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外話3話

「お館様はまだ出て来られないのか」

「もう出陣準備は整えてあるのに・・・」


甲斐の躑躅ヶ崎館にて朝から織田家に出陣するため武田四天王以下数多くの将兵がひしめき合っていた

有る者はこれから起こる戦に向け己の扱う武具の点検などする者

また有る者はこれから起こる殺戮の話をする者、その数三万

だが昼を過ぎても当の武田信玄は自室から出てこなかった


「誰か晴信様のお部屋を見てまいれ」

「はっ」

兵士を見送りながら独り呟く

「今日兵を進めねば年内には帰って来れんぞ」

この武士は武田四天王筆頭 馬場 信春

武田家は春と秋は米の田植え・収穫の仕事のため戦が出来ず、夏しか遠征できない

今回の大遠征は年明けの評定で決まり草民の田植えが終えての遠征であった


そこえ先ほどの兵士が血相を変えて戻ってた

「た、大変でございます」

「なんだ、どうした」

「お館様が・・・・」


夜躑躅ヶ崎館の一室 武田四天王が密談をしていた

「もう兵は止められんぞ」

「しかし・・・・」

「出陣前に死んでしまうとは」

「コレはもう戦所では無いな」

「いやこの大遠征は織田・徳川にも情報が漏れていると思う、今戦を止めれば勘ぐられる可能性が高い」

「では如何すれば・・・」

一同黙り込む


「では長子で影の勝頼殿を使おう」

「それしか無いが」

こうして武田家の滅亡の戦が始まろうとしていた

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