ニコールデン王国の後宮事情
昔々、ニコールデン王国の王宮には、王子様の為の、後宮があった。後宮とは王子様にとって将来の王妃様を見つける場所であったし、女にとっては、たとえ王妃になれなくとも憧れの場所であった。
王子様の寵愛を受けたい者、王子様の子供を産んで将来の国母となりたい者、女として最高の贅沢を味わいたい者…様々な女が後宮には犇めいていた。
それ故に後宮では女達、そしてその親達による熾烈な権力闘争が行われ、血で血を洗う争いが横行し、ついには王座まで狙わんとする愚か者まで出現する事態となった。
そうなって、後宮のあり方がついに見直されることになった。王様が、後宮に入ることのできる娘を、厳しい条件を課して厳選する、と布告したのである。
『この国の王妃となるには、
一、ニコールデン国民であること
一、魔力値が高いこと
一、魔術の扱いが宮廷魔術師位であること
一、剣術の扱いが宮廷騎士位であること
一、政治情勢に明いこと
一、第四学問院卒業程度の素養があること
一、隣国モスティス、バルグルデ、ビガンラの文化を学んでいること
一、身分を問わず全ての民を慈しむことができること
一、夫とその子供を愛すること
おおよそこの9つの条件が必須である。』
といった内容であった。
これに対し、娘を持つ貴族達は泡を喰って慌てることとなった。(ちなみに貴族以外の国民はどうした訳か、魔力がほぼないので最初から関係がない。)
大体にして貴族達の娘の資質など、容貌が良いとか、歌が上手いとかそんなものであるし、身分が自分達より低い者への態度も横柄なものである。魔術や剣術両方使える、等ということも珍しいことであった。
多少取り繕って後宮に入れようとしても、厳しく審査されるので、有力貴族であっても、顔を青くする事態であった。
そこで次に起こったのが、人材確保の為の争いだ。ありとあらゆる優秀な人材が取り合いになり、またしても血で血を洗う事態となってしまった。
それに、貴族の娘達も今までとはうって変わった厳しい「詰め込み」に、耐えられるものではないと、後宮に入りたくもないし、まして王妃になどなりたくないと、激しく親達に抵抗し、わざと条件無視をする有様であった。
大体の貴族達はその状況に疲れ果て、今ある権力で満足だという結論に落ち着いたり、娘に嫌われたくないからもう後宮入りさせようなど思わないようになった。
「魔術の扱いが上手くて、剣も使えて、狸親父達にもひけをとらない賢さがあって、隣国のこともわかって、国民にも家族にも優しく愛してくれる女の子ね~…そんなのが、本当にこの世の中に居るのか?」
「つべこべ言わずに探せ!『後宮入り9ヶ条』が施行されてからもう4代交代しているのだ。にも拘わらずこうして王国が続いているんだ。ということはきちんとそれに適う女性が居たということではないのか?王国の為にも、きちんと探せ!」
王宮の庭を哨戒しながらぼやいたのは、アイスト=フィノ。アイストは宮廷騎士団の身分である。本当のところは、王子の後宮入りの条件に適う女の子を見繕っている、王子付の護衛官である。
そのアイストの隣で怒っているのはヴィンツ=ニコールデン。この国の王子で、目下『9ヶ条』に適う女子を探している。自分と王国の将来の為に必死である。アイストの口のきき方は前からなので諦めた。
「まぁまぁそう怒んなって。考えてみれば今の王妃様だって、『9ヶ条』に適うお方だったんだもんな。絶対今度は見つかるよな、未来の王妃様候補!」
「大きな声で申すな!あそこの騎士に聞かれたらなんとする!目的を忘れたか!あと母上は当然完璧だ!」
さり気なくマザコン発言をするヴィンツの母、現在の王妃はそれはもう完璧に9ヶ条に合格する女性であった。それを当時王妃探しをしていた現在の王様に見つかり、猛烈に求婚され、結婚するに至った人物である。そんなことは今は置いておいて。
