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冬と春の間にて
冬と春の間で (1/1)
歓声が響く
僕は空を見上げて、はあと息を吐いた。
あの歓声の中に蒼は居ない。
冬と春の間、蒼は死んだ
眠るように、終わって行った。
僕の身体はまだ続いて行く
蒼が好きだといった、高跳びに
生涯を捧げる
バーを跳び越える瞬間に映る
一瞬の空に、彼女はいる
「 ほら、出番だ。 」
コーチが僕の背中を叩いた。
頑張れよ、日本代表。
その言葉に僕は笑みを返した
君と過ごした日々は時間にしたらとても短いものだったのかもしれない
いつか、君を忘れる日がくるのかも知れない
でも僕は、君に会いに行こう
バーを飛び越えて、あの一瞬の蒼を。
end