休暇と再会(前編)
「あの入学式からそろそろ一ヶ月か」
なんだかもっと前のことに思えてくるな。なんて、少し感慨にふけってみた。
今日はゴールデンウィーク二日目だ。こんな学校でも授業以外のことは、意外と普通の学校と同じだ。だから、当然この大型連休もある。
俺たちのチームは、この休暇にとある計画を立てていた。
「私たち、チーム結成から今まで、親睦を深めるような行事を一切行ってませんわ。それでせっかくの機会ですし、皆でどこかに遊びに行くというのはいかがでしょうか?」
提案者は礼だ。へぇ、お嬢様だからもっと世間ずれしてると思ってたぜ。
「私は行けるよ。予定とか、特にないし」
「俺も大丈夫だ。問題はどこに行くかだな。礼と愛はどこか行きたい所あるか?」
二人に聞いてみる。女の子の行きたいところって、よく分からないしな。買い物とかか?
「私は眺様とならどこだって行けますわ」
婚約騒動以降、礼は婚約こそ口にしないものの、さまざまなアピールをしてる。俺、近いうちに鹿苑寺家に消されるかもな・・・
「愛は?どこか行きたい所あるだろう?」
「うん、その・・」
言う答えは決まっているようだが、なかなか答えない。
「遊園地に行きたいな」
遊園地か。定番といえば定番だな。大体誰でも楽しめるけど、こういうのは偶数人で行った方がいい気が・・
「遊園地か、場所はいいとして問題はメンバーだな」
あまり知り合いのいない俺たちにメンバー集めは難しいな。なんて考えていると、
「お困りのようだな、このあたしが力を貸してやるぜ!」
ハイテンションでこちらに話しかけてくる人物が。その相手は、
「間島先輩・・」
この間、知り合ったイカした先輩だ。今日も熱いぜ。
「メンバーがほしいなら任せとけ。あたしらも行ってやるから」
笑顔で参加表明された。しかもかなり断りにくい感じで。
俺は愛と礼に聞いてみる。
「なんか先輩行きたいらしいけど、どうするか?」
「私は別にかまいませんが」
「ほかに誘う人もいないし、お願いしようよ」
二人の答えは、是だった。先輩たち皆面白いキャラだし、一緒に行けば楽しいかもな。
話し合いの結果を先輩に報告。
「じゃあ、お願いします」
「おう!任せとけ」
こうして、俺たちは、ゴールデンウィーク二日目に六人で遊園地に行くことになった。
遊園地前、現在午前九時。あぁ、もちろん俺たちは寮前で集合してから、電車でここまできたけどな。
着いて早々、くるるちゃんが言った。
「ていあーん!今日はまず、昼まで一対一のデートにしよー。もちのろんで、一年生ちゃんと二年生で一組ずつなのだ!!」
「おっ!いいじゃんいいじゃん。ナイスアイディア、くるる!」
「勝手に決めちゃだめだよ~二人とも。君たちどうかな?」
先輩たちはやる気満々だ。これは断りにくい。
「嫌な人~、てー上げてー!」
歌うように言うくるるちゃん。なんか今日アグレッシブだな。当然誰も手を上げない。
「じゃあ決まりー。ながめん行こー」
突然俺の体が動き出す。何だ・・・神話か?カットする暇もなく俺は連れてかれる。
「それじゃあ、十二時にここでまた待ち合わせってことで~」
俺が言い残せたのはこれだけ。グッバイ皆!
「あれ乗ろ~、ながめーん」
「先輩、ちょっと待ってください。あれは・・・」
”あれ”というのは、この遊園地一番の大型ジェットコースター。いきなりあれに行くって、いくらなんでも・・
「いいじゃーん、ながめん。行こうよーけちんぼ。それと先輩じゃなくてくるるちゃんだよ~」
完全にペースを持ってかれてる。ジェットコースターは乗るしかないか。
「わかりました、くるる先輩。でもちゃんと列に並んでください」
「オッケー」
この先のどたばたは割愛。結果だけ言うと、くるる先輩は酔った。
「うぅ~、思ってたよりすごかったー」
「だから最初はもっと楽なやつからにしようといったのに・・・」
俺は現在、食事コーナーでくるるちゃんを膝枕して介抱。できれば逆が望ましかったが、これはこれでありだな。
「12時前までここで休憩しましょうか」
「うん~ありがとー」
無言だと気まずいし、何か会話しよう。
「くるる先輩は学年一位なんですってね」
「そうだよ、エリートさんなのです」
「生徒会長と戦ったことってあります?」
「あるよー。百戦百敗くらいかな。しるしっちもくるるちゃんもマジシャンなんだけど、しるしっち強すぎるの~」
二年生と三年生でもそれだけの差があるのか。
「でもね~学年順位ってのは、純粋な神話力で判断されるから、単純にいちばん!とは言えないんだよ~。実際、大戦でMVPになるのは、たいていアタッカーだし」
そうなのか。俺もアタッカーだけど、MVPは程遠いだろうな・・・
それから、少し回復したくるるちゃんは俺にいろいろな神話を見せてくれた。さすが学年一位だな、なんて思いながら、時間経つのも忘れて夢中になる。
12時ちょうど。集合場所に全員戻ってきた。愛は間島先輩とだったのか。明らかに疲れが見える。
「よし、午後はみんなで行動しようぜ!」
そうだな。せっかくだし団体行動と行くか。
「そうだね。あ、僕午後のルート作っておいたから、これで行こうよ」
・・・意外と仕切りたがりのはじめ先輩だった。
こんにちは。
今回も二部作となります。
後半は少し戦闘も混ぜる予定です。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
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では。