「まーまーヴィンツ様も声、大きいっすよ。いやでも、そーですね、いい加減見つけないと不味いですよね、ヴィンツ様、来年には成人ですもんね」
「…そうだ、成人するのだ。それまでに見つけなければ、父上や母上が見つけてきた女性と結婚させられてしまう…。私は、自分で、自分の伴侶を見つけたいのだ…」
国王や王妃が、どう『9ヶ条』に適う女性を見つけるのか定かではないが、とにかくそう言われているヴィンツは必死である。ヴィンツは自分の両親のように、運命的に(王妃視点からは疑問が残るが)将来の伴侶に出会い、求婚し、幸せな結婚生活を送ることを夢見ているのだ。ロマンチストなのはいいが、それに付き合わされるアイストにはいい迷惑である。
「『9ヶ条』に適う女の子って、居ても上手く隠してるからな~…だから学問院でも見つからなかったんだし…。そりゃそうだよな、なんてったって頭いいから、隠すのだって上手い。家でも隠されてたんじゃ、探り様がなー…」
「それでも、だ。もうアテがない。魔術師団でもいなかったんだ。騎士団で見つけなくては…」
そう、『9ヶ条』をいくら気にしたところで、魔術師や騎士になりたい貴族の子女というものは当然一定数存在した。
だからまず一番人材の集まる王都の第四学問院を当然調べ、念を入れて第三学問院を調べ、国内各地の学問院にも調べたが空振りに終わった。
次に宮廷魔術師団。しかしまるで剣なんて扱ったことのない手をしている女性が多く、幾月か調べたものの、剣を使う場面などなかった。魔物との戦闘でも遠方から魔術を放ち、魔物が迫ってきたら剣で応戦するのではと見ていても、何やら魔道具などで追い払っていた。ということで、またしても空振りであった。因みに美人系が多かった。
そして最後に宮廷騎士団である。ここまではアイストとその他の人員で調べていたものの、ここにきてヴィンツも直接調べると言って出てきた。居てもたってもいられなくなったのだろう。因みにヴィンツの顔もアイストの顔も知られているため、変装しての調査である。今日でもう5か月だ。アイストのぼやきも酷くなるのは仕方がないかもしれない。ヴィンツは焦って怒りっぽくなっている。普段は冷静沈着な王子殿下、と専らの評判であるのに。
とまあ、そんな感じで哨戒をしながら、調査していたときである。ドバーンッとかグッシャーッとかドッガーンとか、とにかくすさまじい音と地揺れがした。
「今のは?!何やら物凄い音と、魔力を感じたぞ!」
「うおっすっげ揺れた…あーっと、どうやら西にある第7演習場っすね。でも今日はどこの班も使ってない筈…」
「なんでもよい!とにかく行くぞ!」
「えっいや、一応ヴィンツは王子殿下なんで、安全確認ができてないとこに連れて行くのはちょっと。あっと、君…どうして第7演習場であんな魔力の発生することが行われているのか知っているか?今日はどの班も使ってないだろう」
アイストは回廊から様子を見に来た騎士に一応聞いてみることにした。アイストはすると意外にも、その騎士は答えをもたらしたのであった。
「はっ!お答えいたします。今朝方、あちらの演習場が空いていることを聞きつけた、第2班のディレット様とローダリア様が、お手合わせをしたいとのことでしたので、あちらの使用許可を第2班長がお出しになった、と私は聞いております!」
アイストが訪ねた騎士は、下っ端のようで、少し上級の恰好をした2人に、素直に畏まって、教えてくれた。
「ディレットと、ローダリアって…あっ」
確か、学問院の調査の時に。そうアイストが呟くと、その呟きを拾ったヴィンツは、すぐさま第7演習場へ駆け出すことを決めた。直感だった。
第7演習場。他の演習場と同じく強化結界が張られ、並大抵の事では揺らがないし、その上音も漏れたりしない。騒音対策はバッチリ、だったはずだ。
だが実際には先程、すさまじい音を漏らし、地揺れを起こした。その状況を作ったのは、今演習場の中央で肩を揺らしているディレットとローダリアである。
「ぐぅううう…さっきのはマズいことをしたわ…こんなことになるなんて…」
「ディレットさんの魔術剣と、わたくしの魔術剣がこんなに反発してしまうなんて…今までにありませんでしたわ、こんなこと」
このような訳で第7演習場は今はボロボロになっている。この2人、どうやら魔術剣の実験練習をしていたらしい。
「理論上は完璧だったのよ!その為に今まで小規模練習だってしたし!ちょっーと魔力の出力上げただけなのに!もー!マズいよ!ローちゃん!!」
「ええ…好ましい状況ではありませんね、ディレットさん…。この騒ぎ…絶対隠しきれませんわ…今までディレットさんと隠れて実験しておりましたのに…」
「実験の事がバレると…ちょっと…いや結構マズいよね…ローちゃん…。色々隠れてやってたことがパーだよローちゃん…。これ、もしかしなくてもはんちょーとかに見つかって、きちんとした始末書出さなきゃいけなくて、多分術式とかもバレて、そこから色々ボロボロと…」
「ディレットさん、班長に口止め、というのは効きません…わよね。きっと報告が行ってしまいますわ…上の方々のところに…いえ、それでもまだ隠せることはありますわ」
「ローちゃん…!そうだよね、私たち2人が学問院時代から考えてきた術式だけど、それだけだし!!ちょっと他国の方式も編みこんであるけどそれだけだし!!」
「ええ…ここは、仕方ありません、申し訳ありませんがお父様にお頼みしてこの件を止めてもらうしかありませんわ。班長に速やかに報告申し上げた後は、速やかに家に帰ってお父様にお頼みしなければ…」
少女達は必死な余り気付くことができなかった。
すぐ後ろで、今の会話を聞いて居る者達がいることに。
「誰に、何を、頼むんだ?」
少女達は、ヒッと合わせて息をのんだ。そこに第三者が現れていたのだから。
「さて、アイスト」
「はい、まずはディレット=オディクス様のことですが」
名前をばっちり知られていたディレットは、びくりと肩を震わせた。客人の前ではきちんと猫を被るアイストは、にっこりと笑った。
演習場で、なんと班員の誰か、ではなく一番知られたくなかった王族、しかも王子殿下に見つかってしまったディレットとローダリアは、何だかんだと逃れようとしたものの、当然聞いてはもらえず、結局そのまま王宮の会議室まで連れてこられてしまっていた。アイストとかいう護衛官、やりおる。なんて悶々と考えていたディレットの耳に、どうしてそんなこと、みたいな情報が聞こえてきた。
「…学問院では、魔術ばかり目立ってましたが、たしかに剣術も平均的な成績をとっていらっしゃいました。ですが、両立という程ではなく、ましてや語学の成績は散々なものでしたので、学問院での調査はそこで打ち切っておりました。ご自宅にいらした時も学問院との生活に違いが見られませんでしたので…」
それってアレじゃん、人の私生活覗いてたんじゃん、と言いたかったが、年頃の貴族の娘にとっては、むしろ当然考えられることであった。なにせ、王族は『9ヶ条』に当てはまる娘を探すのに、必死だからだ。
「ローダリア=オディクス様のことですが、うかつでした。こんなにも平均的な成績を残されていたことに疑問を抱かなくてはなりませんでした。明らかに恣意的なものですね。そしてお2人のお父上は、宰相補佐殿ですね。家庭で政治の事をお話になるとは思えませんが、オディクス家の蔵書には、関連の書籍が多く集められているとか。家庭教師にも色々と教わったと調べがあります。さらに…先程掴んだことですが、ディレット様もローダリア様も、他国に、モスティス、バルグルデ、ビガンラに、学問留学、なさってますね」
