。


 途中で変えることになってもね。


 でも、その時にも本気で考えるようにね。


 そうすれば、後悔することはないはずだから」


「大丈夫!俺はいつだって本気の男さ」


思い立ったら即行動。


デスゾルカは今日を準備に費やして、次の日にはシャンデラへと出発する。


「お土産買って来てね、お兄ちゃん」


「だから昨日から何度も言ってるだろ!


 俺は旅行に行くんじゃないんだ。


 そんな軽い雰囲気で送り出されるような旅立ちじゃないんだ!


 待ってろエリエル。


 帰って来た時には、俺は赤の騎士団の一員だ!」


一族から赤の騎士団に採用される者が出れば、


その家のみならず村全体の誇りとなる。


狭き門に挑むため、デスゾルカは今旅立つ。


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