序
ここまでたどり着いていただきありがとうございます!
小説の書き方なんて「いろは」の「い」も知らない者が
勢いと思いつきで書き進めているため
読みづらいところ、わかりづらいところ、つっこみ所等
不手際が色々あるかとは思いますが、
お食事の後に、お風呂上がりに、お休みの前に、
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
―――勇者とは、勇気を持って困難や恐怖、脅威や絶望に立ち向かう者である。
長き旅、苦しい戦いの末、人々の賞賛を受ける者もある。
だが、世に名が轟く英雄だけが勇者というわけではない。
幾多の勲章を手にせずとも、大いなる栄誉を得られずとも、
誰かのために立ち上がった者はそう呼ばれるに値する。
世界には数多くの名も無き勇者が存在し、今日もどこかで戦っているのだ―――
「―――でも、お前の父ちゃんは元自称勇者で今は何でも屋だろ」
「うちの父ちゃんは気合の入り方は一番だぞ!それ以外がほぼビリだっただけで」
「致命的だろ、それは…」
「大体、わざわざ正規勇者を一人決めるっていうのがおれは気に入らないな。
志と腕があれば誰でもいいじゃないか」
「お前の父ちゃんは志だけだったけどな」
「何だと!うちの父ちゃんは皿洗いがうまいしお前の父ちゃんより毛が多い!」
「まあまあ、二人とも…正規勇者を決めるのは、
みんなでサポートするためだよ」―――
―――ファンディアと呼ばれる世界のエルトフィア大陸には、
どこからか怪物が現れ
勇敢な若者によって退治されたという伝説がいくつか残っている。
新しいものでは、ほんの百数十年前の出来事だった。
記録に目を通してみると当時、勇者を名乗り
人々から金品をせしめる不届き者が続出したという。
そこである時、エルトフィアを代表する五大国の王たちは
公認の『正規勇者』を一人選び、
有事の際には各国がその者を支援することとした。
とはいえ、他の者が勇者を名乗ることを禁じられたわけでも、
他の者を勇者と呼ぶことを禁じられたわけでもない。
いつの時代にも自称する者はいたし、目指す者もいた。
リグルス・ド・レビもその一人である。
彼は正義感が強く、また見返りを求めない人物であった。
そして、幼い頃より英雄譚に憧れていた。
だから、考えた。
自分が歩むべき道は、『勇者』しかないと。
が、残念なことに彼にはその道を歩むために必要なものが
あまりにも多く不足していた。
力は、弱め。足は、遅め。剣の腕は、見込み無し。魔法は、使えない。
体は丈夫な方であったが、それだけである。
努力家ではあったものの、やり方が悪いのか目に見えて成長することはなかった。
それでもリグルスは唯一、『勇者』にとって最も重要な資質は
人並み以上に備えていた。
すなわち、勇気である。
そのために、幾度となく命を落としかけている。
にも関わらず二児に恵まれ、今なお健在であることを考えれば、
リグルスは運としぶとさも持ち合わせていたと言えるのかもしれない。
ただ、それでも足りないものを補うことは到底できないので、
結果として彼が活躍する物語がファンディアに紡がれることはなかった…
…これまでは。
というのも、彼はまだ諦めていないからである。
己が英雄になることを。