やっぱりばれている、少女達は頭を抱えたい思いだった。
「…さて、以上の事、さらに先程の事を踏まえて総合的に考えますと、ディレット様もローダリア様も、魔術も剣術も、お得意でいらっしゃいますね?騎士団に入ったことがそれを証明しておりますし、先程の演習場の件…魔術剣の術式を解析致しましたところ、かなり高度なものでした。隣国の文化…は当然知っておいででしょう。政治情勢は一刻一刻と変わるものです、素養さえあればなんとでも」
なんで、魔術師団ではなくて騎士団に入ってしまったのでしょうか、と落ち込んだローダリア。そもそもお父様には止められていたし。だからと言って魔術師団では剣を扱うことは禁じられていたし、騎士団であれば魔術と剣術を併用する戦術もあると聞いて居たので、意地を通して入ってしまったのだ。剣術の腕は魔術剣の為にこっそりと磨いていた。だって、夢だったのだ。
「…結局、何がおっしゃりたいのでしょう」
分かっているけれど、聞かずにはいれない。
「では率直に申し上げます。お2人には、王子殿下の後宮に入っていただきたく」
ヴィンツは、演習場で見つけた2人の少女から目が離せなかった。
魔力の残滓がきらきらと輝き、土煙が舞っていてもなお美しい光景だった。
日の光を集めたような髪と、夏色の草原の瞳の色をした少女、ディレット。
月の光を集めたような髪と、それを映した湖のような深い瞳の色をした少女、ローダリア。
のろのろと顔を上げ、困惑した彼女らの瞳には、それでも深い知性が灯っているのがわかった。アイストは、そんなヴィンツの様子を直ぐに察し、彼女らについて再び情報を集めた。そして、彼女たちは『9ヶ条』に適うのだと。
結局のところ、ヴィンツが彼女らの美しさにまず囚われた、これだけは1番に言えることである。
「後宮に入ってもらいます、と言われましても…わたくし達が『9ヶ条』に本当に当てはまる、と考えていらっしゃるのです?」
「そう、考えております」
「わたくし達達は貴族です、平民の皆様に平等に接することができるとお思いで?」
ローダリアは、最後の悪あがあきをした。ディレットは、うんうん、とローダリアの発言にのっている。アイストは、笑った。
「そうですね…貴女方のおばあ様は平民の出身であったと調べがついています。そして、学問院でも平民の生徒と仲良くなさってましたね。そんな貴女方が平民を差別なさるとは…思えませんが」
ぐぬぬ…そんなディレットのうめき声がローダリアの耳に聞こえてきた
「…最後に、まだお聞きしていないことがあるのですが」
「はい、なんでしょうか」
「……殿下のお気持ちです。『9ヶ条』にはこうあります。『夫とその子供を愛すること』と。わたくし達は、後宮に上がりましたら、その努力を致します。ですが殿下のお気持ちがありませんのに、その努力はできませんわ」
「そーですよ!殿下はかっこい方だなーって思います!でも殿下のお気持ちもわからないのに、後宮になんて上がりたくありません!」
あ、そういやそうだな、アイストは思った。
「私は、ディレット嬢とローダリア嬢を、その、演習場で一目見た時に、美しいと思った。魔力を纏う姿が。それだけだ。直感だった。9ヶ条なんてどうでもいいとすら、いや、9ヶ条に当てはまるなら、それは僥倖だが。その!私後宮に入ってくれないか。そして、将来の王妃として、私の隣に立ってほしいのだ」
ヴィンツは顔を真っ赤にして、ディレットとローダリアにあけすけな告白をした。ディレットもローダリアも顔を真っ赤にしている。
アイストは、そっと部屋を出た。えらいさんに、報告しなくてはいけないのだ。
「殿下、真摯な告白を頂きまして、ありがたく思います」
「ヴィンツ殿下、ありがとうございます。でも、問題があると思うんです」
「問題?」
「はい、あとお願いが」
ディレットは真面目な顔で挙手をしてヴィンツに向き合った。
「問題というのはですね、私達を2人とも後宮に入れ、っていうのは分かります。ままあることですね。でもですね、なんかこう心情的に複雑です。ローちゃん…姉上と王妃様を目指すのって。殿下、殿下は私達を平等に愛して下さいますか?」
「きっといつかは、どちらかを王妃に、と決定するときがやってくる。その時までも、そしてそれからも2人を愛すると誓うし、2人で私と国を助けて欲しいと思っている。間違っても、2人のどちらかを厚遇したり冷遇したりはしない」
言葉ではなんとでも言えるだろう、そう頭を掠めたが、ヴィンツの言葉も、その情熱を秘めた瞳も、信じてみようと、そうディレットとローダリアは思った。
「そ、それで願いというのは」
ディレットとローダリアは、お互いに目配せをし、意を決したように口を開いた。
「演習場の出来事、殿下はご覧になっていたのでお分かりになっているかと思いますが、私達は魔術剣を安定したものにすることが目標なのです。魔術だけでは、足りない時、剣だけでは足りない時、今までそういう時が必ずありました。だからこそ、それを補う目的で魔術剣の研究をしております」
「でもでも、魔術師には剣なんてって笑われるし、騎士には魔術の素養がある人が少ないんです。何人かは見つけてあるんですけど、反応があんまりよくなくって」
「そういうわけですので、後宮に入った後も、魔術剣の研究の続行をお認め頂きたいのです。それに伴う人員も、殿下から口添えを頂ければ、さらにありがたく…」
「絶対この国の為になると思うんです!魔物だって活性化の時期をもうすぐ迎えるし、損はありません!もちろん姉上と共に王妃になるための修練はきっちりこなしますので!どうか!」
魔術剣の研究か、ヴィンツは考えた。今まで魔術師も騎士もそれには目をつけてこなかった。剣に魔術を組み込むなど、思いもしなかったのだろう。なにせお互いに矜持が高い。だが、この2人の研究がうまくいけば、魔物の脅威に立ち向かう、新たな力になる。それに、
「わかった。そもそも過去の後宮、加えて過去の王妃達は、実はそれぞれに、ご自分の研究をもっていらしたのだ。2人がその研究を進め、国の為としたいなら、むしろこちらから頼むべきだ。そうだな、もう一度言おう。ディレット、ローダリア。私の後宮に入り、ひいては未来の国の為に、私と共に歩んではくれまいか」
その言葉を聞いたディレットも、ローダリアも、もう言うことはなかった。
「はい。わたくしローダリア=オディクスは、ここにヴィンツ殿下の後宮入りを受け致し、ヴィンツ殿下とニコールデン王国に誠心誠意お仕えする事を、ここに宣言致します」
「同じく、わたくしディレット=オディクスは、ヴィンツ殿下の後宮入りをお受け致し、ヴィンツ殿下とニコールデン王国に誠心誠意お仕えする事を、ここに宣言致します」
かくして、2人の少女が、ニコールデン王国第38代国王妃候補として、後宮にあがることとなったのであった。
その後、2人の少女は、後宮で自らの研究を完成させ、その認知度も人望も、どちらが王妃となっても不満などない、という位高められた。
太陽の様に明るく新しき知恵をもってヴィンツを支えたディレット。
月の光のように美しく聡明な知恵をもってヴィンツを支えたローダリア。
ヴィンツが即位したのちも、いつも2人はその隣にあった。
ニコールデン王国の『後宮入り(王妃に求められる)9ヶ条』は、その後、2人の王妃にあこがれた貴族の令嬢たちによって、『王妃様のようになるための9ヶ条』と囁かれるようになった。
令嬢たちはこぞって学問院で真剣に学び、切磋琢磨し、己を磨いた。
おかげで、未来のニコールデン王国では、王妃様にしたい令嬢が多すぎて、王族はまた別の意味で頭を悩ますこととなったという